鹿児島市の司法書士喜山修三のブログ

相続や売買の不動産登記,会社設立や役員変更,債務整理,成年後見等を業とする司法書士事務所の所長の法律や日々の雑感を掲載。

利害関係人が取締役会の議長になることについて

2021年12月06日 | 会社法

 利害関係人が取締役会の議長になることについては、会社法の本にもあまり詳細な説明がなされていません。江頭憲治郎先生の「株式会社法第6版」でも「決議につき特別利害関係を有する取締役には、取締役会における意見陳述権もなく、退席を要求されれば指示にしたがはなければならない。また公正を期する必要上。当然に議長の職も失う。(東京高判平成8・2.8資料資料商事法務151号143頁)」との記述があるだけです。
 ところが、東京司法書士会発行の「判例研究」平成10年度版に詳細な説明がなされており、資料として、原審と控訴審の判決趣旨が掲載されています。
 判決の趣旨がとておも分かりやすいので、次のとおり記載します。
 「特別利害関係人たる取締役は、当該議案に関し、議決権を行使し得ないことはもとより、取締役会の定足数に参入されないことから、取締役会への出席権もないというべきであって、結局、取締役会の構成員から除外されると解するのが相当である。特別利害関係人として取締役会の構成員から除外されるべき代表取締役は、当該議案に関し、議長としての権限も当然に喪失するものと見るべきである。以下省略」(東京地判平成7・9・20。判例時報1572号)
 この判決に対する控訴審判決趣旨。「控訴棄却。本件取締役会決議には、議決権のない者が決議に参加した瑕疵のほかに、特別利害関係人として議決権を否定される者が議事を主宰した瑕疵があり、これらの瑕疵を帯びた本件決議は無効と解すべきである。以下省略」(東京高判平成8・2・8ジュリスト増刊平成8年度重要判例解説)

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会社から株主に対する通知等(株式の共有者)

2021年12月04日 | 会社法

会社から株主に対する通知に関しては、会社法に次の条文があります。
 株式が共有に属する場合で、共有者が、会社からの通知・催告を受領する者を会社に通知しなかった場合は、会社はその共有者の一人に対して通知・催告をすれば足りるとしています(4項)。集団的な法律関係の簡易、迅速な処理を考えると、当然の規定だと思う。

 第百二十六条 株式会社が株主に対してする通知又は催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当  該株主の住所(当該株主が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。

2 前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。

3 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、株式会社が株主に対してする通知又は催告を受領する者一人を定め、当該株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければならない。この場合においては、その者を株主とみなして、前二項の規定を適用する。

4 前項の規定による共有者の通知がない場合には、株式会社が株式の共有者に対してする通知又は催告は、そのうちの一人に対してすれば足りる。
5 省略

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株主の死亡、株式の共有について

2021年12月04日 | 会社法

 株主が死亡したことにより、株式が共有の状態になった場合、例えば株主Aが死亡し、相続人がAの子供3人だとすると、Aが持っていた株式は、3人の共有になるが、そういうときの株式に関する規定が次の条文である。

第百六条 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。

1 この条文は、株式が2人以上の共有のときは、権利を行使する者1人を決めて、 株式会社にその者の、氏名などを通知しなければ権利を行使することができない、 と規定している。
2 権利を行使する者の選定方法については、判例は、共有者の持分価格にしたが い、その過半数でこれを決めるとしている(最判平成9年1月28日)
3 ただし書きについ裁判例は、共有者間での協議・意思統一を欠く議決権行使に ついては、会社の同意があっても議決権行使は不適法になるとしている(東京高 判平成24年11月28日)

 相続人間で遺産分割の協議が速やかになされれば上記の条文を使うこともありませんが、相続人間で争いがあった場合は、平成9年の判例が役に立ちます。

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師走です。

2021年12月01日 | Weblog

 師走です。夕べの5時頃の雨はすごかったですね。そのまま嵐になるかと思いました。 
 新型コロナウィルスに翻弄されて1年半が過ぎました。会食を伴っての人と会う機会は極端にに減りましたが、自分自身と向き合う時間は増えました。
 この歳になって改めて自分自身と向き合っても、あるいは長年連れ添った妻と向き合っても、新しい発見は特別ありません。真剣さが足りないのであろうか。
 イヤイヤ真剣に向き合うと、嫌になる可能性もあるので、少々いい加減、良い加減が良いのであろう。
  朝からこんなくだらないことを書いていないで、仕事を頑張りましょう!!
 なんたって、今日から師走です。

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