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自動車趣味…その果てしなき天国と地獄についてのブログです。オーストラリアでのロータスエクシージによる海外レースなど。

スポーツエリーゼ①

2006年02月22日 11時20分59秒 | Weblog
ロータスワンメークレース初年度も終わりに近づいた2001年暮れ、当時のロータスディーラーでありレースの主催者である「K&M」より、翌年度はスポーツエリーゼを中心にレースをしたいとの打診があった。なんでも安全基準が厳しくなり、ロールバーのない車はJAF公認レースでは走れないらしい。社長のM氏より何回か良いオファーをいただいたが、S1エクシージは大変気に入っていたので、あまり乗り気じゃなかった。2年目第1戦、エクシージにロールバーをつけて参加することにした。
1戦目は3月だった。ほとんどサーキットだけで13000km走ったエクシージにもう去年の輝きは見られなかった。タイヤもラジアルだったこともあり去年のタイムの4秒落ちだった。当然スポエリ勢に勝てるはずもなくただ落ち込むだけのレースとなる。

スポーツエリーゼ、、、エリーゼの名前を持つが全く別の車。200PS、重量700kg、エンジンルームとコクピットの間には鉄板の補強、フルロールケージ、フロントAP、リアブレンボ、ストレートカットギアMT、スタックロガー、ダイナミクス別タンサス、レカロ、ブレーキバランサー、ハブも別物、何よりセンターシート、、、などなど。初めて乗ったのは前年。スポエリを2台持つS氏に借りて筑波を走った。電撃が走った。スリックタイヤのそれはギヤ鳴り、エンジン音はすごいし、振動もすごい。ハンドリングも全く限界がわからない。Fスポと地面の間はわずか4cm、コーナーではFスポのバンクセンサー?が路面を削る。とても扱えない。しかし楽しい。間違いなくこれはレーシングカーだ。

レーシングカーを持つなんてこんな贅沢が許されるのか。
しかもセンターハンドルのスポーツエリーゼはイギリスでレースに使われた中古しかない。値段は900万円。加えて輸入元のいろいろなうわさ。ロールバーも装着し、去年のレースで痛んだ外装も全塗装近く塗装しなおしてぴかぴかにしたエクシージを横目に見ながら揺れていた。今まででいろんな面で最も難しい車選びだった。
次のレースに間に合わせるためと、諸事情(!)により、大至急空輸で入れることにした。そして最後の砦、定期預金を解約し、現金を握り締めて「K&M」に向かう。
スペアカーで使われただけのほぼ新車に近い無事故のスポーツエリーゼ、のはずだった。
が、初めて工場で見たそのスポエリはエンジンがかからないどころか、フロントガラスがわれ、アウターパネルは全てひび割れ、その色も全くばらばらな車だった。知らない人が見たら完璧に廃車だと思うだろう。社長M氏「レースカーなんてこんなもんですよ。」
あぁ俺はこんなポンコツに1000万払ったのか。現預金を全て失い、4,5,6月の税金をどうやって払っていこうか考えながらの帰り道、唇が震えた。多分顔面も蒼白だったに違いない。あぁ、本当に唇って血の気がひくと震えるんだと思った。

いま、オーストラリアで1年レースをして改めて思う。「レースカーなんてこんなもんですよ」

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