初めて一人暮しを始めたとき、持ち物はとても少なかった。
散文や絵を書きつけたノート。バイトで買ったトランペット。一番気に入っていたカセットテープ。そういうものが、一番大切なものだった。だから、田舎から上京するときは、小型のワゴン車で済んでしまった。自分ごと、両親に運んでもらった。すいぶんあとで聞いたのだが、母親は帰りの車中、泣いたのだという。
中野のアパートでの、一人暮し初日の夜は、実に興味深かった。何だかひどく静かで、時間の感覚がなくて、寂寞としていた。夜の早い時間でも、まるで真夜中に起きているような感覚だった。僕は十円玉をかき集めて部屋を出て、同じ東京にいる先輩宅へ電話を掛けた。少し軽薄だが元気いっぱいの先輩の声を聞いて、やっと人心地が着いたのだった。
あれから二十年が過ぎ、僕も中年の声を聞くようになった。自分の部屋を見渡してみると、ずいぶんと持ち物が増えてしまったことに気付く。すべて、必要だからと入手したはずなのに、必要以上の量があるような気がする。持ち物が増えると動きが鈍る。決断力が衰える。
「男は常に身一つ、思い立ったらすぐに旅立てるように」とはカヌーイストの野田友佑の言葉である。プロのトラベラーはみな持ち物が少ないものだ。そして、ジンセイもまた旅だ。
僕は迷っている。
ちょっとしたニセモノ(変な言い方ですが)の旅行では
ごまかせなくなってるんじゃ...
荷物ってすぐに増えるものですよね。
私たちも去年スーツケース1つで日本に来たのに、
今や荷物が増えちゃって、
日本は家具付のアパートがないのも問題かな?
もともとコレクターではないので物はあまり集まらないのだけど。
今は6畳の私の部屋には最低限の物しかないけど
生きていけるものなんですね~
物を整理する(捨てる)作業は、まだ終わっていなくて
せっせと元の家に通っています(笑)
捨てよう、と決意した事もありましたが、
貧乏性なので、捨てられません。
せめて、物欲を無くし、
大物は極力買わない、と思うのですが、
子供のアルバムやらおもちゃやら
(デジタルの時代ですが、アナログの写真も溜まるので)
本やら(定期的に古本屋送りの刑にしてますが)
もう着ない服やらでいっぱいです。
たぶんハリケーンでも来て家ごとふっとばされてしまえば、
諦めがつくとは思うのですが、
災害の多い昨今、このような発言は不適切ですね。
>ナンか時空にひとり投げたされたような気分がしたな
あの感覚は独特だよね。隔絶されたような。
kiyominaさん
さてどうしたものか。旅立たないとしても、自分の周りの持ち物を眺めると困惑しまっす。
家具付きの部屋だったらすごく助かるよねえ(^○^)
michikoさん
そうでした。michikoさんはお引越しを終えたばかりでしたね。
通える距離だと便利? そんなことないか♪
ぽんすけさん
代弁してくれてありがとう。僕も「捨てられない」のです。以前、思いきって想い出の品を大量処分したのですが、今はものすごく後悔しています。
僕も吹っ飛ばされたほうがいいなあ(^○^;)
いい感じです。
文章の才能がこれ位あれば広告代理店も狙えますよね。
それでは、また。
本だけは何となく捨てがたくて…
どんな旅に出たのだろう、と想像をかき立てられます。
必要最低限の持ち物。
他の人から見たらくだらないものでも、その人にとってはかけがえのないものなんですよね。
私にとっての大切なものは、ろばのイーヨーのぬいぐるみです*^^*いい歳して・・・。
捨てられれば捨てちゃった方が身動きしやすくていいよね。
でも問題は、本当に捨てられるか?なんだよねぇ。
どうしよう、オレの部屋。。