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「都美セレクション 新鋭美術家 2017」 東京都美術館

東京都美術館
「都美セレクション 新鋭美術家 2017」 
2/19~3/15



公募団体に所属する現代美術家の制作を紹介します。東京都美術館で開催中の「都美セレクション 新鋭美術家 2017」を見てきました。

本年の出品作家は以下の通りです。作家は昨年の「公募団体ベストセレクション」より、専門家の審査を経て選ばれました。

青木宏憧(工芸) 1976年東京都生まれ、日展
大石朋生(日本画) 1968年神奈川県生まれ、日本美術院
斉藤里香(版画) 1977年東京都生まれ、日本版画協会
畠山昌子(洋画) 1966年北海道生まれ、春陽会
増井岳人(彫刻) 1979年神奈川県生まれ、新制作協会

チラシ表紙を飾るのが青木宏憧です。タイトルは「浮上」。何やらバルーンが浮いているようにも見えます。ただし一見しただけでは、素材が分かりません。黒光りする球体はともすると艶やかでもあります。


青木宏憧「浮上」 2013年 作家蔵

結論からすると漆でした。いわゆる乾漆の技法により制作。その上に蒔絵や銀粉で装飾しています。写真では分かりにくいかもしれませんが、表面には気泡を思わせる線が引かれています。脚は3本です。いずれも細い。何らかの生命体のようにも思えました。


畠山昌子「Vision 100401」 2010年 ほか

一際、鮮やかなのが畠山晶子でした。春陽会に所属。洋画家です。緑に染まる葉を通して木漏れ日が溢れています。光は白く輝いて美しい。水辺の景色を捉えた作品も目にとまりました。森の中でしょうか。木々を背に小さな池が広がっています。光は粒のようにキラキラと瞬いていました。作家自身、「光にみちびかれてモチーフ」(解説より)を選んでいるそうです。独特の浮遊感も印象に残りました。


斉藤里香 展示風景

インスタレーション的な展開を見せているのが斉藤里香です。基本は木版です。樹木でしょうか。深き森の光景が浮かび上がります。そこへ介在するのが立体作品です。比較的大きい。やはり樹木なのかもしれませんが、触手はまるで手足のように伸びています。森の生き物かもしれません。人の立ち姿のイメージとも重なりました。

出展の中で最も惹かれたのが大石朋生でした。日本美術院に所属し、日本画を描いています。


大石朋生「幻」 2013年 作家蔵 ほか

モチーフは戸外の自然の風景です。木々は密に連なります。葉は時に朱色に染まる一方、雪が舞っているのか、白く凍りついているようにも見えます。また空は時に暗い。闇夜から白、ないし青みを帯びた木々がシルエットとして浮かび上がります。


大石朋生「月白」 2015年 作家蔵

岩絵具の質感も魅惑的です。幾分、盛り上げては枝葉を細かく描いています。画家は近年に北海道へ移住し、上川地方の湿原を描き続けているそうです。景色は極めて静寂です。冷気も感じるのではないでしょうか。木々は寒さに打ち震えています。幻想的でもありました。


畠山昌子 展示風景

会場は美術館内のギャラリーC。ちょうど企画展示室の入場口の横です。ティツィアーノ展の半券を提示すると無料で観覧出来ます。あわせて見るのも良いかもしれません。


3月15日まで開催されています。

「都美セレクション 新鋭美術家 2017」 東京都美術館@tobikan_jp
会期:2月19日(日)~3月15日(水)
時間:9:30~17:30
 *毎週金曜日は20時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。3月21日(火)。但し3月20日(月・祝)、27日(月)は開館。
料金:一般500円、65歳以上300円。学生以下無料。
 *20名以上の団体は300円。
 *「ティツィアーノとヴェネツィア派展」のチケット(半券可)提示にて無料。
 *毎月第3水曜日はシルバーデーのため65歳以上は無料。
 *毎月第3土曜、翌日曜日は家族ふれあいの日のため、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住)は一般料金の半額。(要証明書)
住所:台東区上野公園8-36
交通:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成線上野駅より徒歩10分。
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