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出光美術館 「長谷川等伯の美」 4/3

出光美術館(千代田区丸の内)
「新発見 長谷川等伯の美」
3/12~4/17

こんにちは。

先日、初めて行く出光美術館で、これまた初めて見ることとなる長谷川等伯(1539~1667)の屏風画を鑑賞してきました。

出光美術館は日比谷通りに面した帝国劇場の9階にあります。丸の内界隈はたまに歩くので、全く勝手の分からない場所ではないのですが、今までこの美術館の存在を意識したことはありませんでした。不覚です…。

さて、展覧会のタイトルに「新発見」という言葉が見られますが、これは、「松に鴉・柳に白鷺図屏風」と「竹に虎図屏風」(ともに出光美術館蔵)の二点が、最近の等伯研究の進展により、新たに真作として確認されたという意味で付けられたようです。確認の方法については、簡単に印の真贋の解析などで解説されています。私は何しろ初めて等伯の世界に触れたので、真作云々については書きようもありませんが、なかなか興味深いのも事実です。考古学的なロマンを感じさせました。

等伯の作品は全部で七作ほど並んでいました。これらを見てまず思ったのは、一つ一つの筆の運びが生み出すであろう作品全体の「流れ」です。「萩芒図屏風」(相国寺蔵)の、風に流されるススキがなびく様は、そこに想像できる空気の存在感と相まって、流麗とも言える美しさを感じさせます。「波龍図屏風」(本法寺蔵)も、一見、おどろおどろしくて厳めしい龍が目立ちますが、それを下の波と合一させることで、これも全体として強い「流れ」を生み出します。それらは、「生き生きと。」とも表現できそうですが、大きな流れを作り出すことで、作品に大胆に生気を注入するかのようです。木の枝や花びら一つをとってもそう思いました。

上にアップしたパンフレットの作品である「竹虎図屏風」(出光美術館蔵)は、この上なくフサフサとしたような虎の毛並みが印象的です。また、前にぐっとかがんでいる表情も可愛らしくて、この動物の凶暴性が殆ど感じられません。まるで猫か何かの、人間のペットとして飼いならされた動物のようです。面白い作品です。

等伯の影響を受けた長谷川派の作品もいくつか展示されていました。等伯の「波濤図」から生まれたとされる同名の作品は、荒々しい波の様子も素晴らしいのですが、荒波に必至に耐えながら、半ば堂々とした格好で描かれる巨大な岩石がなお一層印象に残ります。元となる等伯の作品は、今回は出品されていなく、京都市左京区の禅林寺に所蔵されているそうです。これは是非見てみたいと思います。(取りあえず今回は、絵葉書だけで我慢しました…。)絵葉書では、無機質な岩肌が勢いのある線で思い切って描かれています。それは何やら劇画調で、日本画離れしているかのような表現です。実際見るとどんな感じなのでしょうか…。

会場の混雑ぶりにも頷ける充実した内容の展覧会でした。これからは出光美術館もなるべく通っていきたいです。
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