感染症診療の原則

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妊娠を延期しよう、やせよう、タバコをやめよう・・・とか?

2009-08-30 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
静岡がんセンターの感染症チームのブログで大曲先生が新型インフルの総説を掲載されているそうです8月26日の記載です。
「レビュー:新型インフルエンザ感染症の臨床像 (回覧転送ご自由に)」
http://blog.livedoor.jp/lukenorioom/archives/51574617.html


ところで。

重症例のサンプルでも、新型ワクチン論議でも妊婦はハイリスク層になっています。(でも、日本はこれまで妊婦にワクチン接種をすすめてきませんでした・・)

産婦人科団体は産科ではなく一般内科を受診するようアナウンスしています(産科を受診するとハイリスクの人たちの曝露リスクが高まるため)。

内科の医師は「インフル様症状の妊婦は自分が診るのだ」と認知しておくことが重要ですね。

英国では「妊娠しようとしている人はパンデミックがすぎてからにしましょう(妊娠を延期しよう)」という提案をする団体もあります。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/jul/19/pregnancy-swine-flu-postpone

「妊娠するな」と本気でいっているのではないとしても、一般人へのアナウンス効果はとってもありそうなプロモーションですね。キャッチ-ですし、賛成反対の議論をよぶものいいです。

(編集部の周囲は『民主党に』ムードになってから立て続けに妊娠しています。冬のシーズンには横隔膜圧迫期です。インフルエンザよりは子育て予算のほうが行動をひっぱります)

 リスクの数字はていねいな解説or/and具体的なaction planにつながらないと、不安を煽るだけになってしまいます。

そのほかの具体的な提案として、リスクを下げるために肺炎球菌ワクチンが重要でしょ?という話は感染症の専門医の皆さんが各方面で主張してくださっています。

 先日香港の疫学調査で示された「喫煙」は呼吸器感染症ではあたりまえすぎるリスク因子のためかあまり話題になっていないようです。

Smokers Risk Swine Flu Complications Like Pneumonia, Data Show
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601124&sid=aSs9.rvfo7g8

 ニコチン依存になると長期間タバコを吸うことになります。インフルエンザがはやりそうだからそろそろやめよう、、と考えた場合、いかほど改善効果があるのでしょうね。

医療ガバナンスに最近紹介されていた禁煙関連のレポートによりますと、、、現在、妊娠がわかった時点で、35%の妊婦が喫煙しているそうです(第43回日本周産期・新生児医学会)。
「リセット禁煙のすすめ(1)」(医療ガバナンス)
http://medg.jp/mt/2009/08/-vol-216-1.html#more

秋に向けてインフルエンザを念頭に「肥満をなんとかしよう」というような人は出てくるでしょうか。
今後もインフルエンザはたびたび流行するし、タバコはやめたほうがいいよ、というようなキャンペーンを張る団体などもでてくるでしょうか。
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2 コメント

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Unknown (妊婦)
2009-08-31 11:56:38
ハイリスク妊婦は妊娠のいかなる時期でもハイリスクなのでしょうか。妊娠初期のつわりがひどく、食事が入らない時とか、妊娠後期のおなかがせりあがって息切れするときとか いろいろあると思うのですけど。
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Unknown (編集部)
2009-08-31 20:41:49
これまでに報告されている妊婦さんの重症化症例では、妊娠の後期(第三トリメスタ-)ということは指摘されています。おなかが大きくなって呼吸機能のキャパシティが小さくなることが懸念される・・ですね。
妊娠初期の高熱が赤ちゃんによくないという話も紹介されています。

さらに、話がそれますが・・
妊娠と免疫についてはもともと諸説あります。シンプルな説明として、非妊娠時と妊娠時には違う免疫状態になる、ということは指摘されています。
返信する

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