Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

フィヨルドでのクルーズに向けて1号線を南下

2012-07-06 | 水圏環境教育
アンカレッジから車で国道1号線seward 道を南へ2時間するとSewardという港町に到着する。氷河に覆われた山々を眺めならのドライブである。規模は異なるが
106号線沿いを走っているようなものだ。


この港町には水産加工業と販売を営む小さな店があった。水産加工業の看板につられて店内をのぞくと確かに魚はあるが,陳列ケースは幅1mと小さくハリバット(オヒョウといい,畳一畳になる巨大なヒラメ)とベニザケの塊が並んでいた。裏側にはスズキの軽自動車がとまっていた。ナンバーがなく,おそらく港内で使用するのであろう。Light Truckと書いてあった。

漁船は見えず,遊魚船が目立つ。


日本では考えられないが,港は一般の観光客向けのカラフルなお店が建ち並ぶ。

港内には釣具店も堂々と構えていた。アメリカ合衆国では,漁業権は州政府が管理している。私も,日釣り券を購入した。税込みで20ドルだ。1週間で50ドルである。特に,国籍は関係ないようだ。もちろん,海釣りもライセンスが必要である。


夏休みを利用して家族連れでロックフィッシュ(メバル,ソイの仲間か)とヒラメの仲間(オヒョウか?)を釣り上げた家族が記念写真を撮っていた。とても楽しそうである。自分の釣った魚をお店で買い取ってくれるようである。



日本では,川や湖では遊魚権が必要であるが,海に出れば誰でも自由に釣っていい。一方で,川,海の漁業権は,漁業協同組合が管理している。釣りでは自由に誰でも釣ってもいいが,漁業権はある一定期間従事している者に限られており,現実的に一般人に対し開放されていない。あくまでも海の漁業協同組合は漁業者のための組織であり,遊魚者のためのでもなければ,一般市民のためでもない。

明治初期には多くの漁業者が存在していたことから,漁業者を優遇する漁業権の制度が誕生したものと推察する。(ちなみに,漁業権制度を確立したのは,代議士であり水産翁の称号を持つ佐賀県出身の村田保という人物である。彼は,現在の東京海洋大学創設に貢献した人物の一人である。)日本の漁業の現状に合わせて,日本固有の制度が作られたとも言える。漁民の生活の向上と国民に対する安定的な水産資源の供給が大きな柱であったのである。しかし,漁民が少なくなり,多くが消費者となった今日において,漁民が優遇された漁業権の制度では,一般市民の海へ接する機会が限定的なものとなってしまう恐れがある。現状の水産行政機関はあくまでも漁民の立場に立った機関であり,一般人に対する配慮は十分ではない。海洋の持続可能な利用を考えた場合,生産だけではなく消費する側の体験を通した意識の改革が求められる。これからは,それらを調整する機関を十分に整備する必要があるだろう。