11月13日(火)、デンマークでの総選挙が行われました。今回、デンマークにおける選挙というものに初めて私は注目してみましたが、日本からだと残念ながらなかなか実像の見えないものでした。なんといってもデンマークは日本では報道されず、選挙結果はネットのニュースで「現政権が続行」という程度の情報は得られましたが、それ以外のマスコミではほとんど報じられることはありませんでした。(デンマークという国の日本における影の薄さを、今回も改めて実感することとなりました。)
情報収集に努めてみたものの、デンマーク語のできない私にはかなり限界がある、というところでした。最終的に、デンマークの各政党の公約といったものを私の中で明確にすることはできませんでしたし、各政党の党首のカラーなどもあいまいにしか見えませんでした。これは少々愚痴になりますが、デンマークの政党も名前が非常に似ていて、また日本の左派右派というのとも土台が違い、政治思想の土台が違うため、全体を正確に理解するにはますます困難を極めています。おまけにそういったことを説明している文献が、日本語ではほとんどありません。
それでも選挙の結果は明確に出ており、最初に書きました通り、現政権が続投ということになり、デンマークが大きな舵取りをして路線を変更することはなさそうです。今回一番の注目であった、新政党「新同盟」は思ったほど議席を伸ばしませんでした。この政党がなぜ注目されていたかというと、党首のナサ・カダー氏が移民であったからです。彼はシリアからの移民であり、2005年あたりのムハンマド風刺画問題の際に、デンマークとイスラム諸国との間に立って活躍したという経緯があります。移民受け入れによる問題を抱えるヨーロッパの中で、とりわけ厳しい外国人の流入に対する政策を採っているデンマークにとって、この新同盟による緩和政策が注目されるところであったと私は解釈しています。が、思ったほどの票の伸びはなく、それでも議席は確保したものの、5席にとどまりました。
今回の選挙を見終えて私にとって面白いなと思ったのは、人々の保守的な心が意外と根強いものだということです。先ほどの外国人に対する政策の厳しさは、他国からの非難を受けるほどでもあります。デンマーク人自身もこの政策をやりすぎではと思っている人も少なくないようです。けれども、デンマーク人は最終的には保守に回りました。このことから思うのは、人間は昔も今も、自分の財産を守ろうという保守的な気持ちがどんなに強いかということです。17世紀から18世紀のイギリス革命、そしてフランス革命において、何が最終的に目的だったかというと「自分達の自然権(今で言う基本的人権のようなもの)を守る」というものであり、絶対君主からの絶対権力からの自由を求めたものでした。これをリベラリズムというわけですが、もっとかみくだいていくと、つまりは私的財産の尊重というもので、自分達の財産をどうやってでも守ろうというところに、その時代の人たちの革命への強い原動力となったわけです。ただし、これは当時の市民層でのことであって、都市下層民においては少々事情が違ったわけですが・・・。
デンマークの今回の選挙はもちろん移民政策が一番の論点だったとはいえませんが、少なくとも選挙結果の一部の要素として、こういった人間の不変の保守性が表れたように思い、私は非常に面白いなと思いました。一方で、革新的に、協働的に生きていきたいと思いつつ、もう一方では保守的に、自分本位になるのが人間というものだと思います。時代を超えて、国を超えて、人々はそうやって自分を守り、家族を守ろうとして、日々やっているわけなのでしょう。
情報収集に努めてみたものの、デンマーク語のできない私にはかなり限界がある、というところでした。最終的に、デンマークの各政党の公約といったものを私の中で明確にすることはできませんでしたし、各政党の党首のカラーなどもあいまいにしか見えませんでした。これは少々愚痴になりますが、デンマークの政党も名前が非常に似ていて、また日本の左派右派というのとも土台が違い、政治思想の土台が違うため、全体を正確に理解するにはますます困難を極めています。おまけにそういったことを説明している文献が、日本語ではほとんどありません。
それでも選挙の結果は明確に出ており、最初に書きました通り、現政権が続投ということになり、デンマークが大きな舵取りをして路線を変更することはなさそうです。今回一番の注目であった、新政党「新同盟」は思ったほど議席を伸ばしませんでした。この政党がなぜ注目されていたかというと、党首のナサ・カダー氏が移民であったからです。彼はシリアからの移民であり、2005年あたりのムハンマド風刺画問題の際に、デンマークとイスラム諸国との間に立って活躍したという経緯があります。移民受け入れによる問題を抱えるヨーロッパの中で、とりわけ厳しい外国人の流入に対する政策を採っているデンマークにとって、この新同盟による緩和政策が注目されるところであったと私は解釈しています。が、思ったほどの票の伸びはなく、それでも議席は確保したものの、5席にとどまりました。
今回の選挙を見終えて私にとって面白いなと思ったのは、人々の保守的な心が意外と根強いものだということです。先ほどの外国人に対する政策の厳しさは、他国からの非難を受けるほどでもあります。デンマーク人自身もこの政策をやりすぎではと思っている人も少なくないようです。けれども、デンマーク人は最終的には保守に回りました。このことから思うのは、人間は昔も今も、自分の財産を守ろうという保守的な気持ちがどんなに強いかということです。17世紀から18世紀のイギリス革命、そしてフランス革命において、何が最終的に目的だったかというと「自分達の自然権(今で言う基本的人権のようなもの)を守る」というものであり、絶対君主からの絶対権力からの自由を求めたものでした。これをリベラリズムというわけですが、もっとかみくだいていくと、つまりは私的財産の尊重というもので、自分達の財産をどうやってでも守ろうというところに、その時代の人たちの革命への強い原動力となったわけです。ただし、これは当時の市民層でのことであって、都市下層民においては少々事情が違ったわけですが・・・。
デンマークの今回の選挙はもちろん移民政策が一番の論点だったとはいえませんが、少なくとも選挙結果の一部の要素として、こういった人間の不変の保守性が表れたように思い、私は非常に面白いなと思いました。一方で、革新的に、協働的に生きていきたいと思いつつ、もう一方では保守的に、自分本位になるのが人間というものだと思います。時代を超えて、国を超えて、人々はそうやって自分を守り、家族を守ろうとして、日々やっているわけなのでしょう。