感染症診療の原則

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Easy to start, Hard to stop

2009-05-18 | 青木語録
「抗菌薬は始めるのは簡単、しかし中止の見極め方法を教えて・・」というのが感染症の全国行脚伝道で、Most frequently asked question (FAQ)です。

抗菌薬。始めるのは簡単ですが中止は必ずしも容易ではありません。熱や白血球数、CRPなどで開始する医師は、抗菌薬を簡単に中止できずにダラダラと使い続けます。

「抗菌薬を適切に開始出来る医師は適切に中止できる・・」という当たり前の事を日々痛感しています。自分が研修医PGY1の時、M部長に言われました。「青木、抗菌薬も酸素も始める瞬間から中止するStrategyを持て・・」と。

編集長は新型インフルエンザ騒ぎをよそに司馬遼太郎の「坂の上の雲」などを読んでいますが、本当に面白く、また勉強になります。昨晩も就寝前、1時間ほど読みふけっていたら「歴史上最も外交能力が高かった明治政府は日露戦争を始める時から終わり方を必死に考えていた」というくだりがありました。

抗菌薬も戦争もEasty to start, Hard to stopです。

そう言えば、学校閉鎖がとんでもない数字で起きているようですが、学校閉鎖もEasty to start・・? 疫学的な常識から考えて、暫く広がるでしょうから学校閉鎖もHard to stop。学生諸君、このまま夏休み突入かな? 

本当は元気な子供を遠ざけるよりも、病気の子供を家に置いておくほうが良いのでしょうが。子供は学校に行かなくても、繁華街や映画館には行きますし・・。

小さなお子様、学童をお持ちの医療従事者の方、既にインフルエンザ騒ぎ前から医療崩壊寸前ですのに過労で倒れないように祈ります。それにしても学校・保育園閉鎖は検疫の強化や診療ガイドライン共々本当に現場を追いつめますね。

(写真は日露戦争を終わらせるにあたり大きな役割を果たした明石元二郎)
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