カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

非公式に真実あり?

2014年07月12日 08時25分47秒 | 海外

 

中国では、賢明な人なら

    1. 政府〔中国共産党〕が発表する内容には真実がない
    2. むしろ政府による検閲が激しいネット上の内容にこそ真実がある

と理解しているようです。

言論の自由が保証されている地域では、あらゆるマスメディアの報道にさえ疑惑をもつことの意義が強調されていることに比べて、これまた危険な真偽判明方法だと思います。

2.などは中国共産党が見落とした内容か、または看過している内容に過ぎず、報道規制をすればするほど、国民の間で妙な意識が働くことを示しています。

1.はソ連の末期的症状に似ていて、それはそれで正しいのですが、全体的に見ると、中国内ではいくら正しいことでも、中国の外へ出たときには大いなる勘違いへと発展します。

 

言論の自由がない中国から、言論の自由がある国へ行った留学生が考えるのは・・・・

 

そうです。言論を統制されている国からそうでない国へ移動した人は、相変わらずネッ上での発言に並々ならぬ〔水準以上の〕関心をいだき、そこに人間の真の姿があるはずだ、と考えるのでした。

そうでなくても中国社会では、自分がダマされることを防ぐ観点から、家族親戚縁者以外の人間を、むしろダマすことがおおいに推奨されるらしい。そういう人間が、言論の自由があり、比較的本音に近い意見を主張できる社会に住んでも、人の本心は別の所にあると、信じて疑いません。

 

もう生まれたときから警戒心を植え付けられてきた生粋の懐疑心でしょう。

これは普通に見られる「健全な懐疑心」ではなく、人間というものを信用しないように誘導する社会が創り出した病的な懐疑心」だと言えます。

政府が、弾圧を背景に反日を指示すれば、面従腹背〔めんじゅうふくはい〕の原則をしっかり守らないとすぐに拘束・逮捕されるのが中国。

 

中国に関してよく見られる誤りは、「すべての中国人が反日的というわけではない」というもので、それ自体の真偽のほどは確かめようがありません。

しかし、「政府が言論を統制していることに諸悪の根源がある」という視点を欠いたまま「すべての中国人が反日的というわけではない」と発言するのは、木を見て森を見ず、のたとえに似た危険な論調だと思います。

中国在住の日本人で、「周辺にそれほど反日的ではない現地人がいた」と発言しても、それはそれで信用できますが、中国全体をみずにそんな抗弁をしていると、そんなことを言っているその人の信用がなくなりますよ。

 

言論の自由がある国ならば、逆に普段の自分には出せない自分を演出することができるのがネット社会ですが、そんな場所での意見が人間の真の意見だと決めつけるようになると、もう手遅れなのかも知れませんね(笑)。

 

中国とちがって言論の自由がある国では

 

別に隠れて為政者の批判をする必要がない。なぜならば、たとえ本人の意図に反して所属する組織の代表的な意見を表明する場合でも、公序良俗に反しない限り、堂々と発言できるからです。

公序良俗とは、「おおやけの秩序と善良な風俗〔goo辞書〕」といわれるように、殺人やテロの予告をするとかの反社会的な行為でしょう。

しかし言論の自由がない国からきた留学生は、裏社会で発言する内容にこそ真実がある、と何の疑いもなく信じ込んでしまいがち

「言論の自由がある社会である」と説明されても、中国と同じような言論統制があり、違反すれば拘束・逮捕される、と固く信じています。まさかそこまでは信じない人にしても、警戒感は解けず、妙な理解をしてしまうようです。


そして、もしもそのような中国からの留学生が

 

中国共産党による国費留学生、つまりヒモ付きである場合には、悲劇がおこります。必ずしも当該留学生から聞き出した内容ではありませんが、総合的に言えば・・・・

中国共産党を信用していない国費留学生が、学業資金のためとはいえ、中国共産党に喜ばれる報告をして、より真実に近い日本を伝えるのではなく「ネット社会で見かけた意見こそが日本人の真の姿だ」とばかり中国共産党へのヨイショ報告をすればするほど、中国共産党がますます日本の事情を誤って理解する方向へ進んでしまう可能性があります。

いや事実は逆で、むしろひも付き留学生から「中国共産党にとって都合のいい日本像」の証拠群、つまり「日本人の真の姿」と称する情報をたくさん集め、中国共産党が反日の道具として徹底的に利用する、とも言えます。そういう末端のヒモさえ徹底的に利用するのが、中国共産党のシステムと言えます。

 

国民に対して「政府に都合の悪い言論を禁じている」、つまり言論の自由を制限していると、目に見えないところでこのような悲劇と誤解が生じ、取り返しがつかなくなりそうです。

 

公でないことにこそ真実は含まれる」とは、一面で真理を突いているのですが 

自分の思考結果が確かであるかどうかという検証作業を伴わない思いこみは危険

であり、一見して正しそうなことに人はコロリとダマされてしまう、という好例でしょうか。「絶対に言わないでね」という前置きで始まる「極秘情報」めいた話に、人はコロリと欺されるものです(笑)。

 

さて「非公式」を、賢者はどう伝えたか、それを見てみましょうか。

  

2006年1月、金正日は北京から武漢、広州、深川というルートを非公式に訪問した。: 綾野(リン・イエ :中国軍人のペンネーム)著 富坂聡(編)「中国が予想する"北朝鮮崩壊の日"」文春新書 2008年5月20日第1刷発行

 

これは特殊な例で、中国軍人の「故金正日が中国を極秘訪問したこと」についての著述です。一般的にいって、国賓として訪問するのと非公式に訪問するのとでは、目的が大いに異なるでしょう。非公式な訪問にこそ、わかりやすい真の狙いがあるというもの。この場合は、工業団地を視察して参考になる政策を盗み取りたいということでして、世界中に「国と国との関係を、こうありたい」と演出するのが目的である公式訪問とはあきらかに異なります。

 

ただし中国では禁句であったと思われる「北朝鮮崩壊」ですが、ペンネームとはいえ堂々と語られるようになったのが印象的です。

そして「北朝鮮崩壊」が書かれてから10年ほど経過した現在、書いた本人が所属する「中国崩壊」が語られる時代となっています。具体的に言えば中国共産党の崩壊ですね。

「崩壊」が間近だという時期に、中国へ進出しようとする日本企業が存在し続けたことが、「中国人が崩壊の前兆に気づくのを遅らせる役割をはたした」とは、意外な皮肉でしたね(笑)。

 

2014年現在の北朝鮮は、長年友好国であった中国と距離を置き始めていますが、中国でも世代交代によって、北朝鮮を知る長老が急激に減りつつあり、若い世代からは「なぜ北朝鮮を支援する必要があるのか」という素朴な突き上げがあったことも関連しているのでしょう。

習近平が権力者の地位に就任後、恒例だった北朝鮮訪問よりも韓国訪問を先にして北朝鮮を揺さぶっているのは、そのことを如実に示しています。

 

アルゼンチンとブラジルで最近施行された、中国人バイヤーへの土地売却の禁止(ところがバイヤーがアメリカ人やヨーロッパ人の場合は禁止されていない)。そしてオーストラリにおいて中国人が鉱山や天然ガス田を獲得することの、非公式だが実質的な禁止措置。 :エドワード・ルトワック「自滅する中国」奥山 真司 (翻訳) 芙蓉書房 2013年11月15日第4刷発行

 

去年2013年の発行ですから、翻訳と実際の著述を考慮すると、もう2年以上前から「一党独裁の国民弾圧で有名な中国が、世界中で怪しい行動をとっている」と警戒されていたのでしょう。

中国共産党が美しい言葉を発すれば発するほど、実際の中国政府の言動との間に乖離がうまれ、ますます信頼性を失っていきます。

中国は、形式程度とはいえ、2001年にWTO〔世界貿易機関〕に加盟しましたが、共産国家ということで原則としては私有財産がいつ没収されるか分らない国であり、個人ではなくすべてに中国共産党がからんでいることが、信頼を欠く根本なのでしょう。

 

しかしながら机上で計算だけに走っている中国共産党のエリートたちは、中国経済の破綻などあり得ないと信じています。 

そうなんです。普通の国では、国家経済の破綻を経験するまでは「国家経済が破綻したことはない」のですから(笑)。

ヤンキースのイチローは引退するまでは「引退したことがない」し、人は死ぬまでは「死んだことはない」のですね。

ただし例外もあり、都はるみや森昌子の場合は、引退後に復帰したので、引退するまでに「引退したことがある」・・・・。

都はるみは引退後3年後に、森昌子は引退後15年後に、復帰しています。


 

アナリストや外交当局者によれば、中国はまた、チベットや新疆ウイグル地区での独立問題を抱えているため、分離運動を支持しているように見えることを警戒している。したがって、中国は公式にも非公式にも、ウクライナ問題にははっきりした態度をとれない。中国は、ウクライナ問題は歴史的に複雑だとした上で、政治的な解決を呼び掛けるが、解決のため積極的に仲介役を果たそうとはしていない。 

 ベルリンでのメルケル独首相との会談でもクリミア問題が議題に上る可能性がある。しかし独政府当局者の中には、中国がクリミア問題で西側を支持するというのは甘い考えだとみている向きもある。 

 ドイツ国際安全保障問題研究所のアジア問題専門家であるグートルン・ワッカー氏は、「中国は中間の道を歩もうとするだろう」とし、メルケル氏との会談は、ロシアがイランの核問題など他の交渉で障害とならないようにするにはどうするべきかという話になるとの見方を示した。 

:米WallStreetJournal日本語版 2014年 3月 28日 12:34 JST

 

上記習近平のドイツ訪問のあと、先日(2014/07/06から)ドイツのメルケルが中国を訪問しています。

中国共産党は、この機会に何とかドイツを利用して、日本を見下げる欲望を丸出しにして相対的に中国の立場を向上させようと努力していますが、賢明なメルケルは誘いにのらなかったようです。それどころかメルケルは訪中時に精華大学でおこなった講演でも「人権の大切さ」を訴えたといい、これは普通の訪問者なら遠慮するところなので、メルケルの快挙かもしれません。ドイツ製品を中国市場に送り出す時に至っても決してひるまないその姿勢は、日本企業の中国での商売に影響を与えるという理由で何も表明できない日本政府との落差を感じます。

 

上記の通り中国共産党は、ロシアのウクライナ侵略に対して、公式にも非公式にも、何も言えない状況。

もしも共産国家仲間の疑似友好国であるロシアを褒めたとしたら不法に占領しているチベットなどの分離独立運動を支援するようなものですし、もしも欧米に同調してロシアを非難したらロシアが主張している「ウクライナ内でのロシア系住民の人権軽視」はなかったと発言することになり人権問題で世界各国から今まで以上に中国共産党が非難されることを覚悟しなければなりません。

どちらにしても中国共産党の方針と矛盾するわけです。


 

「北方領土と尖閣の相互承認」露に打診 

中国がロシアに対し、従来日本領と位置づけてきた北方領土の領有を承認する代わりに、沖縄県の尖閣諸島を「自国領」とする中国の主張を支持するよう、水面下で打診していることが分かった。働きかけは2010年に始まり、現在も続いているとみられるが、極東開発に日本の協力を求めるロシアは、中国の提案に応じない構えだ。日露外交筋が明らかにした。 

同筋によると、10年秋、中露両国の外交関係者による非公式協議の場で中国側がロシア側に打診した。中国は「ロシアの北方四島領有を認める用意がある」と提案したが、ロシアは「北方領土は日露間で協議する」と受け入れなかった。当時は尖閣諸島沖であった中国漁船衝突事件(9月)で日中関係が悪化していた。 

ロシアでは12年5月にプーチン氏が大統領に復帰。今月8日にソチで安倍晋三首相と5回目の会談を行うなど対日関係の改善を急ぎ、中国の打診に応じる気配はない。米国が尖閣を日米安保条約の適用対象としており、尖閣への関与は日米との関係悪化を招くとの判断もあるとみられる。 

中国は1960~70年代、国境問題などで旧ソ連との関係が悪化。64年7月、毛沢東主席は社会党訪中団の佐々木更三衆院議員に対し、北方領土について「皆さんに返還すべきだ」と述べ、日本領との認識を明確にした。90年代以降は関係改善に伴い言及を控えるようになったが、日本領との立場は崩しておらず、中国国内発行の世界地図で北方四島は「ロシアが占領中」と記されている。中露両国は10年9月の共同声明で「領土保全に関わる核心的利益を互いに支持する」としたが、尖閣や北方領土の明記は見送られ、13年3月の共同声明も同様の内容にとどまっている。【福岡静哉】

:毎日新聞 2014年2月6日(木)6時0分配信 

中国としては毛沢東時代から「北方領土は日本領土であり、ロシアが占領中」としているようですが、もしもロシアが「尖閣諸島は中国領土である」と中国を支持するなら、中国は「日本の北方領土はロシアの領土だ」という相互承認を提案して、ロシアに断わられた、というのはおもしろい裏話ですね。これも非公式協議の場だからこそ提案できたのでしょう。

中露は互いに、相手を利用しようと画策するものが好きなようです。

 

 

アジア情勢図を描いてみました。当たるも八卦、当たらぬも八卦、というところ。

 

上図では、が良好な関係あるいは同盟関係を、が対立関係を、意味し、太さがその度合いを示しています。また両方が共存することもあります。

 

確かに中国は孤立を深めており、今では韓国だけが頼りですから、精一杯ヨイショしなければなりませんね。

中国の今の繁栄が誰のおかげだったのかという視点を欠き、もともと中国人が立派だったからこうなっているのであり、それに相応しい軍事力を強化する、そういう意向を鮮明にしております。これはチベットやウイグルに続いて、海上においてもど厚かましく中国の領土を主張するためには、どうしても必要な海軍力なのです。

 

そして、そのような危険な国に対し、ベトナムやフィリピンや日本が対抗しようと考えていますが、自らの軍国主義を顧みず日本を軍国主義だと叫ぶその姿は、もう哀れとしかいいようがなく、牧的な表現をするなら「やんなっちゃった」といふ「末期的症状」でしょうか(笑)。

 

安倍晋三が火事場泥棒的な行動に走っているとは、いろいろな人が指摘しており、私もその疑念を感じますが、安倍晋三だけに責任を押しつけるのは適当ではなく、そもそもは天安門事件以後に突然あらわになった中国の国内弾圧・反日政策が遠因だと私は見ております。

そして近年の中国の軍事突出という愚行に何ら触れることなく、ひたすら反米・反日を掲げる日本の団体に対しても、深い疑念を隠しきれません。