犯罪被害者の法哲学

犯罪被害・刑罰・裁判員制度・いじめ・過労死などの問題について、法哲学(主に哲学)の視点から、考えたことを書いて参ります。

ソクラテス・メソッドは難しい

2008-02-25 22:20:21 | 国家・政治・刑罰
学生 「先生、僕の刑法のレポートが盗まれました。盗難届を出します」

教授 「レポートのテーマは何かね?」

学生 「窃盗罪における不法領得の意思の実証的研究です」

教授 「君は不法領得の意思についてどのように考えるのかね?」

学生 「権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用・処分する意思と考えます。大審院・大正4年5月21日判決の基準と同旨です」

教授 「それで、レポートを盗んだ人に心当たりはあるのかね?」

学生 「仲の悪いA君が、嫌がらせで隠したのだと思います」

教授 「それでは不法領得の意思は認められないな。盗難届は受理できん」

学生 「いや、頭の悪いB君が、無断で写すために持ち去ったのだと思います」

教授 「それでも不法領得の意思は認められないな。盗難届は受理できん」

学生 「もしかしたら、性格の悪いC君が予備校に転売するために盗んだのかも知れません」

教授 「君の実力からしてその可能性は皆無だ。盗難届は受理できん」

学生 「先生、僕はどうすればいいのでしょうか」

教授 「不法領得の意思について、不要説に考えを改めることだ」

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