北京暮らしを始めてみれば ふたたび

2012年1月から再び北京生活が始まりました。(前回は2003.1~2006.1)

2024.1本帰国しました。

国家博物館 8000年前からの彩色土器展

2021-04-28 19:49:18 | 北京暮らし おでかけ編(博物館)

今回も博物館で見た展示の備忘録です。

結構長くなったので、ご興味のある方はお付き合いくださいませ。

 

 

甘粛省、有名な都市として敦煌がこの省に属します。

そこで見つかった、彩色模様がある陶器の展示。

 

 

 

 

計194点の展示。

これは面白い!時間をかけて見なければ!と思い、朝イチでやって来ました。

 

 

 

 

甘粛の彩陶文化はこのように8000年前の時代からいくつかの文化に分かれています。

 

 

 

 

 

まずはこちら。

今から8000年~7000年前。大地湾文化のもの。

この頃は農耕が中心だけど、魚を捕ったり狩りもしていたそう。

世界でも最も早い彩陶文化です。

 

 

 

いやいや、今から8000年前にもうこんな文化があるって、展示のしょっぱなから圧倒されまくりです。

 

 

 

 

 

 

 

続いて、下の彩陶から時計回りに、仰韻文化の初期、中期、後期。

だいたい今から7000年~5000年くらい前。

もうこんな完成度の高い彩陶が作られているんですね~。

 

 

 

 

馬家窯文化。今から5000年~4000年前。

この時期一気に彩陶文化が花開き、豊富なデザイン性、繊細なタッチの画などが作られました。

 

 

 

 

 

斉家文化。 今から4200年~3700年前。

素焼きの陶器が多くなり、彩色陶器の割合がぐっと減少。 品質もこれまでより落ちたのだとか。

確かに一目見てそれがわかります。

 

 

 

 

四壩文化。 今から3900年~3400年前。

中国より西側の文化の影響を受け、更に牧畜生活を反映した作品も多く見られるそうです。

 

 

 

 

 

 

辛店文化。 今から3400年~2800年前。

牧畜を中心に農業も行っていた時代。

陶器のデザインは比較的シンプルになったとか。

 

 

 

 

 

沙井文化。 紀元前3000年~2500年。

説明文をそのまま訳すと、

「沙井文化は我が国最後の彩陶古文化である。ラクダの鈴の音が西へと向かい、それに合わせてこの文化はゴビ砂漠の中消えてゆき、こうして甘粛彩陶文化に終止符を打ったのでした。」

 

 

 

 

では、ここからは特徴のある彩色陶器をご紹介していきます。

 

 

 

 

目立つところに置かれた、馬家窯文化時代の彩陶。

 

水の渦巻きのような模様、そのなめらかで美しい模様は馬家窯文化を代表するもので、「彩陶の王」とも称されます。

 

 

 

 

 

 

馬家窯文化の彩陶。

この時代、人々は自分自身に目を向け、人を描いた彩陶が多く見られます。

これが神なのか人なのか、男なのか女なのか、議論は深まるばかりでいまだに謎。

ただ、原始的な信仰の表れであろうということは読み取れます。

 

 

 

 

 

馬家窯文化。

泣いているような表情の彩陶。

恐らく、死者に対する哀悼の表情と読み取れます。

当時草原に住む民族は死者に向き合う時、小刀で自分の顔に傷をつけ、血と涙を一緒に流して哀悼の意を表したのだとか。

 

 

 

 

こちらは、神をモチーフにしたデザインがどのように変化したのかという図。

リアルに描かれていたのがどんどんデザイン化しています。

 

 

 

 

 

馬家窯文化。

もともとはカエルの爪(? 手?)がどんどん変化して最後は獣の爪に変わる様子を描いたもの。

 

 

 

 

なぜいきなり、カエル!?

この頃、人の首、カエルの姿というカエルと合体した絵が現れました。

原始信仰の表れともいわれています。

 

 

 

 

馬家窯文化。

神を描いたと思われるものの間に丸い模様。神と思われるものの頭部分にも丸い模様。

つまり、真ん中の丸いのはカエルの卵なのだとか!

また、他の神を描いたものと比べてこれは手足が短いので、これは赤ちゃんを描いているのではないか、そしてそこに生命生殖への崇拝の意味が込められているのではないかとも言われています。

 

 

 

仰韻文化。

これ、なんだかわかりますか?

 

 

「オオサンショウウオ」なんです。

ここでも、体はサンショウウオだけど顔は人・・・のようなデザインが見られるそうです。

 

 

 

この二つは、辛店文化。

太陽や犬など、自然をモチーフとしたデザインが見られます。

特に単調な生活だった遊牧民にとって太陽は最も重要な自然のモチーフだったようです。

 

 

 

 

馬家窯文化。

この解説が面白かった!

 

「ビールジョッキに見えません?

でもね、この時代まだ中国にはビールはないんです。ま、アルコール度が低い飲み物はありましたが。

この頃気候の変化によって農耕は衰退し、代わりに牧畜がメインとなりました。なので、これは乳製品を入れるものと思われます。

ちなみに右側の突起は単なる手を添えるためのもので、飲み口とかではありません」

 

 

 

馬家窯文化の一番の特徴は螺旋模様。

これらのデザイン、もともとはすべて「鳥」なんです。

右上はかなりそぎ落とされてシンプルになっていますね~。

 

 

 

仰韻文化。

これはもう、おわかりですね。

お魚です。

写実性の高い初期のものから、どんどんデザイン性が高くなっていくのが面白い!

 

 

 

馬家窯文化。

これはカエルをイメージしたもの。

 

 

 

仰韻文化。

これはなんでしょう?

 

「豚」なんです。

上の大きい丸が「目」、下の小さい丸が「鼻」。

ぐるりと一周描かれているのですが、目と鼻がそれぞれ対になっているのではなく、二つの鼻が隣りあう目を共有しているという不思議なデザインがすごい!

 

 

 

仰韻文化。

これは、犬が獲物をめぐって争っている場面だそうです。

上の図が予想図。

 

 

 

 

辛店文化。

今から3400年~2800年前には、人間の画も描かれしかも祈祷のようにも見えると解説されています。

 

 

 

 

今見てもかわいいモチーフがいっぱい。

 

いやぁ、楽しい展示でした!!!

 

 

 

他の展示同様、デジタル面でも楽しめて。

 

 

 

 

 

画面をタッチすると、どの時代にどんな彩陶が発掘されたかが一目瞭然。

 

 

 

 

こちらは自分の好みの彩陶を作ることができるスペース。

 

 

この展示はあと1週間ほどで終了です。