蹴球放浪記

緩まない、緩ませない。
横着しない、横着を許さない。
慌てない、「だ」を込める。

「格差」への復讐としての物語。

2007-02-16 14:29:01 | Hiroya's Note

うーん、じぇーつーの民だけではいけないな、と思った。
ご指摘ありがとうございました。

サッカーゴール裏のデコレーションの定番となりつつあるのがチェ・ゲバラ。
南米の革命家で、医者の免許を取り、南米中をオートバイで放浪して
社会の矛盾を見たことで革命運動に参加、キューバ革命の影の主役。
で、最近はその隣に見たことのない女の人を持っていくことが多い。

・・・このひと誰?
  どういう意味があるのかな?
と思った人がいるかもしれない。

この女の人はエビータ・ペロン。
アルゼンチンの大統領夫人だった人。
この人を題材にしたのがアンドリュー・ロイド・ウェバーが作って
マドンナ主演で映画にもなった「エビータ」というミュージカル。

今回はこのおはなしをちょいと深読み。
その前にどんな時代だったか、おさらい。
・・・はじめて知ったとき自分はとても驚いたのですが。
このおはなしが実際にあったころ、北半球ではちょうど第2次世界大戦が。
というわけで、ブラジル、アルゼンチンが世界で一番裕福な時代のことだった。

結局は「二号さんの家に生まれた美人による国全体を巻き込んだ細腕繁盛記」
なんだけど、いろいろ整理してみると今の社会につながることが多い。

まずな、一番最初のお葬式のところ、舞台版じゃさらっと流しているけど、
映画版は象徴的なシーンを混ぜている。
生んでもらったお父さんの葬式にたどり着いたはいいが、ちゃんとお悔やみを
いうことを許されず、小さいエヴァがお父さんの遺体にキスするところ。
そのあと自身の盛大な葬列のシーンにつながる重要なところなんだけど。

で、あれからも散々格差に苦しんだんだろう、そこから抜け出すために
マガルディという妻子もちのタンゴ歌手に体を許して大きい街に出て
自分の美貌を利用してモデルから女優になって力のある男の人の庇護を
得ようとして、最後つかんだのがペロンだった。

それからが自分を散々苦しめた「格差」に対する復讐の始まり。
これがまあえげつないほど国民を煽り、それでいて彼女の格好がうそ臭さと
空々しさを強調している。

で、「格差」を与えたものに対する仕打ちをやりながら「格差」にあえいだ
民衆にお金をばら撒くというねずみ小僧とおんなじことをしながらもちゃっかり
私服は肥やしている(あれっ?)。

で少しずつ復讐は果たされていくのかな、というところで病に倒れ、
これが「女神性」を高めていくのかな、というところでおしまい。

こういったお話を全編にわたって冷徹に観察しているのがチェ・ゲバラなわけで。

こういった乱暴なやり方しかおれらには変えていく道はないのかもしれない。
でもカトリックが「格差や差別」を基本にして世の中を動かしていく、という前提を
潰していかないことにはおんなじことの繰り返し。

世界がここまで狂ったのはキリスト教の所為なのか?
鎖国というやり方を選ぶことで狂いを避けた徳川幕府は賢明だったのか?
そういうことを考えさせられた。



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