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「最果タヒ 詩の展示」 横浜美術館

横浜美術館
「最果タヒ 詩の展示」
2019/2/23~3/24



横浜美術館で開催中の「最果タヒ 詩の展示」を見てきました。

1986年に生まれ、2006年に現代詩手帖賞を受賞した最果タヒは、詩壇で評価を得る一方、ネットやSNSなどの活動によって、旧来の詩に親しむ層以外のファンも多く獲得してきました。

その最果タヒの公立美術館初となる個展が、「最果タヒ 詩の展示」で、館内のアートギャラリー1、カフェ小倉山、美術情報センターの三ヶ所にて作品を展示していました。(コレクション展、及び企画展示室内に作品はありません。)



ギャラリー内に立ち入って驚きました。とするのも、詩のテクストがモビールでたくさん吊られていて、ゆらゆらと微かに動き、1つ1つは断片的なため、テキスト同士の関係も明らかではないからでした。



いわば、鑑賞する側の見方、ないし目の向きにより、自由に詩が紡がれていて、まさに「作品と受け手が響き合う」(解説より)かのようでした。このようなインスタレーションの形で、詩を見せること自体も、面白いのではないでしょうか。

「読む」という行為は受動的なものではなく、むしろ、ずっと能動的。 最果タヒ *会場内のあとがきより



ぼんやりと頭の上に浮かぶテキストを読みつつ、奥へ進んでいくと、「恋人たち」と題した詩が壁一面に書かれていました。また振り返り、入口へ戻ると、今度は「あとがき」として最果タヒのメッセージが記されていました。



続くカフェ小倉山では、奥の壁に詩のテクストが投影され、いくつかのテーブルに、やはり詩の書かれた紙片がモビールとして吊るされていました。モビール状の作品のタイトルは、喫茶室ならぬ、「喫茶詩つ」とありました。



やわらかいものだけが、透き通るように、生き残ってここで、春を組み立てはじめます。 最果タヒ *カフェ小倉山のモビールより

ラストの美術情報センターの展示も秀逸でした。ここでは2つのパターンあり、1つはiPhoneのモニターに自動で詩が紡がれる「詩っぴつ中」で、もう1つが書棚に置かれた「詩ょ棚」でした。そして「詩ょ棚」は全部で3つの作品からなっていましたが、場所の記載がないため、読む側は書棚を歩き、詩を探すほかありません。

また詩自体も思いもよらない形で展示されていました。是非、会場内でご覧になることをおすすめします。(美術情報センターの展示は撮影不可。)


はじめのギャラリーの展示では、詩を読むというよりも、詩に囲まれ、いつしかそのテクストに侵食されるような、不思議な感覚を覚えました。言葉の紡ぐイメージを自由に想像して楽しむのも良いかもしれません。



若い方で多く賑わっていたのも印象に残りました。3月24日まで開催されています。

「最果タヒ 詩の展示」 横浜美術館@yokobi_tweet
会期:2019年2月23日(土)~3月24日(日)
休館:木曜日。但し3月21日(木・祝)は開館)。3月22日(金)。
時間:10:00~18:00
 *Café小倉山は10:45~18:00
料金:無料。
住所:横浜市西区みなとみらい3-4-1
交通:みなとみらい線みなとみらい駅5番出口から徒歩5分。JR線、横浜市営地下鉄線桜木町駅より徒歩約10分。
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