こんどは真菌のニュース。
健康な人には関係ないですが、固形がん、糖尿病、ステロイドをつかうような免疫に問題のある人たちでの話。
ガン・白血病では肺ムコールが多く、急速な経過をたどり、生前診断が困難で予後不良。
感染症報道のおかしさは、記者がよくわからないまま書いている問題と、保健所や県の担当者が訓練されていない問題と、病院が毅然とした態度をとれず、何に対して化を明確にしないまま謝罪会見をすることの問題があるようにおもいます。
秋田のインフルも、「疫学調査だっ」と去年ききかじったニワカさんたちが熱くなったりしているのかもしれません。「え~。インフルで調査あ?」って本当に分かっている人たちは思っているんでしょうけど。
東京新聞「カビ『ムーコル菌』院内感染 白血病3人死亡」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010111302000028.html
“ムーコル菌”っていわないですけどね。(ムコール症)
記事の中では、断定できないことがかいてあるのに、タイトルは断定っぽいですね。
「千葉県は十二日、東京歯科大学市川総合病院(市川市)の同じ個室で別々の時期に入院していた急性白血病の患者三人が、カビによる感染症の「ムーコル症」に院内感染した疑いがあると発表した。」
日本語がアラアラです。「ムーコル症」に感染、とはいいません。
発表は疑い、です。
免疫に問題がある症例での感染症の問題を理解しないとこの話を解釈するのも難しいです。
「三人は死亡し、うち女性一人は感染死の可能性を否定できないが、残る男性二人は主として別の感染症などで死亡したという。新たな感染の拡大はないとしている。」
(・・・という。ですよ。また)
そもそも感染拡大という案件なのかわからない時点で、拡大がどうのこうのと書くのは不適切。他には同じような症状の患者は確認されていない、あたりが妥当ライン。
「 今月十日までに、個室の空調フィルターからカビの一種「ムーコル真菌」を検出。女性と四十代男性の二人からも検出している。」
『検出』だと通りすがりの冤罪かもしれません。
「病院は個室を閉鎖。九月八日以降、他の病室などの空調点検と清掃強化を行っている。ムーコル症は法定感染症ではないが、県は監視、助言する。」
何をしてくれるんでしょう~。期待しちゃいますよ。
「ムーコル真菌はどこにでもあり、健康な人にはほとんど影響がない。免疫力が低下した人は重症化する場合もあるが、死亡例の報告は珍しい。菌の種類特定は難しく、三人が同じ種類の菌に感染したと断定するのも困難という。」
そのとおり。
「病院長は遺族らに謝罪するとともに「同時期に複数の発症例は海外ではあるものの、日本では初めてのケースと思われる」とコメントした。」
こんな報道や謝罪を続けると、モラルハザードになりますし、リスクのある患者は診ないよという風潮になりますよ。
報道する意味や公表する意義をよく考えてほしいです。
どうしても知らせたいなら医療機関あてのお知らせでもいいんじゃないでしょうか。
(最初に知るのがメディア情報、というのは昨年のインフル騒動のときにも混乱の一要因でした)
適切な方法をしてたら感染症はゼロになるとか、好中球のないひとたちもバイキンに強くなるというような妄想や誤解をもっているんでしょうか?
(消防車と全焼1分前の話を思い出します)
免疫に問題のある人の感染症診療については下記の本がおすすめ。
静岡がんセンターの大曲先生のところが、感染症診療のなかでも特にこの分野に強いエキスパートを育てています。
手稲渓仁会の岸田先生、東京女子医大の藤田先生、FETPの具先生、東海大学の上田先生はじめ今後の日本の感染症診療をひっぱっていくリーダーがここで学ばれています。
スタッフに倉井華子先生も加わり、今後の発展が楽しみな感染症研修プログラムです。
報道でポサコナゾール(NOXAFIL)の認可が早まるかな~? ぼそぼそ。
健康な人には関係ないですが、固形がん、糖尿病、ステロイドをつかうような免疫に問題のある人たちでの話。
ガン・白血病では肺ムコールが多く、急速な経過をたどり、生前診断が困難で予後不良。
感染症報道のおかしさは、記者がよくわからないまま書いている問題と、保健所や県の担当者が訓練されていない問題と、病院が毅然とした態度をとれず、何に対して化を明確にしないまま謝罪会見をすることの問題があるようにおもいます。
秋田のインフルも、「疫学調査だっ」と去年ききかじったニワカさんたちが熱くなったりしているのかもしれません。「え~。インフルで調査あ?」って本当に分かっている人たちは思っているんでしょうけど。
東京新聞「カビ『ムーコル菌』院内感染 白血病3人死亡」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010111302000028.html
“ムーコル菌”っていわないですけどね。(ムコール症)
記事の中では、断定できないことがかいてあるのに、タイトルは断定っぽいですね。
「千葉県は十二日、東京歯科大学市川総合病院(市川市)の同じ個室で別々の時期に入院していた急性白血病の患者三人が、カビによる感染症の「ムーコル症」に院内感染した疑いがあると発表した。」
日本語がアラアラです。「ムーコル症」に感染、とはいいません。
発表は疑い、です。
免疫に問題がある症例での感染症の問題を理解しないとこの話を解釈するのも難しいです。
「三人は死亡し、うち女性一人は感染死の可能性を否定できないが、残る男性二人は主として別の感染症などで死亡したという。新たな感染の拡大はないとしている。」
(・・・という。ですよ。また)
そもそも感染拡大という案件なのかわからない時点で、拡大がどうのこうのと書くのは不適切。他には同じような症状の患者は確認されていない、あたりが妥当ライン。
「 今月十日までに、個室の空調フィルターからカビの一種「ムーコル真菌」を検出。女性と四十代男性の二人からも検出している。」
『検出』だと通りすがりの冤罪かもしれません。
「病院は個室を閉鎖。九月八日以降、他の病室などの空調点検と清掃強化を行っている。ムーコル症は法定感染症ではないが、県は監視、助言する。」
何をしてくれるんでしょう~。期待しちゃいますよ。
「ムーコル真菌はどこにでもあり、健康な人にはほとんど影響がない。免疫力が低下した人は重症化する場合もあるが、死亡例の報告は珍しい。菌の種類特定は難しく、三人が同じ種類の菌に感染したと断定するのも困難という。」
そのとおり。
「病院長は遺族らに謝罪するとともに「同時期に複数の発症例は海外ではあるものの、日本では初めてのケースと思われる」とコメントした。」
こんな報道や謝罪を続けると、モラルハザードになりますし、リスクのある患者は診ないよという風潮になりますよ。
報道する意味や公表する意義をよく考えてほしいです。
どうしても知らせたいなら医療機関あてのお知らせでもいいんじゃないでしょうか。
(最初に知るのがメディア情報、というのは昨年のインフル騒動のときにも混乱の一要因でした)
適切な方法をしてたら感染症はゼロになるとか、好中球のないひとたちもバイキンに強くなるというような妄想や誤解をもっているんでしょうか?
(消防車と全焼1分前の話を思い出します)
免疫に問題のある人の感染症診療については下記の本がおすすめ。
静岡がんセンターの大曲先生のところが、感染症診療のなかでも特にこの分野に強いエキスパートを育てています。
手稲渓仁会の岸田先生、東京女子医大の藤田先生、FETPの具先生、東海大学の上田先生はじめ今後の日本の感染症診療をひっぱっていくリーダーがここで学ばれています。
スタッフに倉井華子先生も加わり、今後の発展が楽しみな感染症研修プログラムです。
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報道でポサコナゾール(NOXAFIL)の認可が早まるかな~? ぼそぼそ。
早速記事なども拝読しました。新聞の書きぶりではこの様な感染症が起こりうる医療現場の文脈が全く見えません。つまりがん患者さんはそのものおよび抗がん剤治療で著しい易感染状態に陥るけれども、患者さんそして医療者はがん治療のために敢えてそのリスクをあえて負って治療をせざるを得ないという状況が全く見えてきません。
現場の患者さん・医療者はそのことをよくわかっています。その文脈を知らずに事実関係も十分に確認しないまま報道する新聞社の姿勢には首をかしげざるを得ないです。今に始まったことではないですが。
このケースには様々な角度からコメントすべきなのですが、まずはがん診療の感染症という観点からは、まずは先に述べた文脈を含めた啓発が急務だと考えています。このようなメッセージを含む報道は、現場の医療者の萎縮をうみ、結果的にがん診療の質向上・均てん化を阻害します。それは、国民が決して望のでいないことでしょう。啓発が不十分だからこそあのような未熟な理解の記事も出てくるのだと考えています。
コメントありがとうございました。
医療行為の結果として受容しなければならない副作用、不可抗力を「医療従事者の落ち度」として捉えられる背景には、マスコミ内部に医療の常識を教える専門家が居ない事が大きな要因としてありますね。マスコミに就職したら良い・・と思われる同僚に就職を勧めてみるかな・・。