グルジアのシュワルナゼが86歳で死去したとのこと。
ソ連崩壊の直前あたりでしたかね、ゴルバチョフ大統領時の外相を
- クーデターの恐れがある
- 独裁に反対する
として自ら辞任しました。当時、事情をよく知らなかったので、「一体何が独裁なのか」と疑問をもったものです。
独裁体制が崩壊するときには、それに相応しい人物が出て崩壊を助けるもので、その人あたりのいいゴルバチョフが実際には別の独裁者を生もうとしていた、そういうことをシュワルナゼが警告していたのかも知れません。
1990年12月20日、シェワルナゼは更迭を待つことなく、みずから外相辞任を表明する。堂々たる態度だった。人民代議員大会でクーデターの準備が進んでいると警告し、ゴルバチョフとたもとを分かった。「改革は失敗した。独裁が近づいている。・・・・どのような独裁体制になるのか、だれが独裁者になるのか、それはだれにもわからない。わたしは辞任する。どうか何も言わず、辞任を許してほしい。独裁に反対するなら、私の辞任を、それに対する抗議と受け取っていただきたい」:P.340 ウラジミール・ソロヴィヨフ「エリツィンの選択」山岡洋一訳 文芸春秋
今でもよく分りませんが、確かにクーデターがあり、シュワルナゼが再び外相に復帰するも、ソ連崩壊で完全に失職。
シュワルナゼの予言したクーデターが引き金となり、ソ連が崩壊したのでしょうか。
ゴルバチョフは、すべての人に愛されようとし、すべての人を互いに争わせた。:P.361 ウラジミール・ソロヴィヨフ「エリツィンの選択」山岡洋一訳 文芸春秋
上にたつ人間で、こんなのがいますね。
部下との対話で、その場にいない人の欠点を指摘しながら、その部下を高く評価するのですが、これを繰り返しているうちに、いい意味で部下を争わせようとする意図に反し、騒乱を引き起こし自分は浮いてしまうという・・・・
人当たりがよくて中庸を求めようとすると、こんなことになるのでしょうか。
シュワルナゼは故郷のグルジアへ帰り、1995年からはグルジアの大統領に就任。
しかしここでも側近たちの腐敗が目にあまり、国民による抗議活動「バラ革命(2003年)」により辞任。これが正当な選挙で選ばれた人をデモなどで排除するきっかけになったのかも。
- エジプト〔ムバラク後の選挙選出大統領ムルシを2013クーデターで排除〕
- ウクライナ〔選挙選出の大統領ヤヌコーヴィチを2014年に排除〕
その後2004~2013年のグルジア大統領はサーカシビリ。
しかし元々ロシアともめていた南オセチアへ侵攻(グルジア紛争)したことによりロシアから反撃され、ロシア軍の駐留も続けられ武力決断は失敗したようです。
その頃(2008年)
当時政界を引退していたと思われるシュワルナゼが産経新聞のインタビューに答えている記録が残っていましたので、その一部を御覧下さい。サーカシビリ大統領の侵攻を厳しく非難しています。
--今回、グルジア紛争が起きた原因をどうみるか
「南オセチア自治州でロシアより先に一か八かの軍事行動を起こしたグルジアのサーカシビリ大統領の誤りだ。この紛争は起こすべきではなかった」
--ロシアはなぜ、軍事侵攻を決断したのか
「ロシアは侵略の理由について南オセチア自治州内の少数民族の保護を挙げているが、単なる口実に過ぎない。というのもロシアは国内に多くの少数民族問題を抱えているが、彼らを保護していないからだ。グルジアに対するロシアの侵略は3世紀にわたって続いた。ロシアにとって問題なのは、旧ソ連の崩壊でグルジアの西欧化が進み、グルジアに対する影響力を失ったことだ。ロシアはグルジアに対する帝国主義支配の復活を望んだ」
--ロシアは旧ソ連時代の政治に戻ろうとしているのか
「旧ソ連時代よりさらに悪くなっている。ロシアは即座に主権国家のグルジアから軍隊を撤退するべきだ。旧ソ連時代の憲法下では、各共和国は平等だった。しかし、今や事情は異なる。ロシアは一方的に侵略を決めたのだ」
--ロシアの軍事侵攻を指揮したのはメドべージェフ大統領かプーチン首相か
「プーチンでもメドベージェフでもない。ロシア政府全体が今回の作戦を動かしている。大統領、首相、そして軍だ」
--今回、西側メディアにさえ「ロシアの勝利」を伝える論調が目立つが
「ロシアは短期的には戦争に勝利したが、長期的には西側との外交関係を決定的に損ない、国際社会での地位を失った。ロシアの真の危機は将来、政治的にも、おそらく経済的にも孤立することだ。今、米国、欧州連合(EU)を含むすべての西側諸国はグルジアを支援している」
--今年4月、NATO首脳会議でウクライナとグルジアの加盟が先送りされたが
「グルジアとウクライナのNATO加盟を見送ったのは重大な誤りだ。加盟を認めていれば今回の紛争は避けられた可能性がある。私がNATO加盟国の一員なら、グルジアに投票していただろう。ウクライナの加盟は実現するだろう。グルジアについては疑問符がついて回るが、可能だと思う」
:(産経新聞) 2008-08-24 15:58:19
2008年当時シュワルナゼは、ソ連崩壊後にその多くを引き継いだロシアが、一層ひどくなった、と指摘し、ウクライナのEU加盟についてさえ触れています。
EUにも事情があったと思われ、結果論で「EUがもしウクライナの加盟を認めていたら、2014年3月頃のロシアによるクリミア併合はなかった」と言っても意味がありませんが、共産主義のイデオロギーから抜けきらないロシアや中国を改心させるには、非ロシア・非中国の国家群を結集して、世界中が包囲網を敷くしかないのでしょう。
中国はこれに対し、中国から利益を得たがっているアメリカの親中派にニンジンをぶらさげて「まともな中国」たることを演出しようとしていますが・・・・、しょせん無理なことでしょうね(笑)。
そういう意味で、シュワルナゼには先見の明があったとは思いますが、政治は一人で任務を担当するものではなく、多くの仲間を必要とします。そこに不正と汚職が入り込む余地があり、不幸な晩年を過ごしたのだろう、そう私は見ています。ソ連の外務大臣からグルジアの大統領、そういう誘惑が招いた人生だったのでしょう。
このシュワルナゼの惨めな晩年は
- 衆議院議長までやった土井たか子が、その後、斜陽の社民党委員長に就任したものの急激に党勢を失って見せた晩年の惨めな姿
- 参議院議長までやった土屋義彦が、その後、埼玉県知事に就任したものの公私混同で見せた晩年の惨めな姿
を思い出させます。これらの原因がどこにあるかは、私には分りませんが、いずれも一儲けしたいという周辺の薄汚い連中によって「安易に担がれ過ぎた」のではないかという疑惑が残るのです。
そして、先日のシュワルナゼ死去が、最後のニュースとなりました。
シェワルナゼ旧ソ連外相死去=元グルジア大統領
【モスクワ時事】ロイター通信によると、旧ソ連ゴルバチョフ政権の外相として「新思考外交」を推進、東西冷戦の終結に向け活躍したエドアルド・シェワルナゼ前グルジア大統領が死去した。86歳だった。側近が7日明らかにした。:時事ドットコム(2014/07/07-17:57)
今回のまとめが正しいかどうか、自分自身では判断できませんが、こうして過去を総括する営みが歴史には必要なのでしょう。
この意味では、「天安門事件(1989年)」の痕跡を消そうとしたり、これに触れる人を次々と拘束している中国共産党が「歴史を歪曲」する張本人であり、韓国と手を組んで「日本が歴史を歪曲している」などと言う資格さえない、と言えますね。
中国で改革派知識人5人拘留 天安門めぐる自宅集会理由 :朝日新聞デジタル 2014年5月8日01時21分
遺族、知識人相次ぎ拘束 :msn産経ニュース 2014.6.3 21:22
そうこうしているうちに、2014FIFA_WC(ブラジル)の準決勝で「ブラジル1-7ドイツ」という結果に終わり、ブラジルが退廃いや頽廃いや大敗しました(笑)。
私は、ルールを無視した体当たりも審判をごまかす転倒も大嫌いです(笑)。
しかし初戦でうまく倒れてPKをえたけれど、準々決勝では本当に倒れて負傷退場したネイマールは、あまりにも演技過剰だったと思いました。
ファウルを取らないとけが人が続出しますが、ファウルを取りすぎるとおもしろくないという人もいて、私にはわかりません(笑)。