指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『おやじ太鼓』

2021年06月12日 | テレビ
1968年に「木下恵介劇場」として放映された作品、今千葉テレビで放映されているので、見るが正直に言ってあまり面白くない。
主人公のカミナリおやじは、進藤英太郎で、妻の風見章子、息子の園井啓介らが惑わされるというもの。
元は、1952年の阪妻の主演で、非常に面白かった記憶があり、これには息子の一人として木下忠司も俳優として出ていて、自作曲をピアノで弾いていた。
結局は、阪妻と進藤英太郎との差になってしまうが、阪妻は、誰がなんと言おうと、日本映画史上最高の俳優である。演技にうるさい勝新太郎も、阪妻を尊敬していて、『無法松の一生』『狐のくれた赤ん坊』『王将』と阪妻の名作を自分でリメイクしている。

                            
もちろん、進藤英太郎はよい役者だが、阪妻とは比較できないと思う。
その愛嬌というか、底なしの人の良さであり、これは他の日本の俳優の誰にもないものだと思う。
第二は、かみなり親父という存在が、この1960年代末には、相当に失われていたことだと思える。
私は、小学校6年で父を失っていいるので、親父の怖さを知らない。
九歳上の兄にとっては、父はどこか怖い存在だったようだが。
時代的にも、1960年代後半は、父親の存在が希薄になっていたのではないかと思う。
そのことがよく示されているシリーズのように思える。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。