Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

第4回海洋大学港区連携講座「海の科学を学ぼう!1」

2011-12-13 | 水圏環境教育
東京都港区港南子供中高生プラザでは,この度4年目となる海洋大学港区連携講座「海の科学を学ぼう!!」が開催された。
まず,毎年お世話になっている中高生プラザの館長さんをはじめスタッフの皆さんに感謝申し上げたい。
90名近くの小学1-3年生の子供達が参加しているが,子どもたちの会話が非常に興味深い。

何が興味深いかというと,人の話をじっと聞くことにまだ慣れていない子供たちも「海の科学」で学習することによって目を輝かせながら生き物や石を触ったり,虫眼鏡で見たりする。その上で,自分たちが何かを発見する。すると様々な発話が出てくる。教室の中は,シーンとして探究活動が活発に行われている。静かなのは,先生が一括したからではない。子どもたちが自ら進んで集中して学んでいるからである。

今日は「砂浜でハプニング」というテーマの授業である。
「どうしてこうなの?」「サンゴは動物なの?」「この砂はどの石からもとになっているの?」「この砂をよく見たら,貝殻の色や形に似ている。」「もしかしたら,これは貝殻が砕けて砂になったの?」と実は砂浜は石だけではなく貝殻やサンゴやできているのだ,ということを子どもたちが観察し,発話しながら,発見し,結論づけていくのである。

さらに,子どもの会話が続く。「ぼく,津波がこわいと思っていたんだ。どうして津波が起こるのかを知っているよ。それから,魚はどうしているのだろう。」「あの時は,2回大きな地震が来てね,怖かった。」と海=津波=怖いと捉えているようであった。しかし,会話を聞くにつれて子どもたちは海にとても興味があるようだった。にもかかわらず,海に対する学習環境が十分に整っているとはいえないのも事実である。海の科学の学習はこれからもっと充実させるべきである。こんなに集中して学ぶ姿勢は他に観察できないだろう。

「沖縄の海に今度行くんだ,行ったらサンゴの破片を見つけたい。」と前向きな方向に気持ちにシフトしている様子が伺えた。


コーポレートガバナンスと水圏環境教育

2011-12-07 | 水圏環境教育
オリンパスの問題がはっせいし,コーポレートガバナンスが話題にあがった。
ウイキペディアで調べると

コーポレート・ガバナンス (英:corporate governance) とは、企業の経営がいかに指揮されるべきか、特に企業の首脳部にあたる取締役会の枠組みをいかに構築していくべきかを論じるものである企業統治(きぎょうとうち)とも訳される。一方で、首脳部で決定された方策をいかに実行するかはマネジメント(運営)、またその運営状況をいかに管理・監督するかとの問題は内部管理・監督(Internal control)、さらに企業のシステムが健全に機能しているかを審査するのが監査(内部監査と外部監査に別れる)である。

となっているが,

英語では

Corporate governance is a number of processes, customs, policies, laws, and institutions which have impact on the way a company is controlled. An important theme of corporate governance is the nature and extent of accountability of people in the business, and mechanisms that try to decrease the principal–agent problem.
コーポレートガバナンスとは,会社をコントロールする為に必要な要素としてのプロセス,習慣,政策,法律,制度などである。
コーポレートガバナンスの重要なテーマは,プリンシパルーエージェント問題を軽減しようとするビジネスやメカニズムの関係者の説明責任の本質や範囲である。

となっており,全く印象が異なる。

前者は管理監督に重きが置かれ,後者はプリンシパルーエージェント問題(社長と従業員,校長と教員,学長と教員,生産者と消費者,漁業者と消費者,漁協と漁民,上司と部下の問題,大方の組織の問題はこれに起因する)の軽減に重きが置かれている。発想の違いがあるだろうか,後者の方がわかりやすい。しかし,日本社会では後者はあまり堂々と議論されない。なぜなら,我が国にはプリンシパルには従うべきだという伝統的な生真面目さがあり,プリンシパルーエージェント問題はあり得ないのである。エージェントは口を挟む余地はないのだ。

そう考えると,「みんなで気づき,考え,理解し,行動し,発信する」という水圏環境教育の理念をさらに普及・推進することの重要性が再認識される。

自ら考えて行動することを促す防災教育の取り組み

2011-12-06 | 水圏環境教育
朝日新聞(11月8日)の記事から防災教育の取り組みについて紹介したい。
自ら考えて行動することを促す取り組み。
防災だけでなく,水圏と人との関わりに着目して総合的にとらえる取り組みとすることで,コミュニティ活性化にもつながっていくと思われる。
水圏環境教育の提唱する「みんなで気づき,考え,理解し,行動し,伝える」人間力の育成と相通じるものとなる。

変わる防災教育 校外でも注意、「自ら考えて行動」促す
 東日本大震災を機に、学校の防災教育が変わりつつある。自宅や通学路など校外で被災した場合の注意点を日頃から意識したり、緊急地震速報が流れた場合を想定した訓練をしたりするなど、非常時に柔軟に対処できるようにするための取り組みが埼玉県で進む。

■家の間取り書き家族と改善

 「タンスの上に、落下しそうな物はないか」

 「避難を妨げる危険物はないか」

 自宅の間取りを方眼紙に書き込み、家具や家電の設置状況を記して、一つずつチェックする。埼玉県川口市立幸並中学校の、ある日の授業風景だ。

 同校では今年度から、1年生が総合学習の時間を使って、災害時に家族も含めて身を守る方法を学んでいる。机上の学習だけではなく実践することが特徴だ。

 生徒が家族と話し合って作ったリポートには「テレビを固定した」「避難路に物を置くのをやめた」「近くに防災ずきんを置いて過ごしている」など、様々な改善点が並ぶ。

 自宅から最寄りの避難所までの道筋を、丹念に観察して歩いたこともある。

 「地震で窓ガラスが落下する可能性がある」

 「木造住宅が密集し、大きな火災が発生する可能性がある」

 気付いたことを記録シートに書き込み、災害時の行動に生かすという。

 担当の藤倉徳子教諭が意識するのは、東日本大震災で、校舎が津波に襲われながら機敏に避難し、児童や教職員が全員助かった学校があることだ。「生徒が学校で過ごす時間は1日の約3割。校外でも、自ら頭を働かせて危険性を把握し、災害時の行動に生かしてほしい」と願う。

 生徒たちは1年をかけ、応急手当ての仕方や、負傷者を運ぶ担架の作り方、炊き出しの方法など、他者を助けるための要点も学ぶ。

 授業の講師も務める高橋秀・市災害対策室主幹は「20~30代の人は地域の防災訓練への参加率が低い。学生のころから防災を意識することが、地域の防災力を高めることにもつながる」と期待する。

■緊急地震速報流れた際の訓練

 緊急地震速報が流れた場合を想定した訓練をする学校が今年度、埼玉県内で急速に広がっている。県教育局によると、予定分も含め、政令指定都市のさいたま市を除くと698校で、小・中・高校など公立校の6割近くに達する。同市でも複数校が実施しているという。

 速報は、地震発生直後の観測データから推定された震源や地震規模を元に、震源から離れた受信機のある場所へ強い揺れが到達する予想時間などを知らせる。揺れに見舞われる寸前で避難できる可能性があり、被害軽減が期待されている。

 同局の担当者は訓練について、「自ら考えて行動しなければならない状態にいかに近づけるかという課題があり、大震災で速報の活用に注目が集まったのではないか」とみる。

 県内での先駆けは、熊谷市立妻沼小学校での訓練だった。速報を生かす訓練の普及を図る熊谷地方気象台と同局が連携。実施されたのは、大震災の約1カ月前の2月17日だった。

 同校は訓練前、速報が流れた場合の約束事を児童に教えた。「出入り口近くの児童は、扉を開けて避難路を確保してから机の下に潜る」「体育館では頭上に照明がない場所に座る」といった具合だ。実際の訓練では、一部の教室で通常の避難経路が使えないというシナリオも織り込んだ。

 小淵美喜夫教頭は「初めてだったので教員の意識も高く、熱心に打ち合わせた。訓練は私語もなく緊張感があった」と振り返る。

 3月11日の大震災では、校内に4年生以上の児童がいたが、パニックにならずに避難できたという。「落ち着いて行動できた」と話す児童が何人もいたとして、小淵教頭は「訓練の経験が生きた」と語る。

 ただ、同局によると、受信機やケーブルテレビを通じて速報を受信できる学校は県内に十数校しかない。ほとんどの訓練は「仮想」にとどまっている。文部科学省は、今後3年間で全国の学校に受信システムを整備するための費用を、新年度予算の概算要求に盛り込む方針を示している。(四登敬、小室浩幸)