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国産エイズワクチン、米国で臨床試験ニュース

2011-01-08 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
“国産”の定義はよくわかりませんが、日本人研究者らが開発途上のワクチンの臨床試験を米国でやるというニュースが流れています。

読売新聞 1月6日

エイズワクチンの開発は、期待されたワクチンが、接種した群のほうに感染者が多かったという、期待に反する結果が出たりして、関係者が「絶望的」と嘆く状況にあります。

このニュースにもりあがっているのは(一瞬だけ)株をやっているひとたちでした。
このような話題によって関連企業の株価があがったりしますので。

絶望的といわれるなか、新しい試みも続けられており、日本のこのワクチンもそのひとつです。

4年前の2007年8月のニュースに詳細があります。
Japan's DNAVEC and IAVI Partner on Novel AIDS Vaccine Strategy
開発には時間がかかりますね。

予防の効果を見るワクチンは、HIVに感染していないひとたちをサンプルとして、ワクチンを接種した人と接種していない人たちを後で比較することになります。

サンプルの設定も難しいですし、コンドームをつかった予防教育などその人達に同じような条件を与えなくてはなりません。

どれくらいハイリスク行為があるのか。HIV曝露状況が異なる中での評価も複雑です。

まだ製品化まで先の長いエイズワクチンですが、開発されたあとにも問題が山積みです。

値段はいくらか?(これまでの投資額はすごいですよ)必要度の高いのは途上国なわけですが。

誰に接種するのか?(優先順位)
一般の人にするワクチンにはならないでしょう。

「この人たち感染しそう」という人に推奨をするのか。その定義は何か。
その人達は接種に同意(希望)をするのか。

そもそも途上国と先進国で流行しているHIVのウイルスのサブタイプが異なるが、同じように効くのかどうか。

など、いろいろな論点があります。

エイズワクチンの臨床試験はたくさんあります。データベースでその種類やフェーズ、サンプルサイズなどを知ることができます。
エイズワクチン臨床試験のデータベース

日本はエイズワクチン開発プロジェクトにたくさんお金を出している国の一つ。
今回「国産」と書かれてはいますが、日本ではペイしないでしょうし、日本人向けのワクチンを開発しているわけではないので、この表記はビミョウ。
Japan Contributes $10 Million for AIDS Vaccine Development(2010年1月)
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