Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

平田オリザ氏講演「新しい広場を作る 賢治の祈り」in 岩手県立大学宮古短期大学部

2011-12-19 | 水圏環境教育
今日は,「新しい広場を作る 賢治の祈り」という演題である。 
平田オリザのオリザはグスコーブドリのオリザから取った。広場とは何かを考えていきたい。
復興に向けてみなさんは多くのことを取り組んできた。今回11兆円であるが,この5年間で40兆円ではないかと言われる。韓国の1年間の国家予算となる。これは大事な事だと思う。
経済発展の犠牲になっていた東北地方の復興に負担すべきである。

しかし,幸せに結びつかなければいけない。
自己判断を失う危険性がある。
例) アメリカ先住民族がドラック中毒に陥った例
これを防ぐために地域性が大事である,と思っている。

別の視点から考える。
画一化した地方都市の風景について,全国回って感じること。70年代末のアメリカの風景に似ている。損当時のアメリカは,ベトナム戦争で落ち込んでいた。完全にコミュニティーが寸断されていた。

日本もシャッター通りが犯罪の温床になっている。ここ20-30年で消費社会になった。利便性を追求するあまり失ったものは,無駄に見える社会おいて機能を失ったものが多くある。 例)鎮守の森,神話伝承だ。商店街ではまず床屋さんと銭湯が最初に潰れる。浮世床,つまり人と人がであう場所である。このまま急ぎすぎ,合理性だけで行くとコミュにティスペースがなくなる。床屋に行くと情報スペースがある。ひまなおじさんたちが教育係であり監視係である。駄菓子屋さんのおばさんがセーフティ-ネットである。ところが,市場原理は地方ほど荒々しく働く。与那国島は本屋さんがない。東京から2000km,台湾まで100km,
辺境ほど輸送とコストが掛かるので売れるものしか置かなくなる。
大規模書店は売れる本から置かれている。
盛岡ぐらいの地方都市は古本屋さんは何件かあったが今は成立しにくい。
それでは古本屋さんが必要ないかというとそうではない,文学青年が育っていた。そうゆう場所が地方の文化を育んできた。

それを新しい公共という立場でNPOで支えようというものである。地方都市ほど必要になってくる。東京大阪は市場原理で支えられる。空き店舗を借り上げてジャズ喫茶をやってもらおうというのがジャズ喫茶。かつて十年ほど前から,凶悪犯罪が地方に拡散するようになった。理由は,子供たちの居場所が限られて閉塞化している。ゲームセンターやカラオケボックスしかない。お風呂屋さんや床屋さんがない。いじめの温床になっている。渋谷は30年ほど前まで小さな町であったのが,無理やり広げられた。何とこのセンター街にはチーマーガいる街になった。市場原理でマチを広げてしまったので,公園が全くない。宮下公園ホームレスが多い。社会的弱者が右往左往する場所がない。折り合いがつかなくなった。六本木に流れて渋谷出身の不良少年が溜まっている。悲惨な例が東村山で撲殺した事件。図書館に寒い時期でホームレスで少年もホームレスも集まった。塾の帰りに撲殺した。社会的弱者の居場所を作って来なかった愚策がある。

引きこもりでもコンビニにはいける,また,図書館は新しいひろばになっていく。例)街づくりから言うといじめはあったが,学校だけがいきる場所ではなくて,学年を超えたガキ大将とか,仕返し,という言葉がない。オトナになると自殺をしてしまうことになる。重層性があるというのが岩手の沿岸。しかし,行政が人工的に街をつくろうとすると街の機能が壊れてしまう。

様々なメニューを用意して何かのアクティビティによってつながりを作るようにする。強固な共同体を作っていく。ずっとはもたない。環境保護運動,ボランティア活動は車で30分圏内で集まってくる。好みがあれば他所の地域移動する。

全員でやらないといけない,全員が共同作業する,というようなものは無理である。そうではなく,誰かが誰かを知っている緩やかなネットワーク社会構築が必要。
岩手県は米作らなくても良かったが,南部が徳川体制でなければ,デンマークのような社会が作れたのではないか。

人と人がであう緩やかな場所を作る事が必要。文化による都市の再生に取り組む。
中核にアートセンターのようなものを作ってマイノリティの人たちのものを作る。
日本ではガス抜きといして委員会を作る。そうではなく,住民に還元するような新しい公共の場を作ることが必要。社会参加しやすい場所を作る。例)ヨーロッパ,ホームレスプロジェクトーお風呂とオペラ,芸術文化に触れる。文化施設の大きな役割である。
アゴラ劇場は大幅な割引。
ソーシャルインクルージョンがこれからは必要である。 地縁血縁,企業の終身雇用制も崩壊。
生まれたのが無縁社会である。孤立しがちな人間を文化活動によって社会につなぎとめていくという社会を作っていく。

ニューカマーに来てもらうためにはソーシャルインクルージョンが必要である。
例)ソーシャルインクルージョンで成功した例 フランスのナント市 パリから芸術家を呼び寄せた。観光地としても栄えるようになる。産業も復興した。ナントブランドのクルーザーが売れるようになった。

例)失敗例イベント型の都市政策大阪病
ディズニーランドは浦安市市民が年間パスポートを持っているがUSJには地元の人が行かない。―地元の人が行かなければ人が集まらない―
成功例 同心円状の集客,市民参加型 天神橋商店街
寄席に来る噺家が飲み会に参加してイベントを盛り上げた。商店街はポテンシャルがあるが,経営難ではなく後継者難である。元気が出る広場を作ることがこれから重要である。

水都大阪2009
来場者数190万人 市民参加型 総事業費9億人
地元のボランティアで大成功
横浜開国博有料
124万人 想定は500万人 150億円あけ大失敗。外からだけの集客には限界がある。
地元のアートボランティア

外からの集客だけではなく,市民芸術祭。
例)都市の好感度ランキング富良野8位。特殊である。富良野は半分は海外からの観光客。韓国香港台湾シンガポール。全校生徒15人の中学校に30人の農民が参観に着ている。ブランドイメージを高めるためには消費者ニーズを高めるため,コミュニケーション能力が農家ほど必要であるという意識を強く思っている。
富良野高校に演劇コースを作った。プロの俳優ではなく20-30年後の発信力を持った人材を考えている。

悪い例)A町の惨状―大観音世界最大の5重の塔,150mのモノレール,五重塔の下に回る聖徳太子,カナダ村破綻,100億円かけ,昨年1億円で売られた。東京のデベロッパーに騙された。その隣町が富良野である。
観光としてはA町のほうがいい。温泉がある。自分たちの強みが何で,外から人がくることが何かを知らなかったら東京に搾取される。自分のお金ではないので考えなかった。天満天神は旦那衆が身銭を切った。

みなさんはどちらを選びますか。
文化の自己決定能力を持たなければ,収奪される。
公共事業だけをやってもいけない。消費社会であり,東京資本に吸い上げられている。地産地消が必要であるが,大切なのはソフトの地産地消である。自分たちが楽しんで付加価値を高めることによってよそにも伝わり集客に結びつく。

全員が観光的なセンスを持っていないと成り立たない。どれだけの化学式を暗記しているかではなく,どれだけの若者がサービス精神国際性をみにつけていることが必要である。

一人ひとりがアーティストにならないといけない。農業や漁業だけの県ではない。芸能を持った豊かな県である。楽しめる岩手県にして欲しい。魅力のある復興にしていただきたい。