鳴き納め

夕涼みに少し散歩した

虫の音が勢いを増してきた

と思ったら
そばの木で
ジ～と蝉が鳴き出した
しかしそれに呼応 する蝉はなく
すぐに泣き止んでしまった

ボチボチ
終わりにしますかね

調子よく

赤ちゃんが生まれてくる瞬間を
目撃することはできても
自分自身が生まれた瞬間のことは
ちっとも思い出せない

人が亡くなっていく時を
見守ることはできても
自分が息を止める瞬間のことは
きっとわからない

認識できるのは
最初と最後とにはさまれた
間だけ

だからこの間の時間を少しでも調子よく
快適に過ごせるようお手伝いするのが
医療なのだろうと思う

最後の時を
多少先延ばしにすることは
医療の本質ではないように思う