都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
山種美術館 「桜さくらサクラ・2005」展 4/29
山種美術館(千代田区三番町)
「桜さくらサクラ・2005」
3/12~5/8
こんにちは。
今日は、山種美術館の「桜さくらサクラ展」を見てきました。桜にちなんだ近現代の日本画が一同に会した、なかなか贅沢な展覧会でした。
「桜にちなんだ作品」と言っても、当然ながら、作品によってそれぞれの味わいが大きく異なります。鮮やかな桜色が克明に描かれたような、強い存在感を示す作品から、朧げに染み入る淡い色が印象的な作品まで、多種多様な表情を持つ「桜」がズラリと並びます。桜は日本の美意識と密接に結びついている感がありますが、確かに満開の桜を前にすると、漠然とした春の喜びを得ることがあります。今年お花見へ行き損ねた私にとっては、ちょうど良い展覧会となりました。少し遅めの「春」です。
速水御舟の「夜桜」は、色の落とされた花びらや枝が、大変に素朴な味わいを持っている美しい作品です。夜桜と言うと、どうもライトアップされた、光に反射した輝かしいピンク色を想像してしまいますが、もしかしたらその色は桜本来の美しさを損なっているのかもしれません。月明かりにポワッと浮かびだすような桜の淡い存在感。御舟の手にかかるとそれが一層味わい深くなります。繊細で落ち着き払った「美」がありました。
横山大観の「山桜」は、桜の木が大きく左へ反り返っている様が印象的です。構図としても見てもかなり大胆ではないでしょうか。桜の木全体が、まるで風になびいて大きくしなっているかのようです。また、花びらが散りゆく様が美しく、目に見えない風の存在感すら感じます。散り際の美学を上手く捉えた作品だと思いました。
菱田春草の「月四題春」は、枯れたようなタッチが独特の魅力を醸し出していました。朧げな月を前にした押し花のような花びらが、細い枝にしがみつくように咲いています。あまり他では見られないような面白い表現です。有名な「桜下美人図」も素晴らしかったのですが、私はこちらの作品に強く惹かれました。
面白い表現と言えば、橋本明治の「朝陽桜」も、凹凸感のある桜の様子が一際異彩を放っていたと思います。画面一杯にこれでもかというほど桜の花びらが描かれています。まさに満開です。花びらに花びらを幾重も重ねると、こんな風に見えるのかもしれません。やや押しが強すぎるのか、私の好きな感じではないのですが、面白い作品であることには間違いありません。
山種美術館は初めて行きました。美術館というよりもオフィスビルの一室のような雰囲気です。照明にあまり工夫がなされていないのか、作品への光の写り込みが気になりましたが、日本画の殿堂的な美術館でもあるそうです。今後は積極的に通いたいと思います。帰りに歩いた千鳥ヶ淵も、すっかり新緑が濃くなっていました。8日までの開催です。
「桜さくらサクラ・2005」
3/12~5/8
こんにちは。
今日は、山種美術館の「桜さくらサクラ展」を見てきました。桜にちなんだ近現代の日本画が一同に会した、なかなか贅沢な展覧会でした。
「桜にちなんだ作品」と言っても、当然ながら、作品によってそれぞれの味わいが大きく異なります。鮮やかな桜色が克明に描かれたような、強い存在感を示す作品から、朧げに染み入る淡い色が印象的な作品まで、多種多様な表情を持つ「桜」がズラリと並びます。桜は日本の美意識と密接に結びついている感がありますが、確かに満開の桜を前にすると、漠然とした春の喜びを得ることがあります。今年お花見へ行き損ねた私にとっては、ちょうど良い展覧会となりました。少し遅めの「春」です。
速水御舟の「夜桜」は、色の落とされた花びらや枝が、大変に素朴な味わいを持っている美しい作品です。夜桜と言うと、どうもライトアップされた、光に反射した輝かしいピンク色を想像してしまいますが、もしかしたらその色は桜本来の美しさを損なっているのかもしれません。月明かりにポワッと浮かびだすような桜の淡い存在感。御舟の手にかかるとそれが一層味わい深くなります。繊細で落ち着き払った「美」がありました。
横山大観の「山桜」は、桜の木が大きく左へ反り返っている様が印象的です。構図としても見てもかなり大胆ではないでしょうか。桜の木全体が、まるで風になびいて大きくしなっているかのようです。また、花びらが散りゆく様が美しく、目に見えない風の存在感すら感じます。散り際の美学を上手く捉えた作品だと思いました。
菱田春草の「月四題春」は、枯れたようなタッチが独特の魅力を醸し出していました。朧げな月を前にした押し花のような花びらが、細い枝にしがみつくように咲いています。あまり他では見られないような面白い表現です。有名な「桜下美人図」も素晴らしかったのですが、私はこちらの作品に強く惹かれました。
面白い表現と言えば、橋本明治の「朝陽桜」も、凹凸感のある桜の様子が一際異彩を放っていたと思います。画面一杯にこれでもかというほど桜の花びらが描かれています。まさに満開です。花びらに花びらを幾重も重ねると、こんな風に見えるのかもしれません。やや押しが強すぎるのか、私の好きな感じではないのですが、面白い作品であることには間違いありません。
山種美術館は初めて行きました。美術館というよりもオフィスビルの一室のような雰囲気です。照明にあまり工夫がなされていないのか、作品への光の写り込みが気になりましたが、日本画の殿堂的な美術館でもあるそうです。今後は積極的に通いたいと思います。帰りに歩いた千鳥ヶ淵も、すっかり新緑が濃くなっていました。8日までの開催です。
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