指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『野獣の青春』

2020年09月22日 | 映画
1963年の鈴木清順監督作品、たぶん5回目くらいだと思うが、久しぶりに映画館で見たので、展開の早さとテンポにしびれた。
その早さは、宍戸錠の肉体の俊敏さに応じたもので、彼の肉体が、「早く行け、早く行け」とフィルムに命令しているように見える。

               

話は、ある町に来た宍戸が、わざともめごとを起こし、ギャング根城のキャバレーに行くところからお始まるが、大井町で、映画館は武蔵野だが、それは大井町線駅近くにあった昔の大井武蔵野で、後に移転して遠くになり、名画座になった。キャバレーの壁がガラスになっていて、その裏がギャングの野元興業の事務所になっている。対立する三光組の事務所は映画館の裏で、映画が上映されている。野元のボスは、小林昭二、三光の組長は信欣三と新劇役者。金子信夫や江角英明なども新劇の役者である。
一方、刑事の木島一郎が娼婦と心中し、それを暴くためにかっての同僚の宍戸がギャングに潜入して、双方を戦わせるというアメリカのハードボイルド小説によくある筋書きで、原作は大藪春彦。
宍戸は、二回疑われ、リンチされるが、あの手この手で切り抜ける。そのアイディアの豊富さがすごいが、後に作られる具流八郎となる助言者が鈴木の周りにすでに出来ていたのだろうか。

木島の元妻で、実は、という渡辺美佐子が不気味で美しい。宍戸と渡辺の最後のやり取りは、さすが元松竹大船出身なので、リアルな台詞が良い。

横浜シネマリン



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