Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

◎4プラスαとは何か?

2010-03-17 | 水圏環境リテラシープログラム
4プラスαとは何か?
 原点に立ち返った水産のとらえ方すなわち,技術革新とプラスαが必要であるということを見てきた。
 それでは,そのプラスαとは一体具体的にどのようなものであろうか?

 それは,生産者と消費者が一体となった新しい取り組みだ。
 
 これまで見てきた様に,経済活動に大戦後市場原理主義が導入され,機械化が進み効率的な生産が可能となり,水産業は躍進した。その結果、最大の漁獲量を上げる様になった。

 しかしながら,そのような漁獲量の増大は恒常的に望めるものではない。今日に至って、水産資源の減少,漁価の低迷,水産物消費の低迷、漁業後継者の不足など多くの問題が山積するようになった。もはやこのような問題は従来のやり方では解決できない。もちろんこれはすべての市場原理主義に基づいた経済活動全てに当てはまる。
 
 このような局面に立ち向かうためには、生産者と消費者が一体となった新しい取り組みを実施することが必要である。このことで,今日の混迷の時代を乗り越え新しい持続可能な社会が実現されると確信する。

 新しい取組とはどのようなものか?
 
 これまでの市場原理主義では個人の利益を追求した。その結果,生産者は生産者自身の利益を追求し,消費者も個人の生活にとってより良いものを追求し、結果的に経済活動が活発化し、所得も増大した。

 このような関係では,「人間は自然の一部であり,全ての物質が循環する。自然と共生することでそこから食料としての恵みをいただく」という「水産」本来の思想が抜け落ちている。
 
 一方,「生産者と消費者が一体となった新しい取り組み」とは,本来の日本の風土にあった自然との共存としての「水産」を消費者や生産者という垣根を越えて認識し合うことである。ここには,生産者と消費者という対立軸はない。生産者と消費者は共存するのである。脱生産者,脱消費者である。もちろん、これは新しい取り組みというより日本の伝統文化に根ざした考え方ではあるが。
 
 3500種類もの魚介類を食し,豊かな自然環境に恵まれた国に生きる国民として,そして太平洋に浮かぶ島国として,日本の果たす役割を考えたとき,このような水産の見直しは,新しい時代を切り開く試金石となると確信する。