感染症診療の原則

研修医&指導医、感染症loveコメディカルのための感染症情報交差点
(リンクはご自由にどうぞ)

「What is 重症?」

2010-03-09 | 青木語録
自分の「感染症診療の原則」の講義の重要なModuleに「重症」という概念の内実、すなわち「What is 重症?」というものがあります。

「重症」という概念は、感染症を事件に置き換えたら以下のような事です・・

事件の重大性は犯罪者の凶暴性だけではなく、被害者の対応(過剰防衛も含め)、警察官の能力、犯罪発覚までの時間など多数の要因が複雑に交絡する概念であり、その内実の具体的な成分を正確に検証する事が重要です。110番(発熱)≒装甲車10台(広域抗菌薬)出動といった風景が改まる日はいつくるでしょうか?

少し古いのですが、今日はサクラ精機で静かに文献を読める時間が2時間ほどあったので「重症」の市中肺炎の勉強をしました。一番勉強になったのは、やはり「What is 重症市中肺炎?」の内実、定義、Descriptionでした。 正しい抗菌薬を使用しても助けられない「重症」感染症の勉強を早い時期にして欲しいと思います。

Crit Care Med 2009;37(12):3010-
http://journals.lww.com/ccmjournal/Abstract/2009/12000/Validation_of_the_Infectious_Disease_Society_of.2.aspx
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 集団結核:複数の医療機関が... | トップ | 感染していても気づかない(... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
重症診断ができるかどうか (motoyasu)
2010-03-10 12:12:48
検査機器のほとんどない診療所では、重症感という科学的ではない項目があります。普段少々のことでは来ない方が、来院する。いつもより呼吸数が速い、心拍数が速い、診察室に入るのに時間がかかる、家族が付いてくるなど、なかなか紹介状に書くのが難しいです。肺炎では重症感があってもADROP、CRB65にて重症にはいらない時、入院の適応ですかと病院から言われると言葉に詰まることもあります。早速文献読んでみようと思います。
返信する
貴重なコメントです (Aoki)
2010-03-10 20:32:03

motoyasu先生:
・貴重なコメント、ありがとうございました。

・この文献でもScore上はLow-riskなのにICU入室になる症例がかなりある事を指摘しています。

・先生のおっしゃる重症感は非常に重要です。

・同時に呼吸数や意識障害といったBed sideの観察以外の検査上のParameterをより多く入れる事により「重症」例を見つける感度が上がるとしています。
返信する

青木語録」カテゴリの最新記事