都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「群馬県三館~太田・前橋・高崎の各美術館への日帰りツアー」 前編:太田市美術館・アーツ前橋
群馬県内の三美術館、太田市美術館・図書館、アーツ前橋、高崎市美術館へ行ってきました。
太田市美術館・図書館は、群馬県太田市の玄関口である、東武伊勢崎線の太田駅の目の前に位置します。

北千住を9時23分に発車する特急りょうもう号に乗り、車内で揺られること約80分、太田駅に到着して北口を出ると、すぐにロータリーに面した太田市美術館・図書館が見えてきました。

この日はあいにくの雨でしたが、まだ新しい白い外観は、とても良く映えていました。建物を設計したのは、建築家の平田晃久で、太田の「街の結び目」を目指すべく、2017年の4月1日にオープンしました。

5つの鉄筋コンクリートの箱を、鉄骨のスロープが囲む形が特徴的で、内部も展示室こそ区切られているものの、美術館と図書館のスペースが入り混じるように作られています。

ちょうど開催中の「生誕100年 飯塚小玕齋展―絵画から竹工芸の道へ―」を見終えたのちは、一通り、館内を見学することにしました。なお館内の撮影は、事前に受付へ申し出る必要がありました。

私自身、太田市美術館・図書館に行ったのは、開館記念展以来、2度目でした。ともかく1階から3階、また3階から1階へと連続するらせん状の構造と、高低差のある内部空間が魅惑的で、気がつけば何度も回遊していました。

カーブミラー型のサインシステムも、曲線の多い建物の構造を生かしていたのではないでしょうか。一連のサインデザインは全てオリジナルで、グラフィックデザイナーの平野篤史が手がけました。

しばらく見学しているとお昼前になったので、1階のカフェ、「キタノスミス」でホットサンドをいただくことにしました。

地元で知られた「BLACKSMITH COFFEE」が運営していて、地産地消をモットーに太田産の食材にこだわったメニューを展開していました。

外のテラスから屋上へ出られるのも、建物の特徴の1つでしたが、荒天のためにクローズしていました。どうやら安全のためか、雨天時は屋上へ上がることは出来ないようです。

再度、展示を観覧しつつ、館内を何度か見たのちは、次の目的地であるアーツ前橋を目指すことにしました。
太田と前橋は直線距離で約30キロほどあり、鉄道では東武伊勢崎線で伊勢崎へ向かい、そこでJRの両毛線に乗り継ぐ必要があります。一応、事前のプランでは40分強で前橋に到着する予定でしたが、東武線が遅れていて、乗り換えがうまくいかず、結局、前橋まで1時間以上かかりました。
アーツ前橋は、太田市美術館・図書館とは異なり、駅前の立地ではありません。駅北口より道なりで900メートル弱ほど進んだ、市中心部にありました。雨がかなり強くなっていたこともあり、タクシーを利用しました。約5分ほどでした。

かつての商業施設をリノベーションした、白いパンチングメタルの外装が目を引く建物で、2013年の10月に開館しました。オープンしてから既に6年ほど経過していましたが、私が行ったのは初めてでした。

建物自体は「前橋プラザ元気21」と呼ばれる複合施設で、アーツ前橋は、別館の地下1階から1階と2階に入居していました。なお3階は前橋シネマハウスで、上層部は全て駐車場でした。また本館には、前橋市の中央公民館やこども図書館、それにスーパーマーケットなどがありました。

1階に受付とショップにカフェがあり、展示室は1階と地下に広がっていました。2階は事務室として使用されているようです。

この地下のスペースが思いの外に広いのに驚きました。また地下と1階の一部で吹き抜けになっているのも特徴で、その部分には、かつて入居していた西友のエスカレーターが設置されていたそうです。

基本的にホワイトキューブながらも、地下空間に特有の潜り込むような感覚もあり、独特の趣きをたたえていました。また内部は大小に様々なボリュームの展示室が連続していて、中央の大きなスペースを挟み、ぐるりと巡って歩くように出来ていました。私はあまりこうした構造の美術館を目にしたことはなく、それがむしろアーツ前橋の個性となっていました。

そしてアーツ前橋では、アジアの木版画の展開を、社会や労働運動の関わりから検証する「闇に刻む光 アジアの木版画運動 1930s-2010s」が開催中でしたが、質量ともに圧倒的で、予想以上に見応えがありました。

ラストの吹き抜けのスペースでは現代美術の展開もありました。もし可能であれば、別エントリで感想をまとめたいと思います。(館内は原則撮影禁止ですが、8章以降は撮影出来ました。)

立体式のサインシステムも面白いかもしれません。なおアーツ前橋では、次回、4月19日よりやなぎみわの個展が予定されています。現在、高松市美術館で開催中の展覧会で、関東では神奈川県民ホールギャラリーへ巡回しますが、このスペースで見るのも面白いのではないでしょうか。

結局、アーツ前橋を出たのは15時40分過ぎでした。帰りは前橋駅まで10分ほど歩き、両毛線で最終目的地の高崎へと向かいました。
「後編:高崎市美術館・旧井上房一郎邸」へと続きます。
「太田の美術vol.2 生誕100年 飯塚小玕齋展―絵画から竹工芸の道へ―」 太田市美術館・図書館(@obt_pr)
会期:2019年2月2日(土)~4月7日(日)
休館:月曜日。但し祝日の2月11日は開館し、翌日火曜日は休館。
時間:10:00~18:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般300円。65歳以上、高校生以下無料。
住所:群馬県太田市東本町16-30
交通:東武伊勢崎線太田駅から徒歩1分。専用無料駐車場(40台)あり。
「闇に刻む光 アジアの木版画運動 1930s-2010s」 アーツ前橋(@ArtsMaebashi)
会期:2019年2月2日(土)~3月24日(日)
休館:水曜日。
時間:11:00~19:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般500円。65歳以上・10名以上の団体300円。高校生以下無料。
住所:群馬県前橋市千代田町5-1-16
交通:JR線前橋駅北口より徒歩10分。上毛電気鉄道中央前橋駅より徒歩5分。
太田市美術館・図書館は、群馬県太田市の玄関口である、東武伊勢崎線の太田駅の目の前に位置します。

北千住を9時23分に発車する特急りょうもう号に乗り、車内で揺られること約80分、太田駅に到着して北口を出ると、すぐにロータリーに面した太田市美術館・図書館が見えてきました。

この日はあいにくの雨でしたが、まだ新しい白い外観は、とても良く映えていました。建物を設計したのは、建築家の平田晃久で、太田の「街の結び目」を目指すべく、2017年の4月1日にオープンしました。

5つの鉄筋コンクリートの箱を、鉄骨のスロープが囲む形が特徴的で、内部も展示室こそ区切られているものの、美術館と図書館のスペースが入り混じるように作られています。

ちょうど開催中の「生誕100年 飯塚小玕齋展―絵画から竹工芸の道へ―」を見終えたのちは、一通り、館内を見学することにしました。なお館内の撮影は、事前に受付へ申し出る必要がありました。

私自身、太田市美術館・図書館に行ったのは、開館記念展以来、2度目でした。ともかく1階から3階、また3階から1階へと連続するらせん状の構造と、高低差のある内部空間が魅惑的で、気がつけば何度も回遊していました。

カーブミラー型のサインシステムも、曲線の多い建物の構造を生かしていたのではないでしょうか。一連のサインデザインは全てオリジナルで、グラフィックデザイナーの平野篤史が手がけました。

しばらく見学しているとお昼前になったので、1階のカフェ、「キタノスミス」でホットサンドをいただくことにしました。

地元で知られた「BLACKSMITH COFFEE」が運営していて、地産地消をモットーに太田産の食材にこだわったメニューを展開していました。

外のテラスから屋上へ出られるのも、建物の特徴の1つでしたが、荒天のためにクローズしていました。どうやら安全のためか、雨天時は屋上へ上がることは出来ないようです。

再度、展示を観覧しつつ、館内を何度か見たのちは、次の目的地であるアーツ前橋を目指すことにしました。
太田と前橋は直線距離で約30キロほどあり、鉄道では東武伊勢崎線で伊勢崎へ向かい、そこでJRの両毛線に乗り継ぐ必要があります。一応、事前のプランでは40分強で前橋に到着する予定でしたが、東武線が遅れていて、乗り換えがうまくいかず、結局、前橋まで1時間以上かかりました。
アーツ前橋は、太田市美術館・図書館とは異なり、駅前の立地ではありません。駅北口より道なりで900メートル弱ほど進んだ、市中心部にありました。雨がかなり強くなっていたこともあり、タクシーを利用しました。約5分ほどでした。

かつての商業施設をリノベーションした、白いパンチングメタルの外装が目を引く建物で、2013年の10月に開館しました。オープンしてから既に6年ほど経過していましたが、私が行ったのは初めてでした。

建物自体は「前橋プラザ元気21」と呼ばれる複合施設で、アーツ前橋は、別館の地下1階から1階と2階に入居していました。なお3階は前橋シネマハウスで、上層部は全て駐車場でした。また本館には、前橋市の中央公民館やこども図書館、それにスーパーマーケットなどがありました。

1階に受付とショップにカフェがあり、展示室は1階と地下に広がっていました。2階は事務室として使用されているようです。

この地下のスペースが思いの外に広いのに驚きました。また地下と1階の一部で吹き抜けになっているのも特徴で、その部分には、かつて入居していた西友のエスカレーターが設置されていたそうです。

基本的にホワイトキューブながらも、地下空間に特有の潜り込むような感覚もあり、独特の趣きをたたえていました。また内部は大小に様々なボリュームの展示室が連続していて、中央の大きなスペースを挟み、ぐるりと巡って歩くように出来ていました。私はあまりこうした構造の美術館を目にしたことはなく、それがむしろアーツ前橋の個性となっていました。

そしてアーツ前橋では、アジアの木版画の展開を、社会や労働運動の関わりから検証する「闇に刻む光 アジアの木版画運動 1930s-2010s」が開催中でしたが、質量ともに圧倒的で、予想以上に見応えがありました。

ラストの吹き抜けのスペースでは現代美術の展開もありました。もし可能であれば、別エントリで感想をまとめたいと思います。(館内は原則撮影禁止ですが、8章以降は撮影出来ました。)

立体式のサインシステムも面白いかもしれません。なおアーツ前橋では、次回、4月19日よりやなぎみわの個展が予定されています。現在、高松市美術館で開催中の展覧会で、関東では神奈川県民ホールギャラリーへ巡回しますが、このスペースで見るのも面白いのではないでしょうか。

結局、アーツ前橋を出たのは15時40分過ぎでした。帰りは前橋駅まで10分ほど歩き、両毛線で最終目的地の高崎へと向かいました。
「後編:高崎市美術館・旧井上房一郎邸」へと続きます。
「太田の美術vol.2 生誕100年 飯塚小玕齋展―絵画から竹工芸の道へ―」 太田市美術館・図書館(@obt_pr)
会期:2019年2月2日(土)~4月7日(日)
休館:月曜日。但し祝日の2月11日は開館し、翌日火曜日は休館。
時間:10:00~18:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般300円。65歳以上、高校生以下無料。
住所:群馬県太田市東本町16-30
交通:東武伊勢崎線太田駅から徒歩1分。専用無料駐車場(40台)あり。
「闇に刻む光 アジアの木版画運動 1930s-2010s」 アーツ前橋(@ArtsMaebashi)
会期:2019年2月2日(土)~3月24日(日)
休館:水曜日。
時間:11:00~19:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般500円。65歳以上・10名以上の団体300円。高校生以下無料。
住所:群馬県前橋市千代田町5-1-16
交通:JR線前橋駅北口より徒歩10分。上毛電気鉄道中央前橋駅より徒歩5分。
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