健康楽園。

健康に関する情報・提案を主にする。

養老孟司さん。

2005-10-12 | 聴けた!imaging.
学会の特別講演は養老孟司さん。演題は「壁を乗り越える為には?」。東京大学医学部を卒業、解剖学教室に入る。現在、東京大学名誉教授。「バカの壁」がベストセラーになっている。
今年の講演は難しかった。昨年・青森大会での諏訪中央病院、鎌田實先生のお話のほうが直球で解りやすかった。涙が出るほど感動もしたけれど、今年も噛み締めれば味が出てくる素晴らしい内容だったかもしれない。
「薬学って化学(近代科学)のひとつでバケ学ともいうけれど、すごく将来性のある学問だけれど、ヤッカイな学問でもあります。
化学は、世の中の多様な物質を100数種類の元素によって表現する。原子は素粒子からできていて、その組み合わせでH20という水ができる。これを要素還元っていいます。
アメリカ人はアルファベットで世界を表してしまいます。人間が考えるすべてを26文字で表してしまいます。DOGは犬になり、反対のGODは神になります。順序と特定要素で決まります。
一方、我々は5万の漢字とひらがなを組み合わせて表します。
もうひとつの薬学の要素は生き物(細胞)を扱うということです。細胞にアイソトープを入れて観察すると、三ヶ月で消える・ということは1年経つと細胞の9割以上が入れ替わってしまうということです。物質的な自分は1年で変っているのに、去年と今年の私は変らなくて同じだと思っている。
すべての水エイチツオーは分子が同じという前提があります。化学は客観性を重視するからすべての水は同じだとする。しかし、水の分子は同じだけれども色々な水がありますね。
頭の中で考える・概念は同じという。感覚でとらえると全部違ってしまいます。動物は感覚だけで生きていますよ。すべてが違います。猫に新鮮な秋刀魚と3日経った秋刀魚を与えると、絶対に新鮮な秋刀魚しか食べませんよ。
ご主人様に2種類料理して、食べさせてください。ご主人は3日経った秋刀魚も秋刀魚だという概念で食べてくれますよ。(笑)だから女性の方が長生きしますね。(笑)
人間は、自分は60億分の一で違うんです。同じで、変らないものは情報なんですよ。ニュース、テレビ、インタ-ネット、映画、本、映画だって、動いてるんじゃなくてコマ送りです。すべてを同じにしていっているのが情報です。私たちは同じという情報の世界にはとんど浸かっています。
皆さん同じ世界にしないで欲しいのです。
60億人、顔が違う、人と違うのは当たり前です。
違いをどんどん捨てているのが、文明社会であり、情報なんです。キリストやイスラムという宗教も自我というもの、天国という私が戻るところが決まっていて変らない世界です。西洋はそういう世界を作ってしまった。今から・皆さん中世を作るんですか?
最近5-6人でレンタン自殺する方も増えてきましたね。私は学生に、人間の死亡率は100%だと言っているんですよ。必ず死ぬ。死に急ぐのは、つまらないから死ぬんですよ。
人に伝えるのは難しい。同じにして概念にして伝えないと伝わらない。感覚だけで伝えようとするとサルになってしまう。
その間を行ったり来たりするのが薬学ではないですか。
患者は検査の結果としてしか認識されないでしょう。客観的で確実なのが検査値だから。しかし、違うものと両方あって人生は成り立っているんでしょう。漢方医療は一人一人に合わせて治療します。薬は効くんだか、効かないんだか、私は飲みません。(笑)医療なんてインチキ、サギの世界で成り立っているんじゃないですか?患者さんの顔見て砂糖を出してもいいんです。
バランスとってもらうのは皆さん一人一人しかないんです。」
なかなかクセ球、アイロニーに満ち満ちた、解りにくいお話しでした。
我々は、くすりの能書がこまかく副作用などが、ギッシリ書かれているものに縛られて処方していますが、もっとダイナミックに人間一人一人を見ろ!
マニュアル人間になるなっていう警鐘だったのかなーーーーー?
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