hiroの花便り

我が家に咲く花や日々の暮らしを綴っていきたいと思います

カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」

2021-03-10 | 本・雑誌など


優秀な介護人キャシーは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。
生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。
キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。
図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、
保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度…。
彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。

(「BOOK」データベースより)

2017年のノーベル文学賞受賞によって、カズオ・イシグロを知り
初めて読んだのが、「遠い山なみの光」
その時、英国最大の文学賞であるブッカー賞を受賞した
「日の名残り」も一緒に買ったのですが、
読んだのは昨年8月でした。
執事として働いてきた老人が、過去の仕事を振り返るお話ですが、
よその国の少し昔の物語としか感じられず、
ブログには特に感想までは残しませんでした。

「わたしを離さないで」を読むきっかけは、2016年1月~3月に放送された
TBSの同名ドラマをネット配信で見て衝撃を受けたからで、
ドラマではヘールシャムが陽光学園に、
キャシー(恭子)役を綾瀬はるか、トミー(友彦)役を三浦春馬、
ルース(美和)役を水川あさみが熱演していました。

ドラマは冒頭から衝撃的なシーンで始まる。
手術室に横たわる友彦の臓器摘出。それを見つめる恭子。
手術が終わり、恭子が看護師から渡された注射をその体に打つと
今まで息で曇っていた酸素マスクの中が透明になる。
そのまま友彦を焼却炉に入れスイッチを押す。
見ているのが辛くなるようなシーンですが、
原作では31歳のキャシーが、ヘールシャムでの思い出を
一人称で淡々と語るところから始まります。
解説に細部まで抑制が利いて、入念に構成されていて
かつ我々を仰天させてくれる、きわめて稀有な小説である、
と書かれていましたが、まさにその通りだと思いました。

ドラマは映像があるし、より刺激的に表現されているので、
ここまで原作と離れてしまうのかと思ったところもありましたが、
原作者の思いはちゃんと伝わってきました。

クローンと人間の差ってどこにもない。
恋もするし、好きな人と一緒に暮らし、家族を作りたくもなる。
臓器が欲しいなら、臓器だけ作ればいい。
心なんていらないって言っていた恭子の言葉が虚しく響きました。

2005年発表のカズオ・イシグロによる長編小説。
臓器提供のために生み出された子供たちが、短い生涯をどのように生きたか、
人間とは何かを問われた一冊でした。



2010年にイギリスで映画化されたそうです。
レンタルビデオ屋さんにあったら、借りてみようかしら。







河津桜が終わったころから、我が家の紅梅にも、
また野鳥がよくやってくるようになりました。
室内からガラス戸越しにメジロやヒヨドリを写しましたが全ボケです
(2021.03.05撮影)



オンシジウム・トゥインクル ‟フレグランスファンタジー”(手前)
とキンギアナム(奥)
花が大分終わったので、小さな花瓶に挿しました。
まだよい香りがします。
(2021.03.01撮影)
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本多孝好「真夜中の五分前」

2021-02-17 | 本・雑誌など



DVDを見た後、小説も読んでみたくなり、近くの本屋さんに
出向きましたが、在庫がありませんでした。
そこで本屋さんで取り寄せて頂きましたが、3日もかかる上に
また本を取りに行かなければなりません。
本屋さんで本を買うメリットは沢山あると思いますが、
こういう場合は翌日にはすぐに自宅に届くネット購入が便利ですね。

さて、原作を読んでわかったことは、
映画はずいぶん原作がアレンジされていたということ。
僕という「幹」を日本から上海に渡った孤独な時計修理工に
設定することによって、僕を取り巻く脇役という
「枝葉」を削ぎ落せるので、想像力は小説以上に必要ですが、
筋が分かり易くて良いのではないかと思いました。


参考まで、
双子の姉妹や妹の婚約者の職業も変更されている。
姉かすみ:大手電機メーカーの事務員26歳→ルオラン:フリーライター
妹ゆかり:アパレル会社(現在は花嫁修行)→ルーメイ:映画スター
妹の婚約者尾崎さん:弁護士31歳→ティエルン:映画プロデューサー


室内咲きのハイビスカス・フィジアン(2021.02.06撮影)

原作では主人公の僕が、小さな広告代理店に勤務する
26歳の男性となっています。
現在の職場や仕事の話から、学生時代に事故で失った恋人のこと。
その恋人が好んで使っていた5分遅れの時計を
今でも使い続けていること(これは映画のリョウと同じ)
それ以来、誰と付き合っても体の関係は持たず、
現在交際している原さんとも別れ、
たくさんの恋人を作っては別れることを繰り返しきたことなど。
僕を取り巻く日常的なことが幅広く描かれています。

ある日、僕はプールで一卵性双生児の姉・かすみに出会い、
妹・ゆかりの婚約祝いのプレゼント選んでほしいと頼まれる。
デパートで選んだのは瑠璃色の陶器の香炉。
(映画ではリョウが修理した古い置時計)
それを機に二人はよく会うようになり、子供の頃の話や
妹の婚約者尾崎が好きなことなどを打ち明けられる。

姉妹で洋服を取り換えても、母親は二人が入れ替わった
ことも気づいてくれなかったこと。
環境を変えればどこか違ってくるはずと、高校から別の進路
を選んでも、相手との差がみいだせなかったこと。
それなのに、尾崎さんはなぜ自分ではなくゆかりを選んだのか。
自分はいったい誰なのか、姉妹はそれぞれの
アイデンティティを明確に出来ぬまま生きてきた。


「side-A」は僕と姉・かすみが心から愛し合い、
恋人として結ばれるまでが描かれている。



宿根ネメシア(2021.02.06撮影)

「side-B」からは物語は一転。
かすみはゆかりとスペインからセビーリャへ向かう旅の途中、
列車事故で命を落としてしまう。
(映画ではモーリシャスで海難事故に遭う)
僕は、会社の取引先の野毛さんに引き抜かれ、
独立してプロデュース業を営んでおり、仕事はとても順調。
ただ、ゆかりと結婚した尾崎と同じように、かすみの死に違和感を抱いている。

物語はまだ続きますが、ここまでとしておきましょう。

コメント (6)
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「日本製」三浦春馬

2020-10-25 | 本・雑誌など

ネットで注文していた、「日本製」が届きました。
この本には、三浦春馬さんが約4年間かけて訪れた47都道府県の
「日本製」や、日本文化、伝統、歴史、産業等が
丁寧な説明文と多くの写真で紹介されています。
春馬君の想いが詰まったこの一冊。
一日一都道府県でも良いので、
ゆっくりと読んでいこうと思います。



春馬君が亡くなってから、100日たちましたが、
一日たりとも彼のことが、心から離れません。
目から去れば心から去るだろうと、わかっているつもりでも、
毎日動画サイトに行っては春馬君の世界に浸っています。



シュウメイギク(2020.10.21撮影)

朝ドラを見ては、もし山藤役が春馬君だったら、
もっと「長崎の鐘」を清らかに歌っただろうとか、
大河ドラマでは、年齢的にぴったりな足利義昭役を
春馬君が演じていたら、
TBSの「カネ恋」に出演することもなく、
(春馬君は猿渡をとても素敵に演じていましたが)
撮影現場に行く日の朝に自死するようなこともなかった
のではないかと思ったり、
同年代の俳優がCMで春馬君が「Night Diver」で
着ていた衣装とよく似た衣装で踊るシーンなどを見ると、
「なにを真似してるのよ」とイラつき、
こんな私ではなかったと、ハッとさせられることもあります。



クフェア(2020.10.20撮影)

何事にも真摯に向き合い、人一倍努力する
優しい青年が、どうして死を選ぶまでに追い詰められたのか。
亡くなる前に、これまでの人生を振り返りどれほどの涙を流したことか。
胸が痛くなります。

ご訪問いただきましてありがとうございます。
本日はコメントを閉じさせていただきます。
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「コンビニ人間」 村田沙耶香

2019-10-04 | 本・雑誌など



あらすじ
36歳で未婚の古倉恵子は大学卒業後も就職せず、
大学時代に始めたコンビニのアルバイトを続けている。
子供の頃から変わり者で、恋愛経験も皆無という。
コンビニで仕事を始めたことをきっかけに
「周囲の人たちの真似」をしたり、「妹の助言」を聞くことで、
普通の人らしく振る舞う方法を身につけた。
食事はすべてコンビニで済ませ、コンビニでの仕事を円滑に行うため
毎日規則正しい生活を送り、何とか普通の人らしく過ごしてきた。
しかし30代半ばを過ぎると、こんな生活をしている恵子を
周りの人々は再び「奇妙な人だ」と感じ、好奇心から干渉し始めます。
そんな時、恵子はかつてのバイト仲間の白羽という男と再会する。
白羽は35歳の独身男性。就労の動機を婚活だと言う。
遅刻はするは、与えられた仕事も満足にできず、今の境遇に文句を言うばかり。
挙句の果て、常連の女性客につきまとい、ストーカーまがいの行為をして
店を解雇されたとんでもない男だ。
そんな白羽に対して恵子は、恋愛感情もなしに、
奇妙な同居生活を始めることになる。
やがて恵子は白羽の要求によりコンビニを辞め、就活を始めるが、
面接に向かう途中、たまたま立ち寄ったコンビニで
コンビニ店員こそが自分の唯一の生きる道であることを再認識する。
2016年上半期(第155回)の芥川賞受賞作。


クフェア(2019.9.29撮影)

感想
想像していた物語とは違いましたが、面白くて一気に読み終えました。
作者自身がコンビニで長いことアルバイトをしてきたので、
物語はフィクションでも、描写はとてもリアリティがありました。

コンビニで働くことだけが生き甲斐の恵子。
それを人はとやかく言うことはできませんが、
36歳で未婚、しかもアルバイトと知ったら何と感じるだろう。
親は心配でたまらないだろうし、世間の人は?

恵子は普通の人間とは異質ですが、悪いところは一つもない。
ところが同じように異質でも、白羽ってほんとにいやな奴。
コンビニこそが自分の居場所と気づき、白羽と別れることになって
(なったと思う)ほんとに良かった。


ルリマツリ(2019.9.29撮影)


ウォーキング記録
10月02日(水)4112歩・30分 (室内) 一日合計06230歩 踵落とし90回
10月03日(木)4109歩・31分 (室内)卓球・90分 一日合計13940歩 踵落とし90回
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「十二月八日」 太宰治 

2019-09-06 | 本・雑誌など

先週、映画「アルキメデスの大戦」を見たことがきっかけで、
太宰治の「十二月八日」を青空文庫で読んでみました。
これは、後に歴史の参考になるかもしれないからと、
太平洋戦争【昭和16年(1941年)12月8日】が始まった一日を、
妻の日記という形で書かれたもので、初出は『婦人公論』1942年2月号。
文字数は7000字ほどの短編小説なので、30分もかからずに読めます。

12月8日早朝、蒲団の中で、朝の仕度に気をせかせながら、
妻(太宰の妻らしい)は、園子(今年六月生れの女児)
に授乳させている時、近所のラジオから
太平洋戦争の開戦を知るが、たいして驚く様子もない。
隣室の主人に知らせるが、西太平洋がどこにあるかもわからない。
井戸端へ出て顔を洗い、おむつの洗濯に取り掛かっているとき、
お隣りの奥さんが出てきたので、「これからは大変ですわねえ。」
と話しかけても、先日から隣組長になった事かと思い、
まったく戦争のことを気にする様子もない。
普段の日常生活と変わらないこの緊迫感のなさは、戦時中の昭和18年に
「南の花嫁さん」がヒットしたことを知った時の驚きにも似ている。

本文より
台所で後かたづけをしながら、いろいろ考えた。目色、毛色が違うという事が、之程までに敵愾心を起させるものか。滅茶苦茶に、ぶん殴りたい。支那を相手の時とは、まるで気持がちがうのだ。本当に、此の親しい美しい日本の土を、けだものみたいに無神経なアメリカの兵隊どもが、のそのそ歩き廻るなど、考えただけでも、たまらない、此の神聖な土を、一歩でも踏んだら、お前たちの足が腐るでしょう。お前たちには、その資格が無いのです。日本の綺麗な兵隊さん、どうか、彼等を滅っちゃくちゃに、やっつけて下さい。これからは私たちの家庭も、いろいろ物が足りなくて、ひどく困る事もあるでしょうが、御心配は要りません。私たちは平気です。いやだなあ、という気持は、少しも起らない。こんな辛い時勢に生れて、などと悔やむ気がない。かえって、こういう世に生れて生甲斐をさえ感ぜられる。こういう世に生れて、よかった、と思う。ああ、誰かと、うんと戦争の話をしたい。やりましたわね、いよいよはじまったのねえ、なんて。

一番驚いたことは、当時の平凡な主婦がこんなこと↑を考えていたこと。
戦争を否定する気持ちはまったくない。

ラジオでは、朝から軍歌ばかり流されていたこと。
いままで髪を長く伸ばしていた学生が丸坊主になって徴兵の挨拶に来たり、
市場には品が乏しくなってきたこと。
烏賊やめざしの値段。
三円以上の買い物に二割の税が附くという事。
清酒の配給券九軒で一升券六枚しか無いので、六升を九分する事。など、
当時の生活の細々としたことが書かれていたが、
一番ほっとしたのは最後の、銭湯に行き、園子をお湯に入れる場面と
銭湯の帰りに夫に会い一緒に帰る場面。
幸せ感にあふれていますが、こんな幸せが続くのもそう長くなかったことでしょう。

青空文庫:十二月八日
https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/253_20056.html

庭の花



満開に近い百日紅の花。
アップをするのを忘れているうちに散り、今はこの半分くらいしか咲いていません。
(2019.8.23撮影)



ピンクの大きな花を咲かせるアマクリナム
ヒガンバナ科の植物でアマリリス・ベラドンナとハマユウの交配種。
花言葉は「惑わされない心」だそうです。
育て始めて20年にもなりました。
(2019.8.27撮影)



シコンノボタンは2度目のアップ。
いちどきにたくさん咲くことはないのですが、
8月初めから、咲いては散り、咲いては散りを繰り返しています。
(2019.8.27撮影)


ウォーキング記録
9月04日(水)6285歩・40分 (室内・ウォーク&ジョグ)一日合計08610歩
9月05日(木)4555歩・35分 (住宅地内)卓球・90分 一日合計11610歩
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桃太郎

2018-07-30 | 本・雑誌など

暇になると青空文庫の短編を読んでいます。
昨日は芥川龍之介の「桃太郎」を読みました。

これは桃太郎と鬼の善悪を逆転させたパロディで、
クスリと笑えたり、考えさせられるところも多々あるのですが、
気になるのは冒頭や最後の桃の木に関する部分。
そこを省略しても物語として十分成り立つと思うのですが、
わざわざ入れたのは作者の意図がそこにあるのではないかと考え、
読んでみました。

大昔、ある深い山の奥に、枝は雲の上にひろがり、
根は大地の底の黄泉の国にまで及んでいたという大きな桃の木があり、
大きな実の核(さね)には、美しい赤児を一人ずつはらんでいた。
実は一万年に一度結実し、一千年の間は地へ落ちないという。
ある朝、八咫烏(やたがらす)が突っついて、
下界に落ちてゆき、洗濯をしていたおばあさんに拾われたのが、
後の桃太郎ですが、ここで桃太郎がいざなぎの命に関係する
一族であることがわかります。

最後は最初の場面に戻り、桃の木は無数の実をつけ、
未来の天才はまだそれらの実の中に何人とも知らず眠っている。
あの大きい八咫鴉は今度はいつこの木の梢に、
もう一度姿をあらわすであろう?となっています。

*八咫烏(やたがらす)
神武天皇東征のとき、熊野から大和に入る
険路の先導となったという。

30分もかからずに読めるので、何度か読みました。
最初はその出自から、桃太郎を悪人として描くのは、
理解しかねましたが、育ちようによっては暴君となり、
何一つ悪いことをせず、平和に暮らしている鬼を殺したり、
宝物を分捕るような、非道な人間になるのだと思いました。

そしてまた、大きな桃の木のもとに八咫鴉が現れ、
桃の実を地上に落とし、同じようなことがおこる。
桃太郎を権力者と置き換えても良いのかもしれません。

「桃太郎」は娘孫Kが幼稚園の時演じた役柄。
娘孫Mからは泊りに来た時、いつもお話をせがまれていました。
でも善悪が逆転したこんなお話はしてあげたくないな~。



おじいさん役とおばあさん役を除き、幼稚園の桃太郎はWキャスト。
桃太郎と桃子、お供の犬と猿は2人ずつ、雉は3人、鬼は5人だったかな。
桃太郎は黍団子を、お供になった時と鬼が島に渡る前に1つずつ与え、
(芥川・桃太郎はケチって半分)
征伐はせずじゃんけん勝負。
全員で桃太郎の歌を歌ってハッピーエンドでした。



Kはこの時、高熱を押して出演。よく頑張ったね!
そのKが今では6年生に、Mちゃんが4年生になりました。
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暇なときは

2018-02-07 | 本・雑誌など

ガーデニングを主なブログネタにしていると、
この時期はお花が少なく、更新することがなくて困ります。
昨年はどんな記事を書いていたのだろうと、
2月の記事を調べてみると、投稿記事数12件のうち、ガーデニングの記事は3件だけ。
クリスマスローズ関連が2件と
プリムラジュリアンやビオラが野鳥に食害されて困った記事が1件だけでした。

ウォーキングで出会ったお花や野鳥を紹介するものが最も多く5件。
そうそう、ルリビタキを初めて見たのもこの時でした。
いつもはめったに投稿しない読書関連が2件。
また、スマホデビューをした時だったので、その関連が1件。
お友達のご主人の油絵展に行った時のことが1件、これですべてでした。


今年はウォーキングよりも読書が多いかもいかも・・・
病院の帰りに久しぶりに図書館に寄り、本を借りてきました。



まず、「秩父三十四ヶ所ウォーキング」
パラパラと捲りましたが、
観音霊場がある最寄りの駅まで、片道3時間半ぐらいかかります。
実行するには相当な覚悟が要りそうです。

次に「低山トラベル」
春になったらハイキングを楽しみたいと思い、参考までに・・・
一番近くは丹沢や箱根の山々ですが、
紹介されている6つの山のうち、登ったことがないのは
仏果山と石老山だけでした。
一人で登るのは不安なので、夫が同行してくれれば行けるかもしれません。

坂村真民は大好きな詩人。
東日本大震災のあと2011年3月30日のココログ
「これからこれから」という詩を紹介していますが、
詩を読むのはその時以来です。

村上春樹も好きな作家ですが、
長編は読むのがしんどく感じられるようになりました。
短編集なので、隙間時間に気楽に読めそうです。



「星の王子さま☆学」は昔読んだ翻訳本と同時進行で読んでみましょう。
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遠い山なみの光

2018-01-29 | 本・雑誌など

カズオ イシグロさんがノーベル賞を受賞したのは昨年の10月。
イギリス国籍とはいえ、純粋な日本人なので興味がわき、
翌日に近くの本屋さんを訪ねたのですが、在庫は一冊もありませんでした。
1か月後、ずらっと並んだ本の中から私が手にしたのは、
デビュー作の「遠い山なみの光」と
英国最高の文学賞、ブッカ‐賞受賞作の「日の名残り」でした。



「遠い山なみの光」は長女を自殺で失ったイギリス在住の悦子が
かつて暮らしていた終戦直後の長崎での出来事を思い出し、
自分の人生を振り返る作品です。

作者は1954年に長崎に生まれ、5歳から一家でイギリスに移住。
薄れていくあの頃の記憶を残しておくために、この本を書いたという。

イギリスの田舎町に住んでいる悦子。
回想シーンでは身ごもっていて、あと数カ月の出産を待つ身。
夫の転勤でイギリス在住なのかと思ったらそうではないらしい。
前夫とは死別なのか、離婚なのかもわからない。
前夫との娘・景子は引きこもりの末に自殺したらしいが原因は?
これだけでも一冊の本が書けそう。

長崎時代に知り合った親娘・佐知子と万里子の回想シーン。
佐知子がどんな人物で、どんな状況に置かれているか
分かっていながら、深く関わることに違和感と気持ち悪さを覚える。
たった数週間前に知り合った人に独身時代に蓄えたお金を
すべて差し出すだろうか?
半分ほど読んでしばらく中断した。

しかし全編を読み終える頃には、前半で引っかかっていた部分が、
自分なりに想像・理解できるようになり、
深い靄が晴れていくような快さを得、もう一度最初から読み直したほどでした。

カズオ イシグロさんの長編は7冊だけだそうです。
これだけでは彼の作品の良さは十分わかりません。
次は積んである「日の名残り」、残り5冊もおいおいに買い求めて
読んでいけたら良いな~と思います。
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「ドクター・ドゥーリトル」

2018-01-22 | 本・雑誌など

珍しく風邪をひきました。
高熱は出なかったのですが、木曜日の夜から鼻水や肩こりがし、
金曜日の夜は咽喉の痛みも加わりました。
とりあえず、トローチをなめ、
週末は暖かくして家でゆっくりとしていたところ、
日曜日には治っていました。
先週から月、木、金と卓球の練習に参加しましたが、
気温差が激しく、ちょっと疲れ気味だった私には、
体がついていけなかったのかもしれません。


本の中の挿絵もとても可愛かったですよ。

その卓球のお友達のIさんから、ご自身が翻訳し、自費出版された
「ドクター・ドゥーリトル」の本をお借りしました。
ロフティングの名作「ドリトル先生シリーズ」の第1作を翻訳したもので、
大人の私が読んでも愛に溢れた楽しい作品でした。


早咲き日本水仙(2018/01/09撮影)

Iさんは我が家から2~3分の所に住んでいらっしゃり、私より2歳年上。
お嬢さんと娘が同級生で、ピアノの先生も同じだったので、
お話する機会は割と多かったのですが、
ご主人の転勤で、お嬢さんが小学2年か3年生の頃から中学1年生まで
三重県四日市市に行かれていました。


日本水仙・八重(2018/01/21撮影)

本のあとがきによると、
英会話を習っていたカナダ人の先生からカナダ土産に頂いた
「ドクター・ドゥーリトル」の翻訳を思い立ち、
直訳はその先生のご指導を、英国の歴史的な出来事や昔の食べ物、
昔の職業等は的確な言葉が見つからなかったので、
神田外語グループの語学センター“ブリティッシュヒルズ”に3泊4日滞在して
英語講師からご指導を受けたそうです。
イラストは名古屋市在住の3人のお孫さん(6歳、4歳、2歳)が
キャラクターを描き、FAXしてきた絵をIさんがイラストに仕上げたそうです。


真冬に咲くユリオプシスデージー(2018/01/09撮影)

「子供の頃に読んだ本を原書で読み、翻訳して本にする」夢のようなことが
現実となる喜びも記されていました。
現在イラストを描いた一番上のお孫さんは中学生になり、
その後、もう一人お孫さんが生まれ、現在は4人いらっしゃるとか。
お孫さんのお父さんである息子さんは、我が息子より1学年上で、
部活(バスケット)ではキャプテンをしていました。


12月末から咲いているクリスマスローズ・オリエンタリス・白(2018/01/09撮影)

ご出身は佐賀。学生時代以後は京都。結婚を機にこちらで暮らすようになり、
ご主人のお母様も同居されていたので、栄養士として長く働いていらっしゃいました。
お仕事をやめた時は自分へのご褒美として、豪華客船で世界一周旅行をしたり、
(それも一人参加)名古屋市在住のご長男の結婚話など、
道でばったりと会った時など、よく伺っていました。


白い清楚な花から変身したクリスマスローズ・パウロ(2018/01/09撮影)

その彼女が生涯スポーツとして始めたのが卓球。
何事も徹底的になさる方なので、シニアから始めたとは思えないほどお上手です。
私も英語はけっこう長いこと学習しましたが、母を亡くしてからやめ、
今は卓球1本となりました。
多分英語はほとんど忘れていることでしょう。


夫が作った多肉植物の寄せ植え(2018/01/21撮影)

自分のことではないのでブログに載せるのはどうかとも思いましたが、
こんなに素敵な人生の足跡の残し方もあるのかと、
皆さんにご紹介したくてアップしました。
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「大往生」再読

2017-02-24 | 本・雑誌など

1994年に発売され、大ベストセラーとなった永六輔さんの
「大往生」を22年振りに読み返しました。
(本は1995年1月20日 第52刷発行のもの)



福祉より薬が生んだ長寿国
風邪ひいて卵酒飲む薬剤師
古希という語が死語になる長寿国
見舞客みんな医学の解説者
わからないことは老化と医者は言い

(病院関係者が作った川柳)

歳をとったら転ばない、
風邪ひかない、
喰いすぎない、
これで十年は長生きします。


老人ホームはお洒落な二枚目のお爺さんを探しています。
素敵なお爺さんがいるだけで、お婆さんたちが、
みんないいお婆さんになります。


歳をとったら女房の悪口を言っちゃいけません。
ひたすら感謝する、これは愛情じゃありません、
生きる知恵です。


寝ているところを起こして、
時間ですからって睡眠剤を飲ませるんだぞ。
凄い病院だろう。


人間ドックで若いって太鼓判を押されて、
それで張り切ってすぐ死んじゃう人が多いんだって。


死ぬ前になりますと、人間は炭酸ガスが増えるんです。
この炭酸ガスに麻酔性がありますから、
最後はそれほど苦しまずに終わるようにできているんです。


人さまの前で「人の世話にはならない」という人がいますが、
自分で墓の穴を掘るんでしょうか。


前半に書かれた「老い」「病い」「死」については
著名人の言葉ではなく、著者が全国を旅する中で聞いた、
庶民の言葉がちりばめられています。
ふふふと笑えたり、シリアスで鋭い言葉など、
20年前も今もあまり変わりませんね。

最後に自分自身への弔辞が書かれていました。
「三途の川に流されて、あの世にも、この世にも
いないというのが永さんらしい」と書かれていましたが、
今頃は極楽浄土で中村八大さん、いづみたくさん、小沢昭一さん、
野坂昭如さん達と、ああでもない、こうでもないと
楽しくやりあっていることでしょう。
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モモ

2017-02-06 | 本・雑誌など

今年の新年の課題は2つありました。
1つは15年ぶりに家計簿をつけること。
1つは月に1冊でも良いので雑誌以外の本を読むことでした。

お恥ずかしい話ですが、家計簿は早々と挫折してしまいました。
昨年は『下流老人』が話題となり、
高齢者の9割が下流化する等と言われていたので、
生活費の把握もしていなくて大丈夫なのかと不安になったのですが、
支払方法が現金、クレジットカード(確認はしています)
預金引き落とし等、色々あるので面倒になってしまったのです。
特に無駄遣いもしていないし、
したいことを我慢しているわけでもありません。
念のため、預金通帳の残高から1年間の収支を調べてみると
年金内で暮らせているようです。
家計簿つけは認知症予防には良いかもしれませんが、
それは他の面でカバーすれば良いですよね?



本は読みました。
孫のK君が冬休みに、担任の先生から勧められた
ミヒャエルエンデの「モモ」。
娘も読んだはずと、本箱を探してみると、
奥の方で眠っていました。
児童書等はほとんど処分していましたが、
この本は私もいつか読んでみたいという気持ちが
どこかにあったのかもしれません。
本の表紙には、時間泥棒と盗まれた時間を人間にとり返して
くれた女の子の不思議な物語と書かれています。
児童書にしては難しい(古い?)言葉使いがありましたが、

えりもえって→よりにもよって
ためつすがめつ→いろいろの方面からよく見るようす
(どちらも前後の文脈から察することが出来ましたが子供には?)

心に残る言葉が多い一冊でした。
(ほんの一例)

効率よく建設的に費やした時間であっても
自分の中にほとんど残らない時間がある。
逆に感動し、笑い、誰かと分かち合った時間は
物質的な単位としては短くとも、深く心に刻まれることがある。


また、シニアにとっては救いになるような言葉もありました。

「もし、あたしの心臓がいつか鼓動をやめてしまったら、どうなるの?」
「その時は、お前の時間もお終いになる。
あるいはこういう風に言えるかもしれないね。
お前自身は、お前の生きた年月すべての時間をさかのぼる存在になる。
人生を逆に戻っていって、ずっと前にくぐった人生への
銀の門に最後はたどりつく。
そしてその門を今度はまた出ていくのだ。」
「その向こうはなんなの?」
「そこは、お前がこれまでに何度もかすかに聞きつけていた
あの音楽の出てくるところだ。でも今度は、お前もその音楽に加わる。
お前自身が一つの音になるのだよ。」


K君は面白かったと言っていましたが、
私には面白いというより、大切なことを思い出させてくれた一冊でした。
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漫画 読まず嫌い

2015-02-19 | 本・雑誌など
2月15日(日)
息子家族がバレンタインのチョコレートを
届けに来てくれました。
孫のKは野球の帰り。ユニホームを着たままだったので、
すぐにお風呂に入り、着替えました。
すっかり大きくなり、身長はまだ私の方が少し高いのですが、
靴はもう24㎝を履いおり、完全に抜かされました。
多分半年もしないうちに、身長も抜かされるでしょう。
少し前まではDSをしたり、皆でトランプなどをして遊んで
いましたが、最近は我が家では一度も読まれなかった、
歴史漫画を読んでいることが多くなりました。



この漫画は新聞販売店の勧めで、10年前頃買いました。
何故買ったのかというと、ある方の息子さんが、
日本史の受験勉強を漫画(この漫画かどうかはわかりませんが)
でして、早稲田に合格したということを聞き、
興味を持ったからかもしれません。
でももともと好きでない漫画、読むはずがありません。



漫画を毛嫌いしてもいけないので、K君が読んでいた
「織田信長」をちょっとめくってみました。
この時代の世界の動き、
次のページには南蛮人の見た風雲児・信長の様子が
資料と共に載っています。



年表も事細か



漫画の下には注釈が・・・

読まず嫌い、直そうかな・・・
全部読んだらK君にプレゼントしてあげるね。



Y子さん、チョコレートありがとう。
私もいただきますね。

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