指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『外濠殺人事件』

2022年07月04日 | 映画

これは、昔から見たいと思っていた作品だった。「映画評論」だと思うが、新人監督特集で「ひどく古い」と書かれていたからだが、本当にひどい作品だった。

            

タクシー運転手の大木実は、夜中道路に飛び出してきた女・城山順子に遭って、急ブレーキで止まるが、女は足に怪我をする。

同情した大木は、彼女を自分の下宿に連れてくるが、これが相当にボロで、1960年にこんな家があったのかと思う。そこには、やはり会社の同僚の大泉滉もいるが、独身の二人は同じ部屋にいる。こんなことがあったのかと思う。

女は、なにかはっきりしない女で、何をするでもなく、結局大木に頼っていて、最後は結婚することになる。

そこに、ヤクザ風の男・諸角啓二郎が現れて、城山をあるバーに世話したとき、彼女の義兄に世話料として3万円を渡したが、彼女はすぐに店を辞めてしまった。

「俺の顔が潰れたので、3万円を寄こせ」と大木に言う。

大木は、会社からすでに結婚のために金を前借りしており、同僚の織田政雄らからも借りるが足らない。

富士山の近くの故郷に行くが、そこでは軍の基地に田んぼが接収されて金はないと父に言われる。

母は、それでも餅を持って行けと大木に渡す。

約束の日までに金が出きず、ついに大木は、タクシーに乗った際に、「これを上げるから金をくれ」と運転手に餅を差し出すが、運転手は拒否して争いとなり、首を絞めてしまう。

部屋に戻ってきた大木は、憔悴しているが、女は気にせず鼻歌を唄っている。

そして、下宿の近くで大木は、刑事に逮捕されるの時の刑事の言葉、

「あいつは死なないかもしれないぞ・・・」

これでは、題名に反するじゃないかとあきれた。

さて、主演の大木実は、松竹から東映に行き、やくざ映画で活躍した。

女優の城山順子は、元は新東宝で、その後、ピンク映画の女優になった。

監督の池田博は、この後、母校の日大芸術学部の先生になったとのこと。

この程度の先生で生徒に映画を教えられたのだろかと思った。

衛星劇場

 


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