指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『日本のいちばん長い日』

2019年08月16日 | 映画
昨日は、人と会って飲み、朝は少し頭がぼーつとしていたので、8月15日特集で放映されたのを見る。
1967年版で、何度も見ているが、数年前に原田真人が作ったものとは格が違う。
それは、出ている者も、スタッフも皆戦争を経験しているからで、二度と戦争はしてはならないとの思いがこもっている。

           

8月15日の、昭和天皇の玉音放送に至る最高戦争指導会議、閣議、御前会議等の会議、会議が続く。
いかにも日本は官僚制に毒されていたなと思う。戦時中も官僚主義は健在だったのだ。
降伏に反対する将校は、畑中、井田、椎崎等でクーデターで放送を阻止させようとするが、勿論失敗する。
これは、天皇が戦前まで持っていた、立憲君主制の君主と統帥権者としての軍事指導者との矛盾の現れだと思う。

最後、志村喬の下村情報局総裁に向かい部下の江原達怡が聞く、
「こんなことして無意味じゃないですか、終戦はとっくに決まっているのに」
志村は言う「そうでもないよ、これは儀式だ、日本帝国の葬式なのだ」
次の映像は、市ヶ谷の陸軍省で大量に燃やされている書類である。
これが大日本帝国の実態で、国民とは無縁にすべてが決められ、その証拠も消滅させた。
それが戦前の日本で、国民のためではなく、天皇のための国家だったのだ。

膨大な数の俳優が出ているが、女優は鈴木首相の妻の新珠三千代だけ。
これは、日本社会で、戦前は女性がすべて排除されていたことを示すものだろう。
1960年代は、本当に多くの役者がいたなと思え、佐田豊、小川安二、大久保正信らも出ているのがうれしい。
加藤武と浜田虎彦が亡くなった今日、ご健在なのは、黒沢年男、加山雄三、江原達怡、そして佐田豊くらいだろう。


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2 コメント

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Unknown (sp)
2019-09-23 12:27:09
佐田豊はとっくに亡くなってますが?
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佐田豊は (さすらい日乗)
2019-09-23 13:25:05
その通りで、亡くなられているようですね。
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