賃借権と抵当権の順位変更登記はできませんが,複数の抵当権が登記された後に賃借権の登記がなされたとしても,賃借権を優先させるという抵当権者全員の同意があった場合は,その旨の登記をすることができます。
民法387条「登記をした賃借権は,その登記前に登記をした抵当権を有するすべてのものが同意し,かつ,その同意の登記があるときは,その同意をした抵当権者に対抗できる」という規定によるものです。
登記の目的は,◯番賃借権の◯番抵当権,◯番抵当権に優先する同意
登記原因は年月日同意(順位変更のときには「合意」となりますので要注意)
権利者は賃借権者で,登記義務者は抵当権者になります。
添付書類として,登記義務者の登記識別情報の他に登記原因証明情報が必要になりますが,そちらの方は,新日本法規の『登記原因証明情報モデル』を参考になさったらいいと思います。
また,添付書類として転抵当権者等の利害関係人がいた場合は,利害関係人等の承諾書が必要になります。
上記民法387条の規定は,平成15年7月25日に成立した「担保物件及び民事執行制度の改善のための民法等の一部改正をする法律」により,新たに設けられた制度です。
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