感染症診療の原則

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お産後すぐ退院 と その周辺

2015-05-05 | (ちょっと休憩)ほんとに休憩
英国のキャサリン妃が第二子を出産してその日のうちに退院・・・が話題になっていました。

お産は公費(自己負担なし)が基本の国では、健康上の問題がない・リスクが低い人はさっさと退院する(してもらう)にかぎります。
医療費抑制のためであります。

カナダの病院でも24-48時間で退院(帝王切開は48-72時間)


めちゃめちゃお金のかかる米国でも、特に問題なければ24時間、帝王切開でも48時間で退院。

1995年のNew York Timesの記事では経腟分娩で12-24時間。まあこんなかんじかと。
(産んでいる女性の年齢なども影響しそうですが)



病院にいないといけない理由がないのに病院にいると、病院にいる病原体に曝露・感染するリスクが高まるので、さっさと帰るにこしたことはありません。
(本ブログっぽいはなし!)

耐性菌とかいますからね・・・!
(分娩、院内感染で検索するといろいろみつかります)


お見舞いのきょうだいが水ぼうそう等の感染症を病棟もちこむ事件なども相談がきます。
(体調不良者をお見舞いに連れていくのはやめましょう)


自宅にさっさと帰って、そこに家事ヘルパーや授乳や沐浴の指導をする(父親や他の家族にも)訪問看護師・助産師がいれば、病院の設備や物品で習うより、自宅である物での工夫なども教えてもらえていいわけですね。


日本では4日~7日とか。


デンマークの公立病院で2012年に聞いた話では、4時間後に医師か助産師が問題ないと判断した場合は退院できる(してもらう)そうですが、昔は5日間くらい入院していたとのこと。

だんだん短くして、4時間の観察になったということです。

そのかわり(ここがすごい)。もしも母子に身体上のリスクがあれば長く入院できるのはもっともですが、身体的には大丈夫でも、社会的にリスクを見出した場合は、延長してステイできる(させる)こともあるそうです。

例えば。

妊娠の途中でパートナーが消えてしまった(別れた)。

自宅の親がサポーターではない(お母さんがアルコール依存症とか、親子関係の問題がキャッチされているとか、DVがあるとか)ような場合は、新しい赤ちゃんとの生活になじむまでステイして病院のスタッフと人間関係をつくり、何か困った時にすぐに相談できるようにしている、ということでした。

子育ては万全な環境でしてもつらいときがあります。
環境が厳しい場合はなおさらです。

そのようなとき親が困るような状況でリスクにさらされるのは赤ちゃん。

虐待予防のために行われている観察とケア、という話でした。
この延長ステイにかかるお金も公費。

どこに投じるのか、何を優先するのかの違いを学ぶ話でした。

産前産後のヘルパー派遣事業は各自治体にもあります。家事だけでもだいぶ助かります。

母親や親せきは口も出すので、助かる分、遠慮なく「鬱陶しい」側面もあります。

パートナーが休暇をとって一緒に頑張れるといいですね。ウイリアム王子も休暇をとったそうです(^^)


(コペンハーゲンにいってきた編集部員1号。出産48時間で退院。理由は予定が早まり試験前に生まれてしまったから…)
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