教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

今日は、国際識字デーです

2006年03月18日 | 人権
手紙・・夕やけがうつくしい
わたしは いえがびんぼうであったので
がっこうに いっておりません。
だから じをぜんぜんしりませんでした。
いま しきじがっきゅうで べんきょうして
かなは だいたいおぼえました
いままで おいしゃへいっても うけつけで
なまえをかいてもらっていましたが ためしに
じぶんでかいて ためしてみました。
かんごふさんが 北代さんとよんでくれたので
大へんうれしかった。
夕やけを見ても あまりうつくしいと
思はなかったけれど じをおぼえて
ほんとうに うつくしいと思うようになりました。
みちをあるいておっても
かんばんにきをつけていて ならった
じを見つけると 大へんうれしく思います
すうじをおぼえたので スーパーや
もくよういちへゆくのも
たのしみになりました
また りょかんへ 行っても へやの
ばんごうを おぼえたので
はじもかかなくなりました
これからは がんばって
もっともっと べんきょうをしたいです。
十年ながいきを したいと思います。
四十八年二月二十八日  北代色

この作文は昭和48年、今から30年ほど前に書かれたものです。作文を書いた北代さんは、70歳を過ぎたおばあさんでした。学校に行ってなかったため字が読めず、つらい思いをしたので、なんとか字を覚えようと、『識字学級』に通いだしたのです。

『識字学級』(しきじ)とは、差別や貧困のため、学校で学べなかった人たちが、文字を獲得するため、公民館などで自主的に開いた学習サークルです。『識字学級』の取り組みは、人権を大切に思う多くの若手教師が参加することで、全国に広がりました。

月曜日の朝会で、校長先生は、字を読めない人と出会ったときのことを話しておられました。校長先生は、ちょうどこの作文が書かれたころに『識字学級』のスタッフをしていたのです。学校の仕事を終えたあと、字を学びたいという願いをもった人たちとともに、学習に取り組んでいたのです。

今日は、国際識字デーです。1965年のこの日に、イランが軍事費を削り識字教育を進めようと提案しました。この提案をユネスコ(国連教育科学文化機関)が取り上げ、国際識字デーとして世界に呼びかけたのです。現在世界には、戦争や貧困のため字を読めない人たちが10億人もいるといわれます。アメリカのハリケーン被害の中で、イラク戦費を災害防止や援助に使うべきだとの論議が起こっていると報道されています。戦争のためのお金が、人々の幸せのため使われることを願って国際識字デーの日を迎えたいと思います。(「かけはし」9月8日号より)



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