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再々放送 5/28(土) 15:00 ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」

2011-05-23 | 非・悲・否・避「常識」
土曜日にETV再再放送です。


以下は、過去に書いた文章です(一部加筆修正しています)。
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こちらの小出先生(非公式)ブログで見ることができるそうです→コチラ

同心円状ラインではなく、高い線量の地域(ホットスポット)があることを知っており、実際に現地に入って計測をすることで示した人たちがいます。

文部科学省はその測定数値が高いことを把握していたのに、「地名を出すと風評被害になるから」とその地域の住民にリスクを知らせなかったことが番組の中で紹介されました。
政府のアナウンス前に住民の避難を促した研究者らの話です。

何人かの重要人物が登場します。

放射線医学研究所の線量計測部門で研究員をしていた木村真三先生は、調査について上から(※厚生労働省から、ということだそうです。)圧力がかかったために、辞表を提出して現地調査を開始。
この調査を全面的に支援したのは元・理化学研究所の岡野眞治博士 。
「海底 γ 線測定 -成果とモデル化-」等いままさにタイムリーな研究テーマにも協力。
そして米国の水爆実験で被ばくした人たちの調査にも協力。
(過去のNHKのチェルノブイリの取材時にも同行)

撮影スタッフが2人の研究者らと原発周辺から国道をたどって福島市・郡山方面へと、学校敷地なども測定しながら移動していきます。低い地域もあれば針が振り切れてしまう地域もあり、均一な汚染ではないことがよくわかります。

そして、避難区域圏外だった飯舘村を調査したのは京都大学の今中先生と広島大学等のチーム。
そこは「現実とは思えない」(今中先生) ほどの数字。
「3 月 28 日と 29 日にかけて飯舘村周辺において実施した放射線サーベイ活動の暫定報告」4月4日

この事実は新聞報道もあったのですが地名や数字を含めた詳細は記載はなかったようにおもいます。

資料より;
「村役場周辺を含む村内北西部の放射線レベルは毎時5~7マイクロシーベルトで、伊達市方向へ向かう峠を越えると毎時2~3マイクロシーベルトに減少した。村内北東部では、飯舘牧場付近の毎時4~5マイクロシーベルトから大倉付近の毎時2~3 マイクロシーベルトへと減少した。
村の南部地域では、北部に比べて大きな放射線レベルが認められ、比曽川沿いの下比曽から蕨平にかけては、毎時10 マイクロシーベルトを超える放射線レベルが認められた。この地域での車内での最大値は毎時20 マイクロシーベルトであった。この地点おける車外道路上(地上約1m)の線量は毎時24 マイクロシーベルトで、隣接している畑地では毎時30 マイクロシーベルトであった。」


最後に。

この番組の制作に関わったのはNHKの放送文化研究所の七沢潔さん。
2009年に雑誌「世界」に連載されたテレビと原子力についての論功で科学ジャーナリスト賞を受賞。

政府や東電の不作為や意図的な健康リスク無視の実態を伝えたこの番組。
高く評価される一方で、時間的な制約とは別に「伝えていない」(伝えることが難しい)部分もあるのではないか、ということも気になります。

いずれにしても、研究者、ジャーナリスト生命をかけての仕事ではないかと思う仕上がりでした。

【参考】
「原子力 50 年・テレビは何を伝えてきたか」メディア研究部 七沢潔

原発事故を問う―チェルノブイリから、もんじゅへ (岩波新書)
岩波書店


東海村臨界事故への道 払われなかった安全コスト
岩波書店

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