指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『エデンの海』

2020年07月04日 | 映画
1975年の東宝映画、監督は西河克己で、主演は山口百恵だが、唯一三浦友和との共演ではない。
その理由は、別々に出した方が儲かるだろうという東宝の思惑だった。
この時、三浦は、檀ふみと『あいつと私』をやっていた。中平康のましな時代だったときの、石原裕次郎と芦川いずみとの傑作には到底及ばなかった。この映画のラストシーンは、早稲田大学の9号館の屋上で、この9号館には、つかこへいの他、村上春樹も出入りしていたはずである。



この『エデンの海』は、3回作られているが、すべてに西河克己が絡んでいる。
最初の中村登監督、鶴田浩二・藤田泰子作品では、チーフ助監督、二度目の高橋秀樹・和泉雅子では監督、そして今回は山口百恵と南条豊で。
この映画の売りは、教師と生徒の恋と、女優が水着で馬に乗って走るシーンで、山口百恵のポスターもそうなっている。



女性が水着で馬に乗るというのは、性的意味を感じさせるが、ここはもっと健康な意味であり、性的意味はない。



西河は、教師と生徒の恋が許されるかというのがもう古いこと、さらに三浦友和に比べて南条に新鮮さがなかったことが、中途半端なものになったと言っている。
その通りで、どこか山口百恵も、あまり燃えていないように見える。
南条は、近藤正臣を薄くしたような男で、新鮮がはない。
教員の一人の紀ひろ子と南条、山口の三角関係風になると、ここは映画『若い人』みたいになるが、これも西河の名作で、裕次郎、浅丘ルリ子、吉永小百合のには及ばない。




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