指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『見知らぬ夫』 西岡徳馬が奥田英二になるとは

2018年03月15日 | テレビ

1986年に『火曜サスペンス劇場』で放映されたテレビドラマ、脚本は馬場当、監督は村川透、主演は酒井和歌子である。

主婦の酒井の夫・西岡徳馬は、猛烈サラリーマンで家にろくにいず、フィリピンに赴任する前にレストランで久しぶりに二人で食事した帰りの車で犬を撥ねたとこから始まる。

2年後、西岡はそのフィリピン行きの飛行機が墜落し西岡の死体は発見されなかったが死んだことになり、酒井はスーパーで働き一人息子を育てている。

と、隣家に研究者の奥田英二が引っ越してきて、西岡と正反対の豊かな趣味の奥田に急速に酒井は惹かれ、セックスする。酒井と奥田には、風呂場や奥田が酒井の乳を揉むシーンもあるが、ここは吹替だろう。

そこに、突然「俺は、行方不明の夫だ」と蟹江敬三が家にやってくる。

西岡と蟹江は年齢は同世代だが、顔が違うと「事故の後整形手術で変えたのだ」と言い、夫の実家に行くと、両親(守田比呂也、辻伊万里)や妹も、本人だと言う。

この辺で、これはヒチコックの『バルカン超特急』のように主人公だけが真実を言っていて、周囲は全部嘘をついている話だなと思う。

蟹江は、酒井と奥田の間も疑い邪魔なので、二人は次第に蟹江を殺そうと相談するようになる。そして、蟹江に睡眠薬を飲ませ、二人は自宅の風呂に蟹江を沈めて殺してしまう。

だが、最後は驚くもので、酒井はもう一人の愛人だった木之元亮と西岡を工事現場で殺そうとして埋めたが、生き返り整形手術をして奥田になったという。木之元は、覚せい剤を隠し持っていて、酒井に預けていた。麻薬取締官の蟹江は、奥田らと組んで覚せい剤を探し出すために芝居を組んだというのだ。

酒井の弁護士の草薙幸二郎は、関係者を全員揃えて宣告する、「覚醒剤捜査のための囮捜査と言え、やりすぎではないか」

まさにその通りで、馬場当の脚本は少々無理があると思う。

酒井和歌子は、次々と男を好きになる女性を演じているが、やはり上手くはないというか、殻を破れないようだ。

1980年代という、もう日活ロマンポルノ時代なのに、嘘の芝居はもう無理だったと思う。

1970年代以降、清純派は生きにくい時代となったと改めて思った。

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5 コメント

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Unknown (PEGU)
2018-03-15 23:33:17
乳揉むドラマなんか見てんの。趣味悪い。
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おい、指田、 (PEGU)
2018-03-16 01:15:39
おまえその程度のレベルの男だよ、
もっとお勉強しな。
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Unknown (PEGU)
2018-03-16 03:35:51
「ジャージーボーイズ」と
「あの頃ペニーレインと」の記事はよかったが。
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エロ/シーンも (さすらい日乗)
2018-03-17 09:32:21
風呂に入るために裸の尻を見せるのも、奥田に乳を揉まれるのも、ほんの数秒でしかも吹替です。

役柄的には、若尾文子が適役で、せいぜい松坂慶子ぐらいでないと無理だったと思う。
酒井和歌子としては、悪女役もやりたかったのかもしれませんが、渡辺保先生の言葉のように「役者にはニンというもの」があり、無理な役柄をするのは間違いなのです。
高峰秀子のように何でもできる女優じゃないのですから、ずっと清純派でよいのです。
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私は (PEGU)
2018-03-22 22:01:03
日本のものにそういうシーンが含まれてるのがイヤなの。「似合わなくてただやらしい」だけだから。
その点洋画はエグいぐらいのそういうシーンが含まれても余韻を残さないから、見やすいの。
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