Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

東京で大人気!! 宮古産ニシン

2010-03-24 | 話題
「ニシンの塩焼きをお願いします!!」とほどなく登場したのは、つややかな新鮮そのもののニシン。体長は30センチ弱。場所は五反田駅付近の飲食店。

 ニシンというと、輸入物をよく見かける。アラスカ,ロシア,ノルウェーが有名である。

 しかし,このニシンは普段見慣れているニシンとは見た目が違う。輸入もののニシンは、体高が高く、顔も大きい。そして、目が赤い。目が赤いのは鮮度が良くない証である。

 この度,お見かけしたニシンは,スマートで表面がツルツルしており何処と無く、違うのである。目は赤くないのは、鮮度が良いことを物語っている。

 (ワカサギ博士)「源さん、このニシンはどこの?」(源さん)「えーと、岩手の宮古」(源さん)「この魚のすごいのは、しめていることだよ」 と、右側の体側を見れば,尾に血抜きのあとがあった。鮮度を保つために工夫をこらしてているのだ。

 ニシンを美味しくいただきながら,ニシンの資源回復に取り組む漁師さんの話をした。以前,春になると宮古湾にはニシンが産卵のために藻場に集まった。しかし、環境の変化などによりニシンの資源は激減。

 地元の漁師さんは、一念発起。ニシンを復活させ,地元の特産にしようと地元の栽培漁業センター、東京大学とともに研究に取り組んだ。

 そして、偶然にもニシンの仔魚が浅瀬に設置してある定置網で集まることを発見した。ニシンだけでなく50種類もの海産魚の仔稚魚を確認したこと、そのことで宮古湾の藻場を守る活動が始まった。今や、ニシンの資源も少しづつ回復し、毎年ニシンの料理教室が開催される程になっている。

 同席していたさかなクンも、ニシンのウマさに感動し私の話に真剣に耳を傾けてくれた。

 早速生産者の山根さんに電話で報告した。(山根さん)「このニシンは私一人の力ではない。みんなで関わって資源を回復したんだ。」ときっぱり。「他の場所では刺し網漁が中心で、死んでから12時間以上たってから漁獲する。しかし、宮古のニシンは定置網で漁獲しているので出荷直前まで生きているのです。」鮮度が良い理由がこれでわかった。

 おそらく、このような生産者の地道な取組はニシンだけではない。一匹の魚に隠されたドラマをもっとアピールし、水圏環境リテラシーとして共有したいものである。