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「MOTサテライト 2017春 往来往来」 清澄白河エリア

清澄白河エリア
「MOTサテライト 2017春 往来往来」 
2/11~3/20



「MOTサテライト 2017春 往来往来」を見てきました。

大規模改修工事のため、長期休館中の東京都現代美術館が、清澄白河周辺にてサテライトイベントを開催しています。

会場は清澄白河駅南側の一帯です。メインは7カ所。その名も「MOTスペース」でした。商店街の組合事務所をはじめ、旧印刷所や駄菓子屋などのスペースを用い、現代アーティストらが様々な展示を行っています。



目印は「MOTサテライト」ののぼり旗です。近辺の至る所に設置されているためか、結構目立っていました。美術館のWEBサイトの「サテライトマップ」(PDF)も有用です。私もマップを見ながら、MOTスペースを1から7の順に歩きました。



まずはMOTスペース1です。かつての駄菓子屋でした。宮口明子と笠置秀紀によるユニット、mi-ri meterが、「清澄白河現在資料館」を展開しています。



mi-ri meterは清澄白河をリサーチ。街の人々にインタビューを行いました。展示は映像です。元々、深川は江戸時代にも由来する古い下町ですが、美術館の出現以降、タワーマンションも林立。新しい住民が続々と移り住んでいます。さら近年はカフェも多く出店し、街はかなり変容しました。外からの来訪者も増えているそうです。



インタビューを受ける人々は様々です。住民だけでなく、中には無人島プロダクションのオーナーもいました。人々は自由に清澄を語ります。そこから土地の記憶や諸相が浮かび上がっていました。



次いでのMOTスペース2は吉増剛造です。深川の水を意識しつつ、その歴史に目を向けたインスタレーションを展示しています。



吉増自身、隅田川の近辺に暮らし、日々、深川を歩いているそうです。またポイントとなるのが、同じく深川に居を構えた芭蕉です。吉増は芭蕉を「追想」(解説より)しています。さらにこの地に生まれた小津安二郎の引用がありました。新作の映像に写真の組み合わせです。文字か染みか判然としない細かな書きものが連なっています。



商店街組合の事務所に磐座を出現させたのが佐野文彦です。一面の白い玉砂利が、床に敷きつめられています。中央部の結界の中に大きな岩が一つ、静かに鎮座していました。磐座は半透明です。一部は虹色に染まっています。素材がFRPでした。



清澄に「無形の中心」を置く試みです。資料館通りに面した事務所がいわば神社と化しています。外には御籤まで用意されていました。



写真家の松江泰治が木場や清澄界隈を新たに撮影しました。ひしめく家屋にマンション。高層ビルも建っています。空撮です。現代美術館も捉えています。全てに等しく光が当たり、ピントがあっています。風景はより際立って見えました。



特徴的なのは運河の存在です。運河が街を二分。深川地域が水と深く関係していることを示します。さらに清澄は寺町です。マンションや団地の合間に寺院や墓地が点在していることも分かりました。また空撮のパノラマのほかに、「動く写真」への取り組みもあります。清澄が写真に凝縮しています。一通り、俯瞰することが出来ました。



江戸瑞唄の調べが聞こえてきました。写真家やモデルとしても活動する花代です。作家はかつて花柳界に在籍。自身の経験や記憶を辿っているのでしょうか。映像とともに、古い家具や着物を交えたインスタレーションを作り出しています。



部屋はまるで廃屋のようです。どことなく妖しげでかつ、アンニュイな雰囲気が漂っています。瑞唄に合わせて踊るのが花代でした。舞台は清澄庭園内の涼亭です。さも明治や大正の古い時代にタイムスリップしたような錯覚を覚えました。

毛利悠子が鬼火をモチーフとしたインスタレーションを出展しています。



場内は暗室です。にわかに鉄琴の音が聞こえてきました。とはいえ、何らかの音楽を奏でているわけではありません。突如、にわかに鳴りだしたと思いきや、急に収まることがあります。



奥のスクリーンが重要でした。鉄琴の音に連動して火花が散ります。ただしとてもか弱い。凝視しなければ分からないかもしれません。蛍の瞬きを連想しました。スクリーン自体は網戸です。部屋に扇風機を設置。その吹く風によって通電し、火花を発します。よって無作為です。ぼんやり眺めていても飽きません。



かつて隅田川のほとりで行われた平賀源内のエレキテルの実験に着想を得ているそうです。火花は美しくも、人魂のようにおどろおどろしくもあります。しばし光と音の競演を楽しみました。



ほかクサナギシンペイはMOTスペース7で絵画を展示。色は滲み、また染み込んでいます。そのせめぎ合いも心地良い。いわゆる抽象画ですが、何らかの自然が立ち上がっているようにも見えました。



一部は作品集、「清澄界隈」に収録されたものだそうです。とすれば絵画に表されたのは、かつての清澄の風景なのかもしれません。まるで虫の鳴き声が聞こえるかのようでした。



公式サイトには約20分との案内がありましたが、実際に展示をゆっくり見て回ると、全部で1時間弱はかかりました。初めにも触れたように界隈にはカフェも多く、清澄庭園もあります。町歩きを兼ねて訪ねるのも良いかもしれません。



なお最後に一応、現代美術館の前まで行ってみましたが、ご覧のようにフェンスが張られていました。立ち入りも出来ません。



中では改修工事が進行しているのでしょうか。改めてリニューアル後の活動にも期待したいと思いました。

ちなみに資料館通りにある無人島プロダクションの「Chim↑Pom展」が大変に充実しています。


いわゆるメキシコの壁から「自由」をテーマにしたインスタレーションです。こちらもお見逃しなきようおすすめします。

「MOTサテライト」の開場は毎週木曜日から日曜日の間です。月曜日から水曜日はお休みです。(祝日は除く)お出かけの際はご注意ください。


入場は無料です。(但し、MOTスポットの深川江戸資料館は入館料が必要。)3月20日まで開催されています。

「MOTサテライト 2017春 往来往来」 清澄白河エリア(@MOT_art_museum
会期:2月11日(土祝)~3月20日(月祝)
休館:月曜~水曜日。*木・金・土・日、祝日のみ会場。
時間:10:00~18:00。
 *入場は閉館の30分前まで。
料金:無料。
住所:江東区白河2-3-3(MOTスペース1:旧駄菓子屋)ほか
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口、または都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口。
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