教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

縄文時代が消えた教科書

2007年04月22日 | 社会科教育
《弥生時代から始まる教科書》
 「円周率が3で良いのか?」との物議をよんだ小学校教科書ですが、6年生社会科教科書(歴史)を開いて驚きました。日本の歴史がいきなり弥生時代から始まるのです。縄文時代や旧石器時代は全国の小学校教科書から消え去っているのです。

《新たな発見が続く縄文時代史》
 ここ20年ほどの間で日本の歴史が一番塗り替えられたのは縄文時代です。私が教員になった1970年代の中学校教科書で教えていた縄文時代の生活は、洞穴や粗末な竪穴式住居に住み農耕は知らず狩猟と木の実を採集する暮らしをしていたと教えていたのです。一万年も続いた縄文時代は『停滞の時代』と考えられていたのです。

《否定された縄文時代の後進性》
 その後、縄文式土器の底から炭化した米の発見が相次ぎ、更に1992年青森県三内丸山(さんないまるやま)遺跡の発掘調査によって縄文時代のイメージは一変します。弥生時代以降(約2000年前)の建築物と考えられていた高床式倉庫が、実は5000年も前から作られていたのです。そればかりではなく高さ20mはある神殿とも楼閣(ろうかく)とも考えられる『高層建築』さえもが建てられていたことが分かりました。更に人工的に作られた栗林などの果樹園も発見されたのです。
 縄文時代の後進性は否定され、豊かな古代文化が日本列島の各地で育(はぐく)まれていたことが明らかになりました。

《学ぶことの面白さ》
 確かに縄文時代の研究は始まったばかりで不明な点も数多くあります。しかし大陸から米作りが伝わる前に、縄文人が日本列島の各地で気候や自然環境に適した文化を力強く創り上げてきた事実を知ることは、歴史学習を始める上で大切なのです。古代人には21世紀を生きる私たちも及ばないような知恵や技術があったことを知ることが、歴史の面白さに触れることになると思うのです。
 古代史は新たな発見や研究によってそれまでの『常識』が覆されることの連続でした。現在進行形の学問だからこそ、学ぶことの大切さを子どもたちが理解することにつながるのです。

《待たれる教科書の改定》
 教科書の作成は文部科学省の定める学習指導要領(全国的な学習目標の基準)に則して行われます。スリム化や精選を頭から否定するつもりはありませんが、基本までもがそぎ落とされてしまっては子どもたちにとっても不幸です。次回の学習指導要領改定により、小学校教科書に縄文時代が復活する日が来ることを望みます。



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
縄文時代がなかったことも知らなかった (田口ミキコ)
2010-05-28 19:49:20
40歳代なので私たちが学んでいたときは縄文時代があったので、付け加わった歴史はあっても、削られていたことは知りませんでした。
 子供の歴史の教科書を見る必要があるなって思いました。
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自分の国の歴史は、しっかりと教えるべき (minincyan40)
2010-05-29 23:37:28
自分の国の歴史を知っておくのは、当然のこと。今の学生は、習っていないのだから、知らなくて当然。今からでも何らかの方法で教えるべきだと思います。ゆとり教育のひずみが、日本の国を滅ぼさないように再教育をしてほしい。
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縄文時代への興味 (チャビーおじさん)
2010-06-03 17:15:54
縄文時代への教育はサラーツトでしたが、いろいろと 興味深いことがこんなに多かったのかと おもいます 縄文土器がはるか チリから 発見されたり、縄文土器は とても 遊び心があり 楽しいですね 研究者もたくさんいるとおもいますが、いろいろと 興味深い 縄文時代。。。。
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