風邪とデンマーク

ジジがまた風邪を引いている。まあ、1歳だからいろいろなウィルスに対する
免疫もなく仕方のないことだ。鼻水と咳なのだけど、これがもう少しひどく
なるようだったら、病院に連れて行かなくちゃと思っている。

親になると本当に子どもの健康は一番気にかかることで、ちょっと咳をしたり
皮膚にぶつぶつができていたりすると、「どうしたんだろう？」と不安に思う。

さて、そんな私がデンマークのことで最も「信じられない！」と思うのが、
デンマークの医療制度。これは結婚前は、ゆりかごから墓場までというテキスト
通りのデンマーク像を描いていた私としてはかなりショックなことだった。

デンマークではもちろん、医療は無料である。そして各家庭にホームドクター
制度があり、まずはそこに相談し、深刻な場合は適切な大きい病院を紹介して
もらう。と書くと問題ないように聞こえるのだけど、これが問題なのだ。

まずはホームドクターへの予約がなかなか取れない場合がある。風邪の場合、
大抵はピークは3－4日だったりするわけで、「予約は2週間先になります」と
言われても見てもらうころには治っている。デンマークに住む友人の子どもが
発疹が体中に出たときも、日本であればすぐにまずは見てもらおう、となるの
だが、デンマークでは3週間後だったらしい。そのころには発疹はおさまって
いた。

要はそうやって待っている間に治ってしまうようなものは、自力で治しなさい、
ということで、日本のようにしょっちゅう病院にかかるのではそれは税金の
無駄遣いということらしい。

それにデンマークでは処方箋がないと、ほとんどの薬は買えない。
風邪薬もないのだ。日本のように、あらゆる風邪や体の不調に対応する薬が
ずらりと並んでいるのは「当たり前」ではないらしい。

では風邪をどうやって治すか。デンマーク人は風邪など病気だとは思っていない
ので、温かくして、鼻水や咳に悩まされながら、ひたすら風邪が去ってくれる
のを待つのみだ。そしていちいち子どもの咳や発熱に「病院に行かなくちゃ」と
焦っている私を理解できないのだ。ちなみにデンマークでは38度くらいでは
そんなに騒がなくてもいいらしい・・・。

3割負担であろうと、多少待たされようと、私は医療制度は日本の制度をよいと
思っている。医療とは病気を治すことだけが目的じゃなくて、できるだけ早く、
患者に不必要な負担をかけることなく治すことが大切だと思っているから。