70歳を前に認知症を煩っている人もいますが,90歳を超えてもかくしゃくとしている人もいます。人間,わからないものです。
先日,90歳を超えたある方が車を自分で運転して事務所に突然,相談に来られた。
「自分も90歳を超えたので何時どうなるかわからない。そこで,この前の(一年程まである)あの土地を娘(関東地方に居住)にやりたいが,そのための書類が欲しい」とのこと。
「書類が欲しいといわれても,直ぐにはできません。その前に,娘さんはその土地を貰うと言われたんですか?」と尋ねると
「まだ,話していない。でも貰うでしょう」と自信ありげに答えた。多分その方にとっては,チョコレートや衣服と同じ感覚で,あげるというものを断る人はいないだろうとの感覚だったのではででしょうか。
土地を貰うと,草刈りが大変だし,固定資産税を毎年負担しなければならないこと。何よりも,土地を贈与すると娘さんに〇〇円程度の贈与税がかかることを説明したら,大変驚かれた。そして私は「土地を贈与するときは,まず税理士さんに相談した方が良いですよ」と言った。
更に私が「娘さんは土地よりも現金の方が嬉しいんじゃないですか」と言うと
「娘は〇〇〇〇と結婚しているから,お金に不自由はしていない」との返事。
それでも心が動かされたのか,土地を売った場合どれくらい税金がかかるかと聞かれたので,大雑把な金額ですがと,大体の金額を答えた後に,「いずれにしても先ずは税理士さんに相談した方が良いですよ」と再度,言った。
その方は,永年会社を経営していたので,知り合いの税理士の所に相談に行く,と言われ帰られたが,90歳を超えて,このような会話ができることが凄い。
後で考えると,何を食べて,どのような生活をしたら,90歳を超えてもそんなに元気でいられるのかを教えて貰えば良かった,と思った。その方は,実年齢より恐らく10歳以上若く見えます。世の中には,凄い人がいるものです。