まほろ駅前多田便利軒文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
そこに軽トラックを操って、なにごとでもお引き受けする便利屋・多田が営業している。
旅行に行くので、ペットのチワワを預かって欲しい、という依頼がオープニング。
契約期間が終わって、返しに行くと、引越しして依頼主は、蛻の空。
そこに、「このひとはどうでもいいんで、ハイシーやチワワのことはもちろん、自分自身さえどうなってもいい」199ぺージ。
という・不気味でなにを考えているのかわからない同級生、行天が現れます。
コンビを組んで、便利屋を始める多田。
ここまでだと、単なる青春小説、ニートたちの梁山泊物語が進行すると思われるが・・・、さすが三浦しおんさん!!!
一気に、急転直下・抜き差しなら無いストーリーに発展。
行天の、切り落とされた小指は、多田が絡んでいた。
行天は、妻がいた。はるという女の子がいる。別居している。ところがその女の子は、行天が精子提供してできた子供・
便利屋に、赤ちゃんのとき産院で、親を取り違えられた50代の男性からの依頼。
ほんとうの親、家族はどう暮らしているのか?幸せなのか??
多田にも、困難。同棲していた苦学生が司法官試験に合格。収入は2,5倍。彼女が浮気を告白。直後妊娠発覚。産もう!!男の子が生まれDNA鑑定を拒否。その後一ヶ月で男の子死亡。女性半狂乱で別離。
でも、これらのエピソードが最後に向って、渦巻きの中心を見据えるように収斂してくる。
そして、なんとも読後感のいい、浄化されろ物語!!テーマを感じさせてくれる最終章となっている。
それは、
「幸福は再生する。形を変え、さまざまな姿で、それを求めるひとたちのところへ何度でも、そっと訪れてくるのだ。」334ぺージ。