陸の孤島の司法書士事件簿 紙一重 (双葉文庫) | |
深山 亮 | |
双葉社 |
司法書士にとって,相続登記は重要な業務の一つである。戸籍謄本・戸籍抄本(正確には戸籍全部事項証明・戸籍個別事項証明),除籍謄本,改正原戸籍,除籍の付票謄本。司法書士はこれらの書類と日々格闘している。正確には,毎日のようにこれらの書類を見ていますという程度です。
そんな司法書士が戸籍の記載方法を物語の重要なポイントとして書かれたのが『遠田の蛙』。幼い日の記憶は美しいものだけが残ると思っていたが,意識の底に沈んだ遠い記憶が愛する人々を苦しめる。
平成27年1月1日以降に発生した相続税は,基礎控除の額が大幅に減額されたのであるが,それを題材にしたのが『深淵』。
消費者金融との交渉と司法書士青年会の熱気が伝わってきそうな『マドンナのうしろ髪』。その他三つの物語が収録されていますが,どの物語もとても面白い。司法書士やその周辺業務の方はもちろん,一般の方々にも是非読んで頂きたい物語です。
「いやーこんな結末になるとは」やはりミステリーは,これが醍醐味ですよね。