くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

緩慢なフランスパンの丘 最終話

2006-01-24 22:02:43 | 連載もの 緩慢なフランスパンの丘

Kanmanbookshelf500

 九十八年の夏、僕はいそいそとキャンプに出掛けた。すなわち、山麓のとある小村に向かって、キャンプ道具を満載したセダンを走らせたのだった。
 車は山道を登っていき、しまいにはすれ違うことも困難なほどの細道となった。
 路肩には松葉が厚く堆積していて、タイアはしばしば空転した。僕はアクセルに乗せる重量を出来うる限り減らした。スピードメーターは二十キロを示していた。

 標高が千メートルを超えた頃、目の前が輝いた。鬱蒼とした樹林帯を抜け出たのだ。
 白く輝いていたのは、コンクリートで舗装された路面だった。地方の古いままの道路には、こんなコンクリートの路面があるものだ。
 僕は期待に満ち、そこからあの白樺の林へと入っていったわけだ。

  了


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
不条理ですな。 (マサル)
2006-01-25 02:36:27
不条理ですな。
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マサル君 (ハヤト)
2006-01-25 19:29:52
あれはなかなかスリリングな時期だったぜ。
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視点を変えてみた (yumeguri)
2006-01-26 17:40:45
凡そ文学的素養をもつものを英語圏の表示に
あてはめるのは野暮と思った
だからといってあえてソレを試みることも
野暮の上塗りであることも知っていた
・・・そう、ワープロソフトに流し込み
一気に縦書きに変換・・・
書かれた文字が「ことだま」として
そこには蘇っていたのです

PSでも難解でした
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yumeguriさん (ハヤト)
2006-01-26 19:34:07
すごいなぁ。これ、原稿用紙に万年筆で書いていたものなんですよ。もちろん縦書きで。

yumeguriさんのコメントには、いつも底深さを感じております( 'o')b
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同じ一人称でも、 (だいなごん)
2006-01-27 09:36:18
僕、が「俺」だったらとか、
「私」だったら・・・・・・

ずいぶん違いますね!
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だいなごんさん (ハヤト)
2006-01-27 12:43:49
そうそう。人称はすごく重要ですよね。
最近、「私」を使わなくなってしまった。何だかカッコつけているようだから。
ブログ書いてると、いろんな変化があるのですなぁ。
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