指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

美空ひばり・大島渚映画、2本

2024年01月10日 | 映画

美空ひばりを大島渚が監督した映画などない。

ただし、大島渚が、松竹に入って最初についた助監督の1本目と2本目が、美空ひばり主演映画なのだ。

1本目は、野村芳太郎監督の『ロマンスシート・青草に坐す』で、2本目は萩原徳三監督の『娘船頭さん』で、どちらもたぶん、サード助監督だったと思う。

この内、前者のチーフ助監督は杉岡次郎で、後者は、福島二本松藩の城主の息子の二本松華瑞なのである。二本松は、後に『ギララ』や『昆虫大戦争』を撮った方でもある。

萩原監督については、大島は「彼は良い映画を撮れるでしょうかね」と師匠の大庭秀雄さんに聞き、

「もちろん無理」との評価を得ている程度の作品である。

               

そこでは、ひばりは、水郷の船頭・市川小太夫の孫で、兄は片山明彦のラジオ少年で、小太夫の意見に反して東京の工場に行くが、事故で手を負傷して戻って来る。水郷の写生に東京から特出で朗画家の卵の石浜朗と友人の中川弘子が来る。彼らは完全に西欧化していて、そこには東京と地方の格差が明確にある。

最後、小太夫は、脳梗塞らしい病気で死んでしまうというもので、大島が言った

「貧乏、戦争、家父長制」に苦しめられる村娘の美空ひばりがいて、これは古いとしか言いようのないものだった。

この撮影のとき、大島は船を押していて、ドボンと川に落ちたそうだ。

するとひばりちゃんは、「あ、は、は」と、後の世界の大島を笑ったそうだ。

以下は、明日以降に


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大島渚 (広い世界は)
2024-01-11 10:20:23
『愛のコリーダ』藤竜也が股広げて戦中の街なかを歩くシーンがショックだった。

『戦場のメリークリスマス』デビット・ボウイは綺麗、男も惚れる。
『御法度』松田翔平は綺麗、男も惚れる。
少年(1969年)きれいなカラー映画。白が印象的。
愛と希望の街(1959年)モノクロ。鳩を売る少年。
カメラ成島東一郎「青幻記」、など良いスタッフに恵まれた大島監督。
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