指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『パブリック・図書館の奇跡』

2020年07月21日 | 映画
こういうのを見ると、アメリカの福祉政策のひどさがよくわかる。
オハイオ州のシンシナティ中央図書館の周囲で、冬、凍死者が出る。
シンシナティは結構寒いのか、ここはシカゴにも近く、シカゴは、非常に寒いので有名だが。
職員のグッドソンは、実際に利用者と接触する部署で、なかには彼の対応に苦情をいうものもいて、訴訟にもなっていて、地方検事からは注意を与えられている。
館内には、ホームレスの高齢者の利用が多く、特に黒人の利用者が多い。
オハイオ州は、黒人の人口はそうは多くないようだが、大都市は多いのだろうか。
私が横浜市中央図書館にいたとき、夏季にビデオ等の視聴コーナーで、ホームレスの体臭がひどいと言った苦情があったが、大きなトラブルにはならなかった。

                  

寒波が襲来したとき、利用者が6時の閉館を過ぎても館外に出ず、50人くらいが立てこもってしまう。
彼らの言い分では、ホームレス用のシェルターも一杯で、行くことができないので、ここにいるというのだ。
すぐに刑事と地方検事が来て、対策を協議し、地元テレビ局も中継車を持ってきてレポーターが緊急ニュースを報告する。
地方検事は、大阪の吉村知事や東京の小池知事のような強硬派で、「すぐに機動隊を入れ、催涙弾で排除しろ」と刑事に命令する。
彼は、市長選挙に出る気で、その実績にしたいのだ。
一方、テレビを見て、現市長とボランティアグループが、食事や水を持ってくる。
そして、最後は・・・これは私も予測できなかったが、無事解決する。

生活保護はおろか健康保険もないのがアメリカで、クリントン、オバマ大統領も手をつけたが、まだできていない。
共和党支持者によれば、共産主義なのだそうだ。
だが、東大総長だった大河内一男によれば、「福祉は慈善ではなく、資本主義を支える制度である」のだ。
第一、世界の福祉施策の初めは、ドイツの宰相ビスマルクだったことなど、トランプが知るはずもないだろう。

横浜T・ジョイ



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