「ジム・ランビー展 『Sun Rise Sun Ra Sun Set』」 RAT HOLE GALLERY

RAT HOLE GALLERY
「ジム・ランビー展 『Sun Rise Sun Ra Sun Set』」
4/11~6/21



ラットホールギャラリーで開催中のジム・ランビー個展、「Sun Rise Sun Ra Sun Set」を見てきました。

1964年にスコットランドに生まれ、2003年にはヴェネチア・ビエンナーレのスコットランド館の代表、2005年にはターナー賞にもノミネートされたというアーティスト、ジム・ランビー。

国内では2007年の「メルティング・ポイント」(オペラシティアートギャラリー)のほか、2014年の「プライベート・ユートピア」(東京ステーションギャラリー)などのグループ展にも参加。2008年には原美術館で個展を開催しました。

実は私、原美術館の個展を見損ねていたようです。都内のギャラリーでも久々の個展かもしれません。表参道のラットホールにて新作のインスタレーションを公開しています。



さて会場のラットホール、ビルの地下1階です。入口の階段からガラス越しにギャラリーの内部を見渡すことが出来ます。するとすぐさま目に飛び込んできたのが、床一面に広がるモザイク、いや矩形状の色面でした。いずれもそれ自体がさも発光するかのように輝いています。素材はビニールテープです。青、緑、オレンジ、シルバーでしょうか。たくさんの色があります。色面の幅こそほぼ同一ながらも、形は同じではありません。床にぎっしり敷き詰められていました。

このように床一面をテープで覆い尽くす「Zobop」こそランビーが得意とするもの。輝かしき色彩美、まるでネオンサインのようにギラギラしたメタリックカラーも、言わばランビーを特徴付ける色の一つでもあります。

ギャラリーの中に入ってみました。天井には何やら黒い紐のようなものが、あたかも形を為さず、複雑に輪を描いてはだらんと吊り下がっています。そして奥の壁には大小様々な銀色に光るサークル状の物体が並んでいました。その周囲には細く尖った棒がいくつも刺さっています。初めは一体、何で出来ているのか分かりませんでした。

何とこれ、自転車の車輪なのだそうです。とすると黒い紐に見えたのはチューブ、細い棒はスポークなのでしょう。確かにしばらく見ていると銀色に光る太陽にも見えなくもありません。見立てという言葉が思い浮かびます。そしてランビーはこうした日用品を素材にして作品を制作するアーティストでもあるのです。

それにしても宙に浮くチューブは不気味。床面のメタリックカラーのテープこそ、言ってしまえばスタイリッシュですが、チューブは一転、何やら廃棄物、あるいは未知の有機物のようにも見えます。作品のパターンは必ずしも同じではありません。

もう一つ、靴を素材にした作品も目を引きました。壁際の黒い靴、ただし良く見ると指の部分が欠けています。まるで壁にめり込んでいるかのようです。さらには黒い顔料でしょうか。血が噴くようにこびり付いています。ヴィジュアルとしても明快なテープをまさしく明とすれば、不定形で謎めいた靴やチューブの作品は暗。不穏な気配さえ漂っています。

ほかカラフルなアルミシートを用いた作品やペインティングもいくつか。これらも造形としては生々しい。目を見開き、頭をひねり、全身で引き受ける。素材や色から受けるスリリングな知覚もランビー体験の醍醐味なのかもしれません。

奥の小部屋ではキャリア初期、1990年代後半の映像「UltraLow」も紹介されていました。まさに今と昔の制作を見ることの出来る展示と言えそうです。



空間との相性もあったのでしょうか。私がグループ展などで見たランビーの展示の中では魅惑的に映りました。

日曜日もオープンしています。(月曜休廊)6月21日まで開催されています。

「ジム・ランビー展 『Sun Rise Sun Ra Sun Set』」 RAT HOLE GALLERY
会期:4月11日(土)~6月21日(日)
休館:月曜日。
時間:12:00~20:00。
料金:無料。
住所:港区南青山5-5-3 B1F
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A5出口より徒歩3分。
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