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指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『華麗なる闘い』

2020年06月25日 | 映画
1969年、内藤洋子主演、岸恵子との女の戦いをえがく作品。
同年9月、蒲田ロキシ―で、加山雄三主演の『弾痕』と二本立てで見ているが、 内藤洋子ファンとしては、彼女ばかり見ていて作品の中身はほとんど見ていなかった。今回見て、結構いい映画だと思った。



原作は、有吉佐和子の『仮縫』で、脚本は大野靖子、監督は浅野正雄。
服飾学園の女子大生だった内藤が、岸恵子に見出されてのオートクチュール「パルファン」の館にいく。
豪壮な館で、造作はしているが、昔の赤坂プリンスホテルの別館、元旧李王家邸宅だろうと思う。
玄関を開けてもらうと因業な婆さんが出てきて、岸輝子、さらに服飾学園の院長は長岡輝子となかなかの配役。
彼女は、実は岸の母親で、岸の弟は田村正和。
内藤洋子は、いろいろな作業、お客との対応等を岸から学ばされるが、要は客の自尊心をくすぐってより高いものを売る商売。
そして、岸のパトロンの画商の神山繁と知り合う。
彼は、次第に内藤を可愛がり援助することになり、ここでは入浴シーンもあり、当時ここが最大の売物だった。
彼女は、田村から求婚されるが、断る。軟弱な田村は目じゃないのだ。
岸は、突然内藤にすべての仕事を任せてパリにいく。
田村は言う、「借金から逃げ出してパリに行ったのだ」
内藤は、デパートでの自分のファッションショーに全力を傾ける。
そして、ショーの数日前に岸恵子が突然戻ってきて、彼女の作品と一緒に見せることになる。
華麗なる闘いである。

内藤のは当時の普通のショーで最後はウエディングドレスで終わると、パリ仕込みの岸のショーが始まる。
それは、モデルがしゃなりしゃなりと歩くものではなく、4ビートで踊るものだった。
「イエ、イエ」ダンスであり、当時では最新のものだった。
ショーの出来栄えは、明らかに岸恵子の方が上で、彼女の勝となる。
「大人ってすごいな・・・」と内藤洋子は負けを認めて会場の三越を去る。
だが、タイトルが出る「まだ、私は仮縫がすぎたばかりだ・・・」
この台詞は、まるで大映の増村保造・渥美マリの作品のみたいで、「これはいいぞ!」と内藤には大いに期待したものだ。
だが、翌年、彼女は結婚して引退してしまう。
まことに残念なことであった。

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2 コメント

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Unknown (弓子)
2020-07-04 07:09:03
有吉佐和子の原作は昔 読みましたが
映画化されてることは知りませんでした

また、違った内藤洋子を
見ることができそうで楽しみです

「赤ひげ」での 内藤洋子
清らかで素晴らしかったです。

いつ頃か忘れましたがだいぶ前に
nhkテレビだったと思いますが

池部良 木暮実千代  真野響子
のキャストで放映されてた時に
「仮縫い」全回 見ていました。

その中で
ショーでの作品は全部
真野響子のもの だったのを

全部 木暮実千代の作品とされ
大好評を得て
真野響子が唇を噛むシーンがありました

仮縫いを「お仮縫い」と言っていたのが
日頃 聞き慣れない 会話のため
何やらおかしかったです
返信する
相当に取材していると思う (さすらい日乗)
2020-07-04 08:07:24
タイトルにも、協力杉野学園とあったように、有吉は、相当に取材していると思います。
筋としては、『イブの総べて』ですが、大野靖子のシナリオが良いと思います。
大野は、吉永小百合の前に岡田太郎が一緒に生活していた女性だそうです。大野は、五社の『トップ屋』等の脚本家でした。

内藤洋子で、良かったのは『伊豆の踊子』と『あこがれ』でしょう。
すぐに結婚して引退したのは残念なことでした。
娘はまったくひどいですね。
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