健康楽園。

健康に関する情報・提案を主にする。

またひとり語り部が・・。

2006-09-20 | looking.
黒木和雄監督の遺作となってしまった「紙屋悦子の青春」を見ました。
「TOMORROW/明日」「美しい夏キリシマ」「父と暮らせば」、と広島の原爆悲劇など、戦時下を生き抜く庶民の日常と、生き残った者の心情を鮮烈に描き出してきました。
最後になった、この作品は、登場人物は5人だけ、シーンも、老夫婦が昔を語り合う病院の屋上と、昭和20年4月の紙屋悦子の兄さんの家だけ。
テンポは眠くなってしまうようにゆったりと進行します。
丁寧に・丁寧に、語られる物語。
丸い卓袱台・おはぎを蠅から守る蝿帳(はいちょう)など、懐かしい田舎の日常が描かれます。
思いを寄せる明石少尉が、明日・沖縄戦へ特高隊として出撃の報告に来る場面は、涙無しでは見られません。
飛び立つ直前、親友の永与に託された最後の手紙。画面では開かれることはありません。
限りなく余韻が深まります。
戦時下、抵抗もせず、素直にお国の為と、命を投げ出した若者たちを、ありのままに描くことが、強烈な反戦のメッセージになっています。
号泣でくきジワリと涙が湧き出してしまいました。
戦後60年を超えて、戦争の記憶の風化が叫ばれる今・また語り部の一人が鬼籍に入りました。
残念でなりません。感謝を捧げるとともに、ご冥福をお祈りするのみです。

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