都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
4月の気になる展覧会/コンサート/映画
こんにちは。
今年は桜の開花が予想以上に遅いとのことで、まだしばらく先まで楽しむことができそうです。首都圏では今週末が見頃でしょうか。上野に浅草に新宿と、どこも多くの人で賑わいそうです。
今月の予定をたててみました。
展覧会
「横山大観展」 三越日本橋本店新館ギャラリー(4/10まで)
「長谷川等伯の美」 出光美術館(4/17まで)
「ゴッホ展 -孤高の画家の原風景- 」 東京国立近代美術館(5/22まで)
「タピエス展」 原美術館(5/29まで)
「秘すれば花 東アジアの現代美術」 森美術館(6/19まで)
「ルオー展」 東京都現代美術館(6/26まで)
コンサート
「NHK交響楽団第1538回定期Aプロ」 バルトーク:「管弦楽のための協奏曲」他/メルクル/NHKホール 10日15:00~
「新国立劇場2004/2005シーズン」 モーツァルト:「フィガロの結婚」/平井/新国立劇場 7日~17日
「ベルリン・ドイツ交響楽団来日公演」 ブルックナー:「交響曲第6番」他/ナガノ/オペラシティコンサートホール 18日19:00~
映画
「ラミアの白い凧」 国際交流基金フォーラム/アラブ映画祭2005 17日11:00~/24日18:30~
こんな感じになりそうです…。
まずは展覧会からですが、「横山大観展」と「長谷川等伯展」は先日既に見てきました。つい昨日の記事に、「大観」の拙い感想をアップしたところです。「等伯」の感想も近いうちに書きたいと思います。
大混雑必至の「ゴッホ展」は、どうしても外せない注目の展覧会です。私自身も、これまでゴッホをしっかりとまとまった形で鑑賞したことがありません。どんな世界観が待ち受けているのか、今から期待と不安が入り交じります。
原美術館の「タピエス」展は、artshore様のブログの記事を拝読してどうしても見たくなりました。タピエスの熱い情熱で、自分自身の何かが変革されれば…、などと少々オーバー気味に期待しています。
現代美術館の「ルオー展」は、まだ公式HPに詳細が出ていないので、企画の細かい部分が分かりません。ですが、最近になってあちこちの美術館でルオーを見てから、随分と彼について気になっていたので、是非拝見したいと思っています。どのような作品が集うのでしょうか。開催期間の殆どがジブリと重なります。混雑しないうちに早めに見てくる予定です。
「秘すれば花」は、日本、中国、韓国と、台湾のアートが一同に会されるという展覧会です。配置構成には風水の要素も取り入れるだとか…。森美術館は苦手ですが、これはなかなか面白そうな企画です。
コンサートは全部で三つ予定しています。ベルリン・ドイツ響の公演では、ヴァントの薫陶を受けたとも言われるケント・ナガノが、ブルックナーの第6交響曲を振ります。ナガノのブルックナーとはあまりイメージが湧きませんが、師の厳格な構成美を誇る超然的なブルックナー像に、少しでも近い音楽となるのでしょうか。勝手な思い込みとは言え、今から大いに期待しています。
メルクルのN響と、新国立劇場の再演の「フィガロ」はまだ未定です。ただおそらく二つとも聴きにいけるかと思います。
映画は、「アラブ映画祭2005」で上映される「ラミアの白い凧」を予定しています。有刺鉄線で分断された、レバノンとイスラエルの国境沿いの村の「恋愛」を描いた作品だそうです。「愛は国境を超えることができるのか?」(公式HPより。)をしっかりと見届けたいと思います。アラブ映画は、二月のプレイベントで見た作品も面白かったので、これからも少し追っかけてみようかと思っています。
*3月の記録*(リンクは私の感想です。)
展覧会
5日 「おたく:人格=空間=都市/第8回文化庁メディア芸術祭」 東京都写真美術館
12日 「森山新宿荒木展」 東京オペラシティーアートギャラリー
12日 「中宮寺国宝菩薩半跏像/踊るサテュロス」 東京国立博物館
13日/27日 「ラ・トゥール展」 国立西洋美術館
20日 「東京芸大 ストリート!2005展 Part2」 JR上野駅
26日 「遠藤利克展 空洞説」 SCAI THE BATHHOUSE
27日 「滝口修造:夢の漂流物」 世田谷美術館
コンサート
19日 「新日本フィル第383回定期」 ベートーヴェン「レオノーレ」/アルミンク
23日 「新国立劇場2004/2005シーズン」 モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」/エッティンガー
映画
22日 「ソン・フレール -兄との約束- 」 ユーロスペース
三月は、コンサートと映画が計画した予定とはかなり異ってしまいました。特にコンサートは、東フィルとシティフィルの二つもパス…。これはいけません…。
全体を振り返ると、やはり西洋美術館の「ラ・トゥール」が一番印象に残りました。また、「ソン・フレール」の結末の違和感は、今でも心のどこかに留まっています。見ている時は、眠気に襲われるような危ない感覚も湧いていましたが、後々からジワジワと余韻の浸食してくる、味わい深い映画だったようです。
今月はかなり欲張って予定を立てました。また良いものに出会えますように…。
今年は桜の開花が予想以上に遅いとのことで、まだしばらく先まで楽しむことができそうです。首都圏では今週末が見頃でしょうか。上野に浅草に新宿と、どこも多くの人で賑わいそうです。
今月の予定をたててみました。
展覧会
「横山大観展」 三越日本橋本店新館ギャラリー(4/10まで)
「長谷川等伯の美」 出光美術館(4/17まで)
「ゴッホ展 -孤高の画家の原風景- 」 東京国立近代美術館(5/22まで)
「タピエス展」 原美術館(5/29まで)
「秘すれば花 東アジアの現代美術」 森美術館(6/19まで)
「ルオー展」 東京都現代美術館(6/26まで)
コンサート
「NHK交響楽団第1538回定期Aプロ」 バルトーク:「管弦楽のための協奏曲」他/メルクル/NHKホール 10日15:00~
「新国立劇場2004/2005シーズン」 モーツァルト:「フィガロの結婚」/平井/新国立劇場 7日~17日
「ベルリン・ドイツ交響楽団来日公演」 ブルックナー:「交響曲第6番」他/ナガノ/オペラシティコンサートホール 18日19:00~
映画
「ラミアの白い凧」 国際交流基金フォーラム/アラブ映画祭2005 17日11:00~/24日18:30~
こんな感じになりそうです…。
まずは展覧会からですが、「横山大観展」と「長谷川等伯展」は先日既に見てきました。つい昨日の記事に、「大観」の拙い感想をアップしたところです。「等伯」の感想も近いうちに書きたいと思います。
大混雑必至の「ゴッホ展」は、どうしても外せない注目の展覧会です。私自身も、これまでゴッホをしっかりとまとまった形で鑑賞したことがありません。どんな世界観が待ち受けているのか、今から期待と不安が入り交じります。
原美術館の「タピエス」展は、artshore様のブログの記事を拝読してどうしても見たくなりました。タピエスの熱い情熱で、自分自身の何かが変革されれば…、などと少々オーバー気味に期待しています。
現代美術館の「ルオー展」は、まだ公式HPに詳細が出ていないので、企画の細かい部分が分かりません。ですが、最近になってあちこちの美術館でルオーを見てから、随分と彼について気になっていたので、是非拝見したいと思っています。どのような作品が集うのでしょうか。開催期間の殆どがジブリと重なります。混雑しないうちに早めに見てくる予定です。
「秘すれば花」は、日本、中国、韓国と、台湾のアートが一同に会されるという展覧会です。配置構成には風水の要素も取り入れるだとか…。森美術館は苦手ですが、これはなかなか面白そうな企画です。
コンサートは全部で三つ予定しています。ベルリン・ドイツ響の公演では、ヴァントの薫陶を受けたとも言われるケント・ナガノが、ブルックナーの第6交響曲を振ります。ナガノのブルックナーとはあまりイメージが湧きませんが、師の厳格な構成美を誇る超然的なブルックナー像に、少しでも近い音楽となるのでしょうか。勝手な思い込みとは言え、今から大いに期待しています。
メルクルのN響と、新国立劇場の再演の「フィガロ」はまだ未定です。ただおそらく二つとも聴きにいけるかと思います。
映画は、「アラブ映画祭2005」で上映される「ラミアの白い凧」を予定しています。有刺鉄線で分断された、レバノンとイスラエルの国境沿いの村の「恋愛」を描いた作品だそうです。「愛は国境を超えることができるのか?」(公式HPより。)をしっかりと見届けたいと思います。アラブ映画は、二月のプレイベントで見た作品も面白かったので、これからも少し追っかけてみようかと思っています。
*3月の記録*(リンクは私の感想です。)
展覧会
5日 「おたく:人格=空間=都市/第8回文化庁メディア芸術祭」 東京都写真美術館
12日 「森山新宿荒木展」 東京オペラシティーアートギャラリー
12日 「中宮寺国宝菩薩半跏像/踊るサテュロス」 東京国立博物館
13日/27日 「ラ・トゥール展」 国立西洋美術館
20日 「東京芸大 ストリート!2005展 Part2」 JR上野駅
26日 「遠藤利克展 空洞説」 SCAI THE BATHHOUSE
27日 「滝口修造:夢の漂流物」 世田谷美術館
コンサート
19日 「新日本フィル第383回定期」 ベートーヴェン「レオノーレ」/アルミンク
23日 「新国立劇場2004/2005シーズン」 モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」/エッティンガー
映画
22日 「ソン・フレール -兄との約束- 」 ユーロスペース
三月は、コンサートと映画が計画した予定とはかなり異ってしまいました。特にコンサートは、東フィルとシティフィルの二つもパス…。これはいけません…。
全体を振り返ると、やはり西洋美術館の「ラ・トゥール」が一番印象に残りました。また、「ソン・フレール」の結末の違和感は、今でも心のどこかに留まっています。見ている時は、眠気に襲われるような危ない感覚も湧いていましたが、後々からジワジワと余韻の浸食してくる、味わい深い映画だったようです。
今月はかなり欲張って予定を立てました。また良いものに出会えますように…。
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三越日本橋本店ギャラリー 「横山大観展」 4/2
三越日本橋本店新館7階ギャラリー(中央区日本橋室町)
「横山大観展 -足立美術館開館35周年記念- 」
3/23~4/10
こんにちは。
イッセーさんの記事を拝読して、急遽、三越で行なわれている横山大観の展覧会を見てきました。これは、大観のコレクションで有名な、島根県の足立美術館の開館35周年を記念して企画されたもので、最近オープンして何かと話題となった、豪華な(?)新館のギャラリーで開催されています。
今更ですが、私はこれまで大観の作品をまとまった形で鑑賞したことがありません。ですから、この展覧会は私にとって事実上の「大観デビュー」とも言えます。展示の方法は年代別になされていましたが、これは私のような大観についての素養がない者にとってはとても有り難いものです。年月の変遷や各時代の背景によって移ろいゆく大観の作風を、たっぷりと味わうことができます。繊細な筆が生み出す「美」を思いっきり堪能してきました。
「曳船」(明治34年)は、霞の中に一筋の滝が浮かび上がるような、とても幻想的な作品です。また、滝壺にあたる水面は美しいエメラルドグリーンで覆われていて、無造作な揺らぎが印象的な水の紋様も、とても自然な感覚で散らされています。大観の作品は、他にもたくさん「水」が描かれていますが、それらはどれも「曳船」に見られるような素晴らしい表現力です。「海潮四題・夏」(昭和15年)の、岩に迫り来る荒々しい波のうねりも、大きな月の明かりによる仄かな光に照らされて、何やら妖気すら漂うような深い味わいです。大観の描き出す「水」の色と紋様は、心の奥底に残ってくれるようです。素晴らしいと思います。
「冬之夕」(大正14年)は、木に降り積もる雪の質感がとても美しい作品です。枝と葉の間にひょいっとのせられたような雪は、適当な表現ではありませんが、まるでしっとりとした舌触りのかき氷のようです…。その絶妙な質感は、雪の重さを穏やかに伝えてくれます。葉が下にしなるような形で配されているのにも、大変な説得力を感じます。
桃が実る様子を描いた「桃」(昭和8年)は、実の瑞々しさを感じさせる赤と緑の彩色が印象的でした。このような色彩は、他の作品にも、例えばタンポポの黄色や、艶を押さえたような柿色にも見られましたが、それらはどれもパッと作品を概観したらまず目に飛び込んでくる要素となっていて、とても美しく感じます。また、どれも鮮やかすぎないで、木や葉などとバランスをとっているのも素晴らしいと思いました。
雪の冠った富士山の山頂部に、極限までに理想化され美化された太陽が輝く「神国日本」(昭和17年)は、その政治的な意味合いを無視すれば、素直に美しい作品だと言えるのではないでしょうか。オレンジ色した太陽の存在感(まさに「日の丸」的に。)と、富士の凛とした姿の構図はとても格好が良く、この作品が国威発揚に使用されたという経緯にも頷けます。また、富士山は下部が霞で隠されていて、頂上部だけが空に力強く突き出すようにして描かれています。これは実に圧倒的です。
この展覧会の目玉でもある「紅葉」(昭和6年)と、最近になって発見されたという「龍躍る」(昭和15年)も見応えのある作品でした。この上なく色鮮やかな「紅葉」は、会場のライトアップにも照らされて一層映えた様子で鑑賞できます。これだけでも満足できる内容です。
今まで見てこなかったのが勿体なかったと思わせるぐらい、とても充実した内容の展覧会でした。単なるデパートの催物ではありません。会場でも紹介されていた足立美術館へも、是非行きたくなりました。
「横山大観展 -足立美術館開館35周年記念- 」
3/23~4/10
こんにちは。
イッセーさんの記事を拝読して、急遽、三越で行なわれている横山大観の展覧会を見てきました。これは、大観のコレクションで有名な、島根県の足立美術館の開館35周年を記念して企画されたもので、最近オープンして何かと話題となった、豪華な(?)新館のギャラリーで開催されています。
今更ですが、私はこれまで大観の作品をまとまった形で鑑賞したことがありません。ですから、この展覧会は私にとって事実上の「大観デビュー」とも言えます。展示の方法は年代別になされていましたが、これは私のような大観についての素養がない者にとってはとても有り難いものです。年月の変遷や各時代の背景によって移ろいゆく大観の作風を、たっぷりと味わうことができます。繊細な筆が生み出す「美」を思いっきり堪能してきました。
「曳船」(明治34年)は、霞の中に一筋の滝が浮かび上がるような、とても幻想的な作品です。また、滝壺にあたる水面は美しいエメラルドグリーンで覆われていて、無造作な揺らぎが印象的な水の紋様も、とても自然な感覚で散らされています。大観の作品は、他にもたくさん「水」が描かれていますが、それらはどれも「曳船」に見られるような素晴らしい表現力です。「海潮四題・夏」(昭和15年)の、岩に迫り来る荒々しい波のうねりも、大きな月の明かりによる仄かな光に照らされて、何やら妖気すら漂うような深い味わいです。大観の描き出す「水」の色と紋様は、心の奥底に残ってくれるようです。素晴らしいと思います。
「冬之夕」(大正14年)は、木に降り積もる雪の質感がとても美しい作品です。枝と葉の間にひょいっとのせられたような雪は、適当な表現ではありませんが、まるでしっとりとした舌触りのかき氷のようです…。その絶妙な質感は、雪の重さを穏やかに伝えてくれます。葉が下にしなるような形で配されているのにも、大変な説得力を感じます。
桃が実る様子を描いた「桃」(昭和8年)は、実の瑞々しさを感じさせる赤と緑の彩色が印象的でした。このような色彩は、他の作品にも、例えばタンポポの黄色や、艶を押さえたような柿色にも見られましたが、それらはどれもパッと作品を概観したらまず目に飛び込んでくる要素となっていて、とても美しく感じます。また、どれも鮮やかすぎないで、木や葉などとバランスをとっているのも素晴らしいと思いました。
雪の冠った富士山の山頂部に、極限までに理想化され美化された太陽が輝く「神国日本」(昭和17年)は、その政治的な意味合いを無視すれば、素直に美しい作品だと言えるのではないでしょうか。オレンジ色した太陽の存在感(まさに「日の丸」的に。)と、富士の凛とした姿の構図はとても格好が良く、この作品が国威発揚に使用されたという経緯にも頷けます。また、富士山は下部が霞で隠されていて、頂上部だけが空に力強く突き出すようにして描かれています。これは実に圧倒的です。
この展覧会の目玉でもある「紅葉」(昭和6年)と、最近になって発見されたという「龍躍る」(昭和15年)も見応えのある作品でした。この上なく色鮮やかな「紅葉」は、会場のライトアップにも照らされて一層映えた様子で鑑賞できます。これだけでも満足できる内容です。
今まで見てこなかったのが勿体なかったと思わせるぐらい、とても充実した内容の展覧会でした。単なるデパートの催物ではありません。会場でも紹介されていた足立美術館へも、是非行きたくなりました。
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リッカルド・ムーティがスカラ座の音楽総監督を辞任。
イタリアから急なニュースが飛び込んできました。
ムーティ氏が音楽総監督を辞任 ミラノのスカラ座(asahi.com)
世界的に有名な指揮者リッカルド・ムーティ氏(63)が2日、86年から務めてきたイタリア・ミラノの歌劇場スカラ座の音楽総監督を辞任した。スカラ座総裁の解任をめぐり、同氏は2月から劇場職員らと対立。職員によるストでオペラの上演がキャンセルされるなど、混乱が続いていた。
以前からも様々な騒動が報道されていました。
名門スカラ座が大揺れ 総裁解任に労組反発(sankei.web)3/4記事
オペラハウスでは日常的とも言えるゴタゴタが、遂に監督の辞任劇までに発展したようです。ムーティは86年からスカラの監督を務めていたとのことですが、私などは「ムーティと言えばスカラ。」と決めつけてしまうぐらい、この両者の深い関係を確固たるイメージとして捉えています。今度は一体どのような方向へ進むのでしょう。スカラの後任は?そしてムーティの新たなポストは?しばらく目が離せそうもありません…。
ムーティ氏が音楽総監督を辞任 ミラノのスカラ座(asahi.com)
世界的に有名な指揮者リッカルド・ムーティ氏(63)が2日、86年から務めてきたイタリア・ミラノの歌劇場スカラ座の音楽総監督を辞任した。スカラ座総裁の解任をめぐり、同氏は2月から劇場職員らと対立。職員によるストでオペラの上演がキャンセルされるなど、混乱が続いていた。
以前からも様々な騒動が報道されていました。
名門スカラ座が大揺れ 総裁解任に労組反発(sankei.web)3/4記事
オペラハウスでは日常的とも言えるゴタゴタが、遂に監督の辞任劇までに発展したようです。ムーティは86年からスカラの監督を務めていたとのことですが、私などは「ムーティと言えばスカラ。」と決めつけてしまうぐらい、この両者の深い関係を確固たるイメージとして捉えています。今度は一体どのような方向へ進むのでしょう。スカラの後任は?そしてムーティの新たなポストは?しばらく目が離せそうもありません…。
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二度目の「ラ・トゥール」。 3/27

「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展」
3/8~5/2
感想を書くのが遅くなってしまいましたが、先日、西洋美術館の「ラ・トゥール展」を再び鑑賞してきました。
一回目の感想はこちら。(3/14)
前回見た時の感想には、確か「荒野の洗礼者聖ヨハネ」や「聖ヨセフの夢」などの作品について、色々と拙いことを書いたと思います。もちろん、それは二度目に見てもさらなる喜びと感動があったわけですが、今回はそれ以外の魅力的な作品に触れてみることにします。
まずは、この展覧会で特に人気の高い「ダイヤのエースを持ついかさま師」(ルーブル美術館蔵)です。この作品は、服装や装飾品の艶やかで雅やかな味わいと、異様なまでに生気に満ちた表情、特に凄まじい目つきが大変に印象的です。また、背景に一切の余計なものが描かれていないことが、かえって前面で繰り広げられる「いかさま行為」の緊迫した状況を、深く掘り起こすことにもつながっているように思えました。ただ、少し奇妙に感じられた点が一つあります。それは、いかさま師などの目つきや体には、一種の誇張したような動きがあるのに、構図としての全体には不思議にもとても静的な落ち着きが感じられることです。本来ならもう少しザワザワとした喧騒があっても良さそうな気もしますが、しっかりとした静謐感に支配されています。これは、この時代の絵画の一般的な特徴ともされるかもしれませんが、もしかしたらラ・トゥール独特の味わいとも言えるのではないでしょうか。
「書物のあるマグダラのマリア」(ヒューストン/個人蔵)も素晴らしい作品です。これは、まず驚くほど細くてサラッとしたマリアの髪に惹かれます。そしてさらには、その髪により半分以上隠されている横顔も気になってくる作品です。こちらから窺いしれない彼女の目線は、おそらくその先の髑髏へ向けられているはずですが、定番とも言えるこの構図も、こうして横顔を隠すだけで何やら異様な光景となってきます。彼女の表情は、その口元や鼻先からも、ラ・トゥールが他に描いたマリアと同様かと思われますが、あえてそれを見えなくしていることが、この作品の独自性を高めているようです。
一番初めのコーナーに展示されている「十二使徒」では、「聖小ヤコブ」(アルビ市立トゥールーズ=ロートレック美術館蔵)が特に美しいように思いました。西洋美術館の所蔵する「聖トマス」ももちろん良いのですが、「ヤコブ」はその均整のとれた落ち着き感が魅力的です。「トマス」ほどの力強さこそないものの、十分に惹かれる要素のある作品だと感じます。ラ・トゥールの描いた使徒のモデルは、全てロレーヌの農民とのことで、確かにどれも似たような表情を持つ者が多いと思いました。ですが、逆に、生臭く俗っぽい土着の味わいは感じられます。失われているとされる他の真作も、いつかは発見されるのでしょうか。是非鑑賞してみたいものです。
三度目の予定はありませんが、絵を見る喜びを心の底から味わえた展覧会でした。言い換えれば、今のところ今年鑑賞した美術展の中では、一番満足感を得た展覧会ともなるかもしれません。私はかつて、この時代の絵画をあまり良いと思わなかったのですが、(積極的に見てこなかったとも言えます。)このラ・トゥールを見たことで、俄然に鑑賞意欲が増してきたようです。この辺りの他の画家の作品も、今後は意欲的に見ていこうと思いました。
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